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薬を求め、雨の中を処方箋を握りしめて右往左往する

持病がありますもので定期的に検査に通い、お薬を処方してもらっていて、先週の水曜が三月に一度のその時で、うまく予約が取れずに夕方からになってしまいまして。

結局二時間以上待たされ、検査を終えて、処方箋を出してもらって会計を済ませた時には、すでに薬局の閉まっている時間だった。

仕方なくその日は諦め、翌日の木曜日は帝劇で観劇なので行くついでに薬局に寄ろうと思っていたのが先に他の用事もあってコロッと忘れ、帰りはやっぱり薬局の閉まっている時間になってしまった。

金曜日はちょっと体調がよくなかったので、さらに翌日でいいか…とさほど焦らずにいた。

そして土曜日、午後早めの時間にいつも使っている薬局(A薬局とする)に向かう。
閉店は八時だから、いつも混んでいる薬局だけど多少待たされても大丈夫でしょう、と思っていたんですが。
おかしい、シャッターが閉まっている。
下ろされたシャッターには、

『本日勝手ながら臨時休業とさせていただきます』

の貼り紙が。

まじかー、と嘆きつつ、近くに何軒か処方箋薬局はあるので、移動することに。

ただ、私の飲んでいる薬がどの薬局にも必ずあるというものでもないらしいので(といってもものすごく珍しい薬でもなく、市内でも他に取り扱いのある薬局は複数あると病院で聞いてあった)、何軒か回らなきゃ駄目かもなあと面倒な気分だった。
結構な雨が降っていたので、さらに憂鬱になりつつも、とりあえずA薬局から一番近い薬局に足を運んだところ、

入口に『本日定休日』の貼り紙が…。

そうか、普通病院って土日休みのところが多いから、薬局も土日に休むんだ、とその時やっと思い至った。
いつもの薬局は年末年始以外毎日やっているし、たまに行く内科に近い薬局(B薬局とする)も毎日開いているので、あまり意識したことがなかったよ。

その時点でもはや嫌な予感しかしていなかったんですが、A薬局に行く道すがら営業しているのを確認していたB薬局に向かう。

薬剤師さんが言った。

「すみません、この薬、うちでは今在庫がないので、取り寄せになります」

ほらー。

処方箋を見せた時点で、相手が「あれっ」っていう顔になって、他の薬剤師さんとひそひそ耳打ちしあっていたので、嫌な予感MAXだったんですが。

「もしかしたら、いつもA薬局さんを使ってましたか? さっきも同じ薬を欲しいっていう人がうちに来たけど、取り寄せになって」

なんとなんと。

「月曜日になってしまいますけど、お客さまも取り寄せにしますか?」
「いえ、明日また改めてA薬局に行ってみます」
「でもこの処方箋、今日までですよ」

まじか。
今までもらったその日に処方してもらったことしかなかったので、あんまり気にしてなかったんですが、処方箋って発行日含め四日以内にもらわないと無効になるんだった…。

しょんぼりしていると、「雨が降っていて他のところを回るのは大変だろうから、近くの薬局に電話してみますね」という大変ありがたい申し出があり、薬剤師さんが「ここから少し離れてはいるけれど在庫のありそうな大きめの薬局」に問い合わせてくれた。

が、そこも取り扱いがなくて、「さらに遠くなるけど、取り扱いがありそうなお店」にまた問い合わせてくれると言ってくれたんだけど、これ以上甘えるのも申し訳ないので、後は自分で問い合わせますとお断りして、B薬局を出た。

ざっとネットを調べたら、土曜日でもやっている薬局が歩ける範囲で何軒かあったので、歩いて回ることに。

次に向かった薬局では、薬の名前を告げた時に薬剤師さんがまた「ん?」って顔になって、他の薬剤師さんとヒソヒソ話して、在庫棚を見て、「ちょっと今は在庫ないですねー」と言うので、そこも退散。

寒さを堪えて、雨の中をてくてく歩く。
割と薬局の多い街なので、薬局溜まりがある辺りに向かったんだけど、全部閉まってた。
Googleの情報当てにならんな!

ひしひしと大きくなっていく嫌な予感を背負いながら、歩くのもしんどくなってきたし、ここから先は距離がある薬局ばかりなので、電話をかけていくことに。
最初から電話かけろと思われるでしょう。わかる。ただ私はスマホから電話をかけたことが人生で一度しかなかったので、歩いて行く方が楽だったんだよ。

おかげでスマホから電話するのに慣れた。
電話をかけた薬局は、営業時間外、在庫なし、営業時間外、そもそも電話が通じねえ、在庫なし。

もう電話をかける薬局もなくなったので諦める。

最終的にB薬局に戻って、取り寄せしてもらうことにしました。
最初からそうすればよかったよね。でもこんなに在庫がないとは思わなかったんだ…。

で、今日になって取り寄せ在庫が届いたというので、B薬局まで取りに行ったんですが。

前回はいなかった薬剤師さんが「すみません、この薬のことなんですが…」と困ったような顔で切り出した。

「この薬、うちではもう扱えないかもしれません」

などと言うので、ものすごくびっくりして、

「また何人か死にましたか!?」

と訊ねてしまった。
前に三人くらい死んでるんですよこの薬。
その時ブログにも書いた気がするけど、死んだニュースを見たので、お医者に「死にませんか?」と聞いたら「死ぬかもしれないけど、痛いの嫌でしょ?」って言われたんです。
まあ死ぬのも嫌だけど毎日痛くて何もできないのも嫌なので、そりゃあ、「死ぬかもなあ」と思いながら飲むしかないのだが。だが。

「いえ、死んではいないです」

今回は死んでなかったらしい。

「実はこれ、海外で作られているんですけど、その工場でストライキがありまして。今国内に在庫がほとんどなくて、これを取り寄せるのも大変で。多分次は、もううちでは取り寄せできません」

まったく予想外の説明に、「はー!」と変な声を上げるしかなかった。

「ただ、この薬をいつも扱っているA薬局なら、この状況を見てある程度の数の在庫を確保していると思うので…」

次からそっちに行ってくれ、と言外に言われてしまった。

しかしなるほど、土曜日にあんなにも在庫がなかったのって、薬剤師さんたちがヒソヒソしてたのって、そのせいだったのか。
夏にストがあって、十月の状況でかなり在庫不足だと言われた。
そんなこともあるんですね、勘弁してくれ。ちゃんと働いている人の待遇をよくしてくれよ、多少値上がりしていいから…いや困るけど…。

土曜日にものすごく反省して、「必要なことを後回しにするからこういう目に遭うのだ。前倒しを心懸けよ」とさんざん自分に言い聞かせて、その反省は我ながらごもっともというか何につけてもギリギリなのが悪癖なので直したいなとは、心から、思うんですが。

臨時休業はともかく、ストまでは予測できんわ。
三ヶ月後にまた薬をもらいにいくので、その時は在庫復活してますように…同じ薬飲んでる人、大変じゃないんだろうか…。

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小説家。近著に「ワケありシェアハウス妖怪つき あなたのお悩み、解決します!(三交社)」「空はちゃんと晴れてる(プランタン出版)」。 ウェブサイト|https://www.eleki.com ブログ|https://www.eleki.com/blog/

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