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柳樂光隆の音楽評論

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柳樂光隆が書いた音楽に関する論考的なものを中心に。ここだけに公開するインタビューもあります。
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2016年8月の記事一覧

CTIレーベル:クリード・テイラーとルディ・ヴァン・ゲルダー

※これはキングレコードからリリースされた《CTI シュプリーム・コレクション》のパンフレットに掲載されてた2013年執筆のテキストを加筆修正したものです。 フュージョン、ソウルジャズ、イージーリスニング、フリーソウル、さヴァ―ビア、サンプリングソース、ダンスクラシックスetc、幾度と無く再評価されるこのCTIレーベルについて、僕は音響主義のレーベルだと思っている。 クリード・テイラーがプロデュースする音楽性や美しいアートワークのすばらしさも無論重要だが、ほとんどの作品で、

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サマーソニック東京初日の上原ひろみ×熊谷和徳×ハナレグミが素晴らしかった件

今日のサマーソニック東京初日のオオトリの上原ひろみは信じられないくらい良かった。上原ひろみの凄さを今日ほど実感したことはない。上原のアコースティックピアノと熊谷和徳のタップだけでロックフェスの客を釘付けにするとかありえない。体験できて僕は幸せだったと思う。これからも語り継がれるようなライブだったと思う。 そして、アンコールに出てきたハナレグミ=永積タカシが素晴らしくて、僕は涙が出たらどうしようかと思ったくらい。目頭は熱くなった。あの曲のCDは買わなきゃ。上原ひろみの伴奏も良

BADBADNOTGOOD『Ⅳ』が夏にぴったりだし、素晴らしいこと

BADBADNOTGOODの今年出たアルバム『Ⅳ』が夏にぴったり過ぎて、いい感じなんだけど、僕の周りではそんなに話題になってない感じするのちょい残念。 ここで全曲試聴可➡https://badbadnotgoodil.bandcamp.com/album/iv 個人的に夏って妙にノスタルジックな気分になったりするんだけど、そういう気持ちを喚起させてくれるいいアルバムが来たって感じ。タイトル曲の「Ⅳ」とかにあるレアグルーヴ感の懐かしさとかを聴くと「あーMAINSTREAMと

小林径さんのミックスCD『Whole Lotta Shakin' Goin' On』を聴いたこと

渋谷にBar Musicという店がある。選曲家でDJでもある中村さんのお店なので、選曲がすごく良いし、店の雰囲気も素敵で居心地が良いので、とても気に入っている店だ。そこにはDJブースがあって、ふらっと寄ると誰かがDJをやっていたりもして、それが大抵いい感じなのも良かったりする。 ある時に、ふらっと寄った時にあまりあそこでは聴けないようなえっらいエッジのきいた、それでいてイチイチいい曲をかけているDJがいて、なんか今日はいかれたやつがDJやってんなーとか軽口を叩いていたら

Live Review:生で見たパンチ・ブラザーズが凄過ぎた

パンチブラザーズの初来日公演(2016/08/04)がとにかく素晴らしすぎた。 彼らの音楽は、どう聴いてもブルーグラスだけど、どう聴いてもインディーロック。ブラッド・メルドーがロック経由で、ロバート・グラスパーがヒップホップ経由で、ピアノトリオのフォーマットのままジャズを拡張したのと近い革新。 ウィルコやベッカ・スティーブンスと並べて聴きたいサウンドだと思う。 というか、21世紀に入って、音楽はどんどんすごいことになっていて、驚くばかり。ブラックミュージックに関して

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