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柳樂光隆の音楽評論

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柳樂光隆が書いた音楽に関する論考的なものを中心に。ここだけに公開するインタビューもあります。
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2019年7月の記事一覧

Interview Lauren Desberg:ローレン・デスバーグ:ブロードウェイ・ミュージカル、カーペンターズからR&Bまでを繋ぐ歌とジャズ

グレッチェン・パーラトやベッカ・スティーブンス、カミラ・メサなどなど、様々な個性のヴォーカリストが次々に現れるジャズシーンの中でローレン・デスバーグはちょっと異質だった。なぜなら出てきたときに「グレッチェン・パーラトに師事」というコピーがついていたからで、「グレッチェン、若手枠なのにもうそんなポジションかよ」的に驚いたし、ローレン自体もずいぶん個性的だったからだ。今思えば、グレッチェンの『Lost & Found』以降、とも言えるサウンドでもあるのだが、その楽曲や歌、録音やミ

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Philip Bailey - Love Will Find A Way:フィリップ・ベイリーがロバート・グラスパーらを選んだ理由

フィリップ・ベイリーと言えば、アース・ウィンド&ファイア(以下EW&F)のヴォーカリストで、名曲「Fantasy」などでの印象的なファルセットでお馴染みだが、新作『Love Will Find a Way』ではロバート・グラスパーに、カマシ・ワシントン、クリスチャン・スコット、デリック・ホッジ、ケンドリック・スコットと現代ジャズシーンの最重要人物たちとコラボレーションしていて、前情報の時点で驚いてしまった人も多いだろう。ただ、これにはそれなりの理由があり、このコラボレーション

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2019年 上半期ベスト50:ジャズ・アルバム by Mitsutaka Nagira

Rolling Stone Japanから2019年の上半期ベスト企画をやるので書いてくれと言われたので、せっかく僕がやるならジャズだけで選んだ方が面白いかなと思ったのと、10枚を選ぶためにかなり多めのリストを作って考えたんだけど、それもシェアしたほうがいいかなと思ってこれをさくっと書きました。よかったら参考にしてみてください。 ■2019年 上半期ベスト50:ジャズ・アルバム 1~10はRolling Stone Japanに掲載しています。下のリンクからどうぞ。 以

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Interview Dairo Suga:スガダイロー:自分はジャズじゃないって思えるようになってきた、心の底から。

スガダイローがベースの千葉広樹、ドラムの今泉総之輔との新たなトリオで『公爵月へ行く』をリリースした。いまだにスガダイローのことをフリージャズのイメージで見ている人はそのサウンドに驚くことだろう。 そこにはデューク・エリントン、ハービー・ニコルス、セロニアス・モンク、ジョージ・ガーシュウィンなどの名曲から怪曲を取り上げながら、それらを斬新なアレンジで演奏するトリオがいた。 中でも今泉総之輔によるビートは現在のジャズシーンのトレンドとも繋がっているもので、それらがスガダイ

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