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【母と過ごす#03】父のひと言

実家で二人暮らししている両親。
ふたりとも高齢です。母の物忘れをきっかけに、実家で過ごす時間を増やすようにしました。

母は昨年階段で転んでから、慢性硬膜下血腫を指摘されています。
定期的に脳神経外科に通院。血圧のコントロールは必須になるのですが、降圧剤の内服管理ができなくなっていたのです。

いつまでも両親には健康ですごしてほしい、少しでも老々介護を予防したい思いで、「母と過ごす」をつづっています。



「薬の飲み方がわからないの!」

母からたびたび、電話が来るようになりました。そのたび電話口で説明しても、要領を得ません。

実際にどのくらい飲めているのか、不安ばかりです。
週末に様子を見に、実家に帰りました。

さて、母は父と二人暮らしです。
毎朝二人でウォーキングして外出し、お互いに家事を分担。友人と外出したり、遠出したりする話を聞いていました。

まさか物忘れなんて。
あったとしても年齢相応。なんの心配もないと思っていたのです。

実家に帰り、お薬を見せてもらうことにしました。

私「いま飲んでいる薬って、どこにあるの?」
母「お父さん、どこだったっけ?」

すでに他人事になっています。
リビング中を探し回りました。15分ほどで、ソファーの下からお薬を発見。

一見すると、ゴミ袋を見まごうスーパーのビニール袋の中に入っていました。

その中に、お薬の入った紙袋が10個ほど。
それぞれ紙袋の中には、説明書きと違う薬が入っていました。

母「何回も出したり入れたりしていたら、分かんなくなってねえ~」
父「いつもお薬を探しているんだよ。」

肝心の「血圧の薬が入っているはずの紙袋」の中には、胃薬が入っていました。
血圧のお薬はむき出しのまま、ビニール袋の底に隠れています。
日数と薬が合わず、バラバラに適当に飲んでいた印象です。

お薬手帳を見てみると、薬の種類は6種類処方されていました。飲む時間も回数もバラバラ。これはたしかに、管理が大変そう!

しかも今の母には、毎食ごとに紙袋から必要なお薬を取り出すミッションは難しそうです。

さっそく、薬局で「お薬カレンダー」を購入しました。
一日四回のお薬を、一週間分並べて入れられるポケット付きのカレンダーです。

同時にビニールの小袋をたくさん購入。
それぞれ、「朝」「昼」「夕」「寝る前」と書いて色分けします。
その中に一回分のお薬を入れて、すぐ飲めるよう仕分けました。

ひと目見てわかるように。
手に取ればすぐ飲めるように。
飲み忘れが少なくなるように。

さらに漢方薬もあるので、同時にセット。
母はもともと細かいことが苦手でしたので、お薬カレンダーのセットは父に依頼しました。

父からも、母を心配する言葉がありました。

「最近、お母さんの調子が良くなくてねぇ。」

転落と病気との関連ははっきりしないものの、最近は頭がじーんとした感じが続き、眠れていません。

お薬管理を父に任せ、いったん帰宅しました。

さて、きちんとお薬カレンダーから取り出し、飲めているのでしょうか。

不安ばかりですが、小袋に仕分けする前よりは一歩前進と思って。小学生の娘(母にとっては孫)と二人がかりで小袋に仕分けたのですが、それでも一時間以上かかりました。

お薬が手に取りやすくなれば、きちんと飲めるはず。
すこしは血圧も頭痛も落ち着いて、夜も眠れるはず。

ドキドキしながら、一週間後に実家に再訪しました。

(つづく)



おわりに
母の物忘れがすすんだかもしれない、という事実に変わりはありません。いま、娘としてできることを行動に移し、感謝を伝える場にしていきたいと思うのです。

「母と過ごす」は、今後も不定期に更新していきたいと思います。ご縁がありましたら、おつきあいいただけると幸いに思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

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