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YOASOBI 1st LIVE ~ライブレポと少しの私信と~

何故僕はこんなにもYOASOBIに心惹かれるのか。

その理由を知りたくて、LiveのTICKETを購入した。こんなに音源以外の生Performanceを待ち望んだアーティストは久しぶりだった。

YOASOBIの好きなところ。敢えて陳腐な言葉で挙げてみると。メロディが好きだ。テンポが好きだ。歌詞が好きだ。声が好きだ。そしてVocalのikuraちゃんの顔が、大好きだった彼女に似ていて大好きだ。

今迄1つの音源のみで、それこそ擦り切れるほど聴いた楽曲の数々は、眩しいまでの光を放ち、それでいて無気質で、現実には存在しないかの様な魅力があった。果たして僕は無気質だからこそ惹かれたのだろうか。それとも、生であってもその魅力は普遍的にそこにあり、僕を魅了してくれるのだろうか。好奇心とワクワクと、少しの不安を抱きながら、その時は来た。

建設途中の新宿ミラノ座を業務用エレベーターで昇りつめ、一夜限りの夜の舞台に降り立つメンバー。さあ、新たな歴史の幕開けだ。

ikuraちゃんが大きく息を吸い込む。緊張と期待と不安を内包する、特別な瞬間。この吸息の音が見ている僕とシンクロするように、一曲目が始まる。


1.あの夢をなぞって

”夜の空を飾る綺麗な花”で始まる一曲目は、まさにこのLiveの始まりを告げるに相応しい歌詞で始まった。花火の歌詞とともにプロジェクションマッピングの花火が夜の無機質な鉄骨の背景に花開き、温かい空気に包まれる。この曲が一曲目なのは、YOASOBIの楽曲の中で1番バンドミュージックに近いからだろうか?この曲なら違和感なく生演奏を披露出来ると思ったかもしれない。

そしてそれは期待通り、いや僕は想像を超えてLiveの生演奏に惹き込まれてしまっていた。この曲でさえ生のアレンジが新鮮で、演奏に硬さは見られてもそれがスパイスとなり、生演奏の良さに溢れていた。待ち焦がれてたYOASOBIの"今"がココにある。記憶に残そうと必死だった。

2.ハルジオン

まずやまもとひかるのキーボードに驚かされた。ベーステクニックは言わずもがな、キーボードまで出来るとは多才な方である。アコギに変えたAshの音色もリズミカルで心地良い。灰雲のドラムは安定感を与え、ざくろのキーボードはリズムを産む。

ikuraちゃんは、ハルジオンのような少しピッチの速い曲でも一言一言を丁寧に、自分の言霊にして表現しようとする健気な姿が胸を打つ。一言たりとも気を抜かない、真面目でストイックな性格が表れていた歌唱だった。ポニーテールも良く似合う。(関係ないな)

途中、ふと思う。YOASOBIにはネオンが良く似合う。

MC

2曲歌ってMC。少し緊張がほぐれた様子。
今日は建設中の建物内でのLive。忍び込んで夜遊びしちゃってるがコンセプト。今後、真夜中の水族館とかでのLiveも相性良さそうだと思った。見てみたい。

以下抜粋。
(緊張で)口パサパサなのよbyAYASEさん
(コメント拾いからの)衣装、お洒落やん!→せやな↑、せやね↓(可愛い♡)
衣装はMA1にスプレーでアレンジした話。
(コメント)ライブありがとう!→こちらこそ有り難うですよ!by ikuraちゃん

そして場の空気を落ち着かせるように次の曲へ。

3.たぶん

YOASOBIの楽曲の中で1番好きなこの曲が聴けただけでもう幸せだった。やはりこのメロウな曲はikuraちゃんの素の魅力に溢れている。そしてこの曲にはAYASEさんの魅力も詰まっている。歌詞の、言葉のチョイスが絶妙だ。夜駆けが足し算ならこの曲は引き算の美学を感じる。

この曲を歌うikuraちゃんの表情がまた秀逸だった。とても悲しい虚しい曲なのに、所々で見せる儚い笑顔は、強がりと嘲笑を含んだこの曲の表現として素晴らしく、曲の内容とikuraちゃんがリンクしながら歌唱してる感じを受けた。Liveって、声だけじゃなくて表情も見れるんだ!YOASOBIの幅が格段に広がり、その魅力にどんどんと惹き込まれていってる自分が居た。

埃は積もっていくんだ。のアクション。
そして最後の指パッチン。
なんて切なく、なんて可愛いのだろう。

僕らは何回だってきっと。そう何年だってきっと。
サヨナラと共に終わるだけなんだ。

当たり前の事を残酷に書く。それでも人は、この恋に終わりは来ないと信じて身を焦がす。自分には件の彼女との関係は、始めから終わりが来る事が前提の恋だったから、尚更この歌詞が堪えたし、だからこそ惹かれて、1番大好きな曲になった。その曲をikuraちゃんが生で歌ってる、それを見て思わず涙が零れ落ちた。

4.ハルカ

そしてAYASEさんの笑顔で始まったこの曲は、一転明るく幸せな雰囲気が漂う。照明もカラフルでポップな印象。2番の頭を横揺れしてリズムを取りながら歌うikuraちゃんが可愛い。本当に楽しそうに歌ってる。ベースの響きがまた心地良いアレンジになっている。

「だから今はどうか泣かないで」
ここは特に今日1番の笑顔でカメラ目線で語りかける様に詠う。笑顔で。
ありがとう。あいしてる。この二言に溢れた幸福なヒトトキ。

MC

突然みんなで乾杯しませんか?との声掛けに、僕も急いで緑(りょく)のお茶を入れる。各々好きな飲み物を入れて暫し談笑。

5.怪物

「素晴らしい世界に今日も乾杯」
ここに繋ぐ乾杯だったんだな。粋な演出にほっこり。フライング乾杯ikuraちゃんを思い出して2度ほっこり(笑)

に反して演出は怪物感満載のダークな演出。躍動感溢れるカメラワークで曲の疾走感を表現する。ikuraちゃんの放つ"あぁ~♪"の歌声は楽曲によって彩りを変える。時に気怠く、時に憂いを帯び、そして時に心安らぐ音色となり、僕らを悩ませる。純真無垢な天使か、はたまた破滅的な悪魔か。そのどちらにもなり得る可能性に惹かれてしまうのだ。

hey!hey!の部分は是非生で、拳を挙げて掛け合いしたいものだと思った。

6. Epilogue


からの

7. アンコール

今回のベストPerformanceは僕には間違い無くこの曲だった。

緊張も解れ、歌い出しから自分の世界にグッと入り込む。音程やピッチの細かな拘束具を全て取り払ったかの様に、伸びやかに自由に軽やかに高音を奏でる。耳で聴いてる筈の声は、染み入るように画面を抜けて伝わってくる。綺麗な声。

「明日にはもう終わる今日に 何を願う 何を祈る」
「今ここで好きなようにただ音を鳴らす」
歌詞が素晴らしく良い。
このLiveの為の書き下ろしのようだ。

"終わりが来ることを待つ世界で→来ることを / 待つ世界で"
"二人きりの街で→二人 / きりの街で"
後日Nステでここのブレスについて話す二人の会話が。一息では辛い後半のサビを、原曲と違うところでブレスを入れることにする話。原曲と違い"来ることを~" でブレスを入れる事を決めていた。こうした違いを愉しむのもLiveならではでゾクッとした。「たぶん」でも、"全てを / 許し合える訳じゃないから"の部分は歌いやすいようにブレスを入れてarrangeしてあったし。この違いだけでも楽しみが格段に増えるので、今回のLiveの音源化、又は映像化を強く希望します!FC限定受注生産で!(笑)


MC

「追い付くのに必死だった」ikuraちゃんの素直な言葉が溢れる。それは歌にも表れていて、ピッチの速い、上下動の激しい歌は、彼女にはとても難しく必死で振り落とされないようにしがみつきながら唄うように見える。でもその危うさを、AYASEさんはワザと作り出し、その空気感も曲に昇華してるように思う。その危うさや儚さがikuraちゃんの真の魅力を引き出している。確信犯のワルだなぁ(笑)

「ひとりじゃないんだなって。」
メンバーに、スタッフに、ファンに感謝の気持ちを語るikuraちゃん。

「幸せもんだな僕は。」
「周りに恵まれているな。」

感謝の気持ちを素直に吐露するAYASEさん。

この謙虚さと真面目さが、年老いた僕の心に突き刺さって抜けなかったんだ。

冒頭に書いた、YOASOBIに心惹かれる理由はきっとココにあったんだ。

「何だか淋しくなってきちゃった…」
「始まったら終わっちゃうんだよ!!」
その刹那的な感覚、まさしくYOASOBI的だよなぁと感じていた。

8. 夜に駆ける

ごめんなさい。この曲はレポを忘れて没頭してました。生音カッコイイし曲の最後にアドリブあるし、これぞLive Versionってな印象でしたが、目に心に焼き付けようと必死で、あまり記憶が無いです(笑)正にクライマックス。

9. 群青


この曲はタイトルコールからスタート。Nステのリハ風景では曲順3曲目に映ってました。試行錯誤した結果、ラストに持ってきた意味は、合唱をLive最後のピークの演出として大団円を演出したかったからなのか。画面の向こうのみんなと繋がって盛り上がる、日本のいたる所でそんな光景が容易に想像できた。

メンバー紹介のようにSessionしつつ、ikuraちゃんが一人一人に歌いかける。それはありがとうの気持ちが伝わる、楽しいが伝わる素敵な世界。

そして最後はAYASEさんと。二人が見つめ合って

"怖くて仕方ないけど
大丈夫、行こう、あとは楽しむだけだ"

このフレーズを二人でアイコンタクトしながら、頷きながら噛み締めている場面に、自分達の今迄の活動が間違ってなかったと再確認しつつ、これからの意志を伝え合ってるような気がした。

この先のYOASOBIが見せてくれる音楽は、どんなモノが待ってるだろうか。

年甲斐も無く期待に震える自分がいた。

Epilogue

今回の1stLiveは、生である事の良さ、バンドだからこその良さがそこかしこに感じられたLiveだった。凄く暖かい空気感…生である意味はこれなんだと思った。こうして生だからこそのアレンジや演奏は、YOASOBIの楽曲達に血を通わせ、人間味のある、包み込む様な温かさを付け加えられたと思う。途中、演者とファンみんなで乾杯したときの"はぁぁ~"と吐いた吐息に感じた安堵感のような、現実の温もりに触れたときの安心感が、YOASOBIに加わった感じがした。また周りに優しい笑顔のバンドメンバーがいることで温かい空気の中で歌えてた印象もうけた。緊張しながらも楽しそうに歌う彼女は、また新鮮だった。

音源と違う事への葛藤をNステで少し漏らしていたAYASEさんの不安も、杞憂に終わったのでは無いかな?あの歌詞を今度はお返しします。

大丈夫、行こう、あとは楽しむだけだ。

それと、若いメンバーの生き生きとした笑顔と演奏に心がワクワクした。若さ故、皆キラキラと輝いて、でもどこか不安で、その人生の素晴らしさそのものの有り様を目の当たりにして、僕は手放しの賞賛と、でもほんの少しの嫉妬と、自分を振り返り過去への後悔と、虚しさをも憶える、そんな素敵なLiveでした。

この配信がLiveだったんだと実感したのは、こうして後日レポを書いてた時。ふいに楽しかった情景を思い出して、喪失感を憶えたから。昨日のLiveには、客電が落ちる時のあの高揚感と、最中の多幸感と、終わった後の喪失感が、確かにあったから。またいつか、このココロの揺さぶりを、音を楽しむ幸せを、同じ空間で味わいたいと思った。

好きなアーティストに出逢うといつも思う事がある。同じ時代に生まれて良かった。存在してくれてありがとう。作品を生み出してくれてありがとう。素晴らしい宝物を沢山貰ったから、無理せず自分のペースで活動を続けていって貰えれば。そしてYOASOBIメンバーその他関係者ファン全ての人生が、笑顔に溢れた幸せな未来であるように願います。

メンバーその他、このLiveに関わった全ての人にお礼が言いたいです。そして、叶うことなら、五感を使える本当の意味でのLiveを開催して貰える事を心待ちにしてます。次は実際に顔を合わせてこの感動を共有したい!優しい彗星を聴いてボロ泣きしたい!

今日、YOASOBIは僕の中で、今を明日を生きる理由になった。


駄文長文でしたが、Liveの感動を素直に文章にしてみました。少しでもあの時一緒に見たファンの方々と熱を共有できたらと。そして、叶うならスタッフやメンバーの目に留まり、Liveをやってくれた事への感謝の念が届く事があるのならば、こんなに嬉しいことはないです。スマホでのキャプで画像が荒い事ご了承下さい。


そして余談を後述。

(ここからはごく個人的な話なので興味ある方だけ閲覧どうぞ)

この日、実は奇跡がおきた。
Live冒頭を見てる時、携帯画面の上部に、もう会う事も叶わない、最後のお別れをした彼女の名前でショートメールが来たのだ。すぐには理解出来なかったが、慌てて4行返信した。

もう一生会えなくてもいいよ。
下らない事でもいいよ。
文字だけでも、繋がっていたい。
だから、また、ふと連絡してね。

そう伝えるのが精一杯だった。今日はバレンタインデー。粋な神様は僕に、かけがえのない音楽と、大切な人との心の繋がりの、2つも贈り物をしてくれたんだ。今日の日を忘れないよ。ありがとう。

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