2022年アメリカ中間選挙の情勢(10月1日)

 こんにちは。雪だるま@選挙です。この記事では、11月8日に行われる中間選挙の情勢について分析していきます。
 今年の中間選挙では、下院435議席、上院35議席が争われます。いずれも現在は民主党が多数派で、選挙後も維持できるかが焦点です。

バイデン大統領の支持率とGeneric Ballot(一般投票)の状況

バイデン大統領の支持率

 バイデン大統領の支持率は、9月30日時点で次のようになっています。

バイデン大統領の支持率(FiveThirtyEight)

 直近1ヶ月では支持率に大きな変化はなく、42%前後を維持しています。30%台だった7月からは上昇していますが、この理由は民主党が中絶問題を背景に大きく支持を伸ばしたこと、そしてインフレ抑制法の成立や奨学金返済免除などの実績を上げたことが理由と考えられます。

 6月下旬に米最高裁が「ロー対ウェイド判決」を覆し、全米での中絶権が保障されなくなったことは情勢を大きく変化させ、苦戦していた民主党が支持率を回復させる契機となりました。
 また、バイデン政権の支持率が低迷する要因だったインフレもピークを迎えたとの見方があり、インフレ抑制法の成立でバイデン政権は経済運営に対する民主党支持層の信頼を取り戻しました
 歴代の政権と比較すると、必ずしも支持率は高い水準といえませんが、民主党支持層からは固い支持を得ていると評価してよいでしょう。

Generic Ballot(一般投票)

 一般投票(Generica Ballot)とは、世論調査で「(議会選挙で)民主党候補、あるいは共和党候補のどちらに投票するか」を問う調査で、特に定数がすべて改選される下院(小選挙区制、435議席)の選挙結果と関連があります。
 日本の世論調査でいうと、政党支持率に対応する指標といえます。

民主党・共和党の支持率(FiveThirtyEight)

 民主党もバイデン政権と同じく、最高裁判決以降に中絶問題を背景として支持率を回復させました。その勢いを持続させ、現在も支持率では共和党を1.3ポイント上回っています。
 しかし、9月末から共和党は支持率で追い上げを見せています。共和党は10月に入ってから支持率を伸ばす傾向にあり、反転攻勢に出られれば情勢は共和党寄りに動いていく可能性があります。

 9月の情勢分析でも述べましたが、大統領支持率の水準に比べて民主党支持率の水準は高く、バイデン大統領の評価と民主党への支持は必ずしも対応していません。
 この現象は、バイデン大統領が再選出馬しないと考えられているためである可能性があり、任期終盤で発生するレームダックの兆候であるとも考えられます。
 バイデン大統領の支持率が低かったとしても、民主党が議会選挙で敗北することには直結するわけではないといえます。

上下両院の情勢

 ここからは、上下両院の情勢について分析します。
 まずは、Generic Ballot と関連が大きい下院の情勢からです。下院では、定数435議席がすべて改選されます。現在は民主党が221議席、共和党が212議席、欠員が2議席となっており、民主党が過半数を確保しています。

 下院は、共和党が過半数を奪還する勢いです。支持率では民主党が共和党を上回っていますが、民主党は支持率で2~3ポイント共和党を上回らなければ過半数を維持できないため、現時点では共和党が過半数を奪還すると考えています。
 また、前述したように共和党は民主党に比べて遅れて支持を伸ばす傾向があり、この後反転攻勢に出る可能性があります。

 続いて上院情勢を見ていきます。上院の定数は100議席で、現在は民主党と共和党が50議席ずつを分け合っています。上院議長を兼ねる副大統領が民主党のカマラ・ハリス氏であることから、民主党が多数派となっています。今回の選挙では、上院は全体の1/3にあたる35議席が改選されます。

 上院情勢は9月中旬の分析で、次のようになっていました。

上院選挙の情勢(9月16日現在)

 この時の情勢から大きくは動いておらず、民主党は49~54議席、共和党は46議席~51議席を獲得すると考えています。

 しかし、一部の州では情勢に変化がみられます。民主党寄りの情勢としていたペンシルベニア州では共和党候補が追い上げているほか、接戦としていたネバダ州では共和党候補がリードする調査が相次いでいます。現時点では情勢判定を変更するほどの変化ではありませんが、今後の動きを注視する必要があります。

 上院では共和党が支持を伸ばしており、民主・共和両党が過半数を巡って激しい攻防を繰り広げています。

今後の情勢はどう動くか

 9月は情勢に大きな動きがありませんでしたが、下旬から上院では共和党候補の一部が支持率を伸ばし、全体の支持率でも共和党が巻き返す動きが出てきました。
 10月になると中間選挙の情勢は、両党の活動量が増加するのに伴ってさらなるスピードで展開していくことになります。このnoteやTwitterでも最新の情勢を分析していきます。

 中間選挙については、次の記事でもまとめています。

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