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柳樂光隆の音楽評論

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柳樂光隆が書いた音楽に関する論考的なものを中心に。ここだけに公開するインタビューもあります。
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2019年11月の記事一覧

DIYという言葉は美しい:新しい音楽の学校・ロンドンツアー19レポート(柳樂光隆)

音楽批評家として、ジャズを中心に日々多数のアーティストをインタビューしてきた柳樂光隆(Jazz The New Chapter)。新しい音楽の学校ボートメンバーとともに10月に敢行したロンドン視察ツアーで柳樂が注目したのは、多くの人が発した「DIY(Do It Yourself)」という聞きなれた言葉に対する違和感だった。カルチャーが育つために必要なエコシステムの原点に迫る。 今回のロンドンツアーでずっと考えていたのは、DIYという言葉の意味だ。 これまでにDIYという言

21世紀のジャズ周辺の状況を知るための入門編コンピレーション『Jazz The New Chapter - Ternary』

ジャズと呼ばれる音楽は生まれた時からハイブリッドなものだった。 よく言われるのは「ヨーロッパのクラシック音楽、アフリカの音楽、カリブ海の音楽の要素がアメリカで融合して生まれた音楽」というような話。つまりジャズはもともとジャズだったのではなく、世界中の音楽がアメリカで合わさって、それが発展することで徐々に形作られてきた音楽だということだ。 そして、そのジャズと呼ばれる音楽はその後もずっと様々な音楽の要素を取り込み、混ざり合い、逆に世界各地の音楽に影響を与えたりもしながら、今