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#批評
Interview Dairo Suga:スガダイロー:自分はジャズじゃないって思えるようになってきた、心の底から。
スガダイローがベースの千葉広樹、ドラムの今泉総之輔との新たなトリオで『公爵月へ行く』をリリースした。いまだにスガダイローのことをフリージャズのイメージで見ている人はそのサウンドに驚くことだろう。 そこにはデューク・エリントン、ハービー・ニコルス、セロニアス・モンク、ジョージ・ガーシュウィンなどの名曲から怪曲を取り上げながら、それらを斬新なアレンジで演奏するトリオがいた。 中でも今泉総之輔によるビートは現在のジャズシーンのトレンドとも繋がっているもので、それらがスガダイ
Film Review:映画『Bill Evans Time Remembered』で気付いたビル・エヴァンスの音楽から聴こえるサイケデリア
※ここにビル・エヴァンスの伝記映画『ビル・エヴァンス タイム・リメンバード』映画評を書いたんですけど、そこに書けなかった更にディープな部分をここに書いておきます。 この映画には、ビル・エヴァンスの音楽の素晴らしさをいろんなミュージシャンが語るシーンがたくさん挟まれてるんですが、中でもピアニストのエリック・リードが実際にピアノを弾きながら解説するシーンがとてもわかりやすくて、ここだけでエヴァンスの音楽への理解がぐっと深まります。 マイルス・デイヴィスの名盤『Kind of
Snarky Puppy:スナーキー・パピー『Immigrance』とモロッコの音楽グナワのこと(Playlist付き)
※スナーキー・パピーについてはメンバーの小川慶太が解説してくれている以下の記事もおススメです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 新作『Immigrance』が素晴らしい。前作『Culcha Vulcha』からずいぶんアップデートされた感覚があるのは、ライブ録音ではなく、スタジオでのレコーディング作品として制作するためのアイデアが明らかに増えていて、それが彼らの生演奏のすごさと噛み合っているからだろう。 ここ数年で個々のメンバーの活動はますます活発になってい
Solange:ソランジュ『When I Get Home』とスティービー・ワンダー『Journey Through The Secret Life Of Plants』
※このテキストは以下のRolling Stone japanに書いたものの補足です。 クロスレビューで片方だけ1万字はありえないのでカットした部分です。 まずRolling Stone Japanのテキストを読んでからどうぞ。 ソランジュの『When I Get Home』を聴いて感じたことがあまりにも多すぎて、Rolling Stone Japanには書き切れなかったので、ここにも書いておきたい。 ( ちなみに前作『A Seat at the Table』についてもn
スピリチュアルジャズって何? - カマシ・ワシントン以降、多用されるキーワード”Spiritual Jazz”のこと
00年代の始めごろの僕は、家ではロックやテクノやヒップホップも聴きながら、クラブにもたまに行きながら、大学の近くのジャズ喫茶に通ってはジャズを聴いていた。ジャズ喫茶の店主と仲良くなってからは、レコード屋に行っては、ジャズを買い、ジャズ喫茶に持っていって聴かせてもらったりしていた。もちろん、レアグルーヴも聴いたし、ブルーノートもプレステッジも、フリージャズもヨーロッパジャズも聴いた。その中で、ジャズ喫茶の店主やお客さんとの会話が最も盛り上がるのが、インパルス期のジョン・コルトレ
ミシェル・ンデゲオチェロによるカヴァー集『Ventriloquism』に収録されているジャネット・ジャクソンの「Funny How Time Flies (When You're Having Fun)」のこと
ミシェル・ンデゲオチェロの『Ventriloquism』のリリースに合わせて、ミシェル・ンデゲオチェロとはどんな音楽家なのかってことを自分なりに考えました。 プリンスや80年代のマイルス・デイヴィス/マーカス・ミラーとの関係をイメージしつつ聴くといいかなと。ジャズと同時代のポップ・フィールドのブラックミュージック、生演奏とシンセやリズムマシーンの間で新しいものを生み出そうとしていたマイルスやマーカスと、そこに影響を与えていたプリンス、みたいな文脈の延長でミシェルのことを考え