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柳樂光隆の音楽評論

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柳樂光隆が書いた音楽に関する論考的なものを中心に。ここだけに公開するインタビューもあります。
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2018年2月の記事一覧

Interview - 挾間美帆が語るセロニアス・モンクと『THE MONK : LIVE AT BIMHUIS』

2017年はセロニアス・モンクの生誕100年の年だった。挾間美帆はその記念すべき年にオランダが誇る世界屈指のオーケストラ メトロポール・オーケストラとともにモンクをトリビュートするライブを行った。その模様は『ザ・モンク:ライヴ・アット・ビムハウス』に収録されている。ビッグバンドによるセロニアス・モンク作品集としては、新たな傑作が生まれたと思う。 このプロジェクトの話を知ってから、タイミングが合ったら挾間美帆にモンクの話を聞きたいなとずっと思っていた。たまたま僕も『100年の

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ホセ・ジェイムズ @ビルボード東京 2018.2

Jose James - Dreamer: 10th Anniversary Edition ・Spotify https://open.spotify.com/album/5PJyCzv2cUs1pO12nKsKnR ・AppleMusic https://itunes.apple.com/jp/album/the-dreamer-10th-anniversary-edition/1342426217 ホセ・ジェイムズ観てきました。 とりあえず、ホセのバンドの時のネイト

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ゴーゴー・ペンギン @ ブルーノート東京 2018 02

ブルーノート東京でゴーゴー・ペンギン🐧を観てきました。 ・AppleMusic https://itunes.apple.com/jp/album/a-humdrum-star/1316456155 ・Spotify https://open.spotify.com/album/4jWH3SEnwQjUxA81TksroU エレクトロニックミュージックをピアノトリオフォーマットで生演奏化して、グルーヴはあるけど、非ダンスミュージック的に解釈してて極めてクール。そのクールさ

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interview 福盛進也 - about Shinya Fukumori Trio『For 2 Akis』 後編「僕はドラムを打楽器とは思っていない」

「2018年にECMから日本人ミュージシャンがデビューする。」という情報を得たのは2017年の夏ごろだった。ECMの本社があるミュンヘンに在住の30代で福盛進也という名前のドラマーだと知ったが、どんなミュージシャンなのか僕は何も知らなかった。 会いに行ったのは2017年の8月。関西弁のイントネーションが残る穏やかな語り口で「ユニクロのECMのTシャツ出てましたよね。僕、爆買いしましたよ。」とか言ってしまうような大のECM好きの彼はジャズ史における超名門レーベルでありながら、

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interview 福盛進也 - about Shinya Fukumori Trio『For 2 Akis』 前編「ミュンヘンに移住したのはECMの本社があるから、それだけです」

「2018年にECMから日本人ミュージシャンがデビューする。」という情報を得たのは2017年の夏ごろだった。ECMの本社があるミュンヘンに在住の30代で福盛進也という名前のドラマーだと知ったが、どんなミュージシャンなのか僕は何も知らなかった。 会いに行ったのは2017年の8月。関西弁のイントネーションが残る穏やかな語り口で「ユニクロのECMのTシャツ出てましたよね。僕、爆買いしましたよ。」とか言ってしまうような大のECM好きの彼はジャズ史における超名門レーベルでありながら、

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フランク・オーシャン「Moon River」とMISIA「Everything」とバート・バカラック「Close To You」のこと

フランク・オーシャンがアップしたヘンリー・マンシーニの「ムーン・リヴァー」のカヴァーを聞いて、思い出したことがある。 以前、ダイアナ・パントンというシンガーのライブをコットンクラブに観に行ったあとに「ムーンリヴァー」とMISIAの「EVERYTHING」のことを考えていた時のことだ。 MISIAの「Everything」は冨田ラボのプロデュースで、どこからどう聴いても人間が叩いているようにしか聴こえないドラムが実は冨田ラボによる神業的な打ち込みであることがよく語られている

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ブルーノートのジャズピアノ・コンピレーション『ALL GOD'S CHILDREN GOT PIANO』ライナーノーツ for Web

ブルーノート・レコーズから『ALL GOD’S CHILDREN GOT PIANO』というコンピレーションをリリースしました。 とりあえず、ブルーノートというレーベルがどんなレーベルなのかは以下の記事を参照してください。 これはそんなジャズの名門ブルーノートに残された音源の中から、ジャズ・ピアノに焦点を当てて、選曲したもの。 コンセプトはロバート・グラスパーやジェイソン・モラン、アーロン・パークスといった現在のジャズシーンを代表するピアニストたちを出発点に、ブルーノー

10分でわかるジャズの名門ブルーノートの歴史 - Introduction for 『ALL GOD'S CHILDREN GOT PIANO』

僕が監修・選曲・解説を手掛けたブルーノート・レコーズのコンピレーション『ALL GOD'S CHILDREN GOT PIANO』がリリースされました。ブルーノートの来年80年を迎える永い歴史の中から現代ジャズを楽しんでいるリスナーのために、現代から1940年代までの音源を並べて、21世紀にふさわしいジャズピアノの聴き方を提案するものです。 そのリリースに合わせて、ブルーノートについてあれこれ書いてみようと思いました。まずはブルーノートの歴史を一気におさらいしてみましょう!

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KIP HANRAHAN - CRESCENT MOON WANING 推薦コメント全文

20代のころの僕にとってのジャズシーンのアイドルはハル・ウィルナーとキップ・ハンラハンだった。ジャズにどっぷりハマりながらも、オルタナティブなロックが好きで、ヒップホップやテクノにも関心があり、ラテンやブラジルもかじっていて、たまに古いブルースやカントリーを掘ってみたり、フリージャズやアヴァンギャルドも嗜んでみたりしていた僕にとって、彼らの音楽が他の何よりもしっくりきたからだ。そこには好きな要素のすべてがあった。心の名盤はハル・ウィルナーの『Amarcord Nino R