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柳樂光隆の音楽評論

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柳樂光隆が書いた音楽に関する論考的なものを中心に。ここだけに公開するインタビューもあります。
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#批評

柳樂光隆が2022年に書いたウェブで読める記事

2022年に書いたウェブで読める記事を並べました。 ◉ディスクレビュー連載(随時更新中)◉2022年の来日公演リスト(随時更新中)◉2022年の年間ベスト◉2021年の年間ベスト◉ラジオ◉プレイリスト◉ガイド系・相関図◉論考・コラム◉インタビュー:ジャズ◉インタビュー:ジャズ以外◉ライブ・レポート◉ウェブで読めない記事※『ブルーノート・ストーリー』パンフレット ◎2022年以外の記事はこちらをどうぞ。

Interview Dairo Suga:スガダイロー:自分はジャズじゃないって思えるようになってきた、心の底から。

スガダイローがベースの千葉広樹、ドラムの今泉総之輔との新たなトリオで『公爵月へ行く』をリリースした。いまだにスガダイローのことをフリージャズのイメージで見ている人はそのサウンドに驚くことだろう。 そこにはデューク・エリントン、ハービー・ニコルス、セロニアス・モンク、ジョージ・ガーシュウィンなどの名曲から怪曲を取り上げながら、それらを斬新なアレンジで演奏するトリオがいた。 中でも今泉総之輔によるビートは現在のジャズシーンのトレンドとも繋がっているもので、それらがスガダイ

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Film Review:映画『Bill Evans Time Remembered』で気付いたビル・エヴァンスの音楽から聴こえるサイケデリア

※ここにビル・エヴァンスの伝記映画『ビル・エヴァンス タイム・リメンバード』映画評を書いたんですけど、そこに書けなかった更にディープな部分をここに書いておきます。 この映画には、ビル・エヴァンスの音楽の素晴らしさをいろんなミュージシャンが語るシーンがたくさん挟まれてるんですが、中でもピアニストのエリック・リードが実際にピアノを弾きながら解説するシーンがとてもわかりやすくて、ここだけでエヴァンスの音楽への理解がぐっと深まります。 マイルス・デイヴィスの名盤『Kind of

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Snarky Puppy:スナーキー・パピー『Immigrance』とモロッコの音楽グナワのこと(Playlist付き)

※スナーキー・パピーについてはメンバーの小川慶太が解説してくれている以下の記事もおススメです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 新作『Immigrance』が素晴らしい。前作『Culcha Vulcha』からずいぶんアップデートされた感覚があるのは、ライブ録音ではなく、スタジオでのレコーディング作品として制作するためのアイデアが明らかに増えていて、それが彼らの生演奏のすごさと噛み合っているからだろう。 ここ数年で個々のメンバーの活動はますます活発になってい

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Solange:ソランジュ『When I Get Home』とスティービー・ワンダー『Journey Through The Secret Life Of Plants』

※このテキストは以下のRolling Stone japanに書いたものの補足です。  クロスレビューで片方だけ1万字はありえないのでカットした部分です。  まずRolling Stone Japanのテキストを読んでからどうぞ。 ソランジュの『When I Get Home』を聴いて感じたことがあまりにも多すぎて、Rolling Stone Japanには書き切れなかったので、ここにも書いておきたい。 ( ちなみに前作『A Seat at the Table』についてもn

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スピリチュアルジャズって何? - カマシ・ワシントン以降、多用されるキーワード”Spiritual Jazz”のこと

00年代の始めごろの僕は、家ではロックやテクノやヒップホップも聴きながら、クラブにもたまに行きながら、大学の近くのジャズ喫茶に通ってはジャズを聴いていた。ジャズ喫茶の店主と仲良くなってからは、レコード屋に行っては、ジャズを買い、ジャズ喫茶に持っていって聴かせてもらったりしていた。もちろん、レアグルーヴも聴いたし、ブルーノートもプレステッジも、フリージャズもヨーロッパジャズも聴いた。その中で、ジャズ喫茶の店主やお客さんとの会話が最も盛り上がるのが、インパルス期のジョン・コルトレ

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書評:『Jazz Thing ジャズという何か ジャズが追い求めたサウンドをめぐって 』(原雅明 著)

原雅明という人は非常に特殊な音楽評論家だ、というと本人は嫌がるかもしれないが、僕にとって原さんは特殊で、特別で、いつも唯一無二の原稿を書く人だった。 ポストロックや音響派、アンダーグラウンドなヒップホップやIDM、エレクトロニカ、そして、ある種のオルタナティブなジャズなどについて、彼が書く原稿はいつもとびきり個性的だった。でも、それは奇をてらっているわけでも、誇大な物語をぶち上げるのでもなく、むしろ慎ましさと丁寧さがあり、ある種の不器用さみたいものさえ感じるときさえある。そ

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シャバカ・ハッチングス(Shabaka Hutchings)から始める現代 UKジャズ 概論

※良かったら、こちら ↓ のプレイリストをBGMにどうぞ。 ■2010年代に盛り上がり始めたUKジャズ近年、UKのジャズが話題になることが増えている。マンチェスターのレーベルGondwanaからデビューし、ジャズの名門ブルーノートとの契約を勝ち取ったゴーゴー・ペンギンを筆頭に、Edition Recordsのようにフローネシスやダイナソー、エイヨルフ・ダーレ、ガールズ・イン・エアポートをはじめとしたUSからは出てこないUKならではのジャズを生み出すレーベルも好リリースを続け

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名前のないマガジン vol.1 特集「インタビュー」 :インタビューってなんですか? 音楽評論家 #柳樂光隆

編集者の岡本くんにインタビューを受けました。 若柳宮音筆の会でもインタビューについてはあれこれ手の内を話してますが、これからも若い人に聞かれたら、いろんな形でインタビューや原稿執筆のためのあれこれを話していこうと思います。 なので勉強会とか取材とかで話を聞きたいとかあれば、気軽にどうぞ。 僕に限らずいろんな人が手法や方法論をシェアしていけば、書く側や編集する側だけじゃなくて、取材を受ける側の中の人や記事を発注する側(レーベル、マネージメント、アーティストなど)にとっても有

ミシェル・ンデゲオチェロによるカヴァー集『Ventriloquism』に収録されているジャネット・ジャクソンの「Funny How Time Flies (When You're Having Fun)」のこと

ミシェル・ンデゲオチェロの『Ventriloquism』のリリースに合わせて、ミシェル・ンデゲオチェロとはどんな音楽家なのかってことを自分なりに考えました。 プリンスや80年代のマイルス・デイヴィス/マーカス・ミラーとの関係をイメージしつつ聴くといいかなと。ジャズと同時代のポップ・フィールドのブラックミュージック、生演奏とシンセやリズムマシーンの間で新しいものを生み出そうとしていたマイルスやマーカスと、そこに影響を与えていたプリンス、みたいな文脈の延長でミシェルのことを考え

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Live Review:生で見たパンチ・ブラザーズが凄過ぎた

パンチブラザーズの初来日公演(2016/08/04)がとにかく素晴らしすぎた。 彼らの音楽は、どう聴いてもブルーグラスだけど、どう聴いてもインディーロック。ブラッド・メルドーがロック経由で、ロバート・グラスパーがヒップホップ経由で、ピアノトリオのフォーマットのままジャズを拡張したのと近い革新。 ウィルコやベッカ・スティーブンスと並べて聴きたいサウンドだと思う。 というか、21世紀に入って、音楽はどんどんすごいことになっていて、驚くばかり。ブラックミュージックに関して

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「00年代以前のクラブジャズ」と「00年以降の現代ジャズ」の違い

※クラブジャズについては以下のリアルタイムの00年代に書かれた記事も参照してみください。 ※記事が面白かったら投げ銭もしくはサポートをお願いします。 あなたのドネーションがこのnoteの次の記事を作る予算になります。 ■クラブジャズは?現代ジャズとは?すごくざっくり説明すると、 ◎クラブジャズ…「踊らせること」「クラブでDJによってプレイされること」を目的として作られた《ダンスミュージック》 ◎現代ジャズ…「ヒップホップやテクノに影響を受けているけど、踊らせることや、

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