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【アークナイツ世界観考察】チェス視点からのアークナイツストーリー考察(大陸考察の和訳)

【翻訳転載許可のエビデンス】

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原文:https://ngabbs.com/read.php?tid=21409849&rand=325
作者様UID:12739302
作者様ID:栄耀與毀滅
公開日:2020-4-22(大陸版「闇夜に生きる」実装後、7章実装前)

【ネタバレの有無】

 現時点での日本版ストーリーを全て読了した状態ならネタバレなしです。

【訳者の前書き】

 -7章実装前の考察のため、一部の推測は大陸版の既出ストーリーと異なることがあります。
 -原作者の注釈と訳した私の注釈を区別するために、私からの注釈は「*」マークを使用します。
 -できるだけ避けたいと思いますが、日本版のイベントストーリーが実装される前に翻訳作業をしていたため、正式版の訳と異なることがあります。
 -原作者の方の観点をなるべく忠実に再現する努力を最大限にしましたが、将棋もチェスも知識0の素人なので、術語の使用や表現は間違っている可能性があります。表現の違いについてご指摘いただければ修正します。
 -もしご感想などいただければ、中国語に訳して原作者の方に伝えたいと思いますので、お手数ですがNoteのコメント、TwitterDM、あるいは私のマシュマロに送って頂ければ幸いです。
 マシュマロ→https://marshmallow-qa.com/el_prv

【原文の和訳】

-前書き

 アーミヤの昇進(*Promotion)システムの実装は、アークナイツはチェスと切っても切れない緊密な関係があることを証明してくれました。当時のこの無理やりな推測が一部当たったことに嬉しくも感じます。

 この文章は2部構成で、当初の謎解きから入手した棋譜をベースにストーリーを分析する部分と、「ストーリーはあんまり」のドクターにお勧めしない部分に分かれています。

-ご挨拶

 皆様こんにちは。1年前(*.2019年5月)チェスの視点から5章のストーリーを分析した人です。当時の分析はこちら(https://ngabbs.com/read.php?tid=17264388)。

 文章の中で使用する謎解きの棋譜は、エジプト研(*大陸考察の神組織GORIE)のInvalid_R様のWeibo([https://weibo.com/3418702250/FwtgT2l9W)より頂きました。
 神様の謎解きに感謝を。ご発見とご提供いただいた切り口がなければ、この1年2通の考察が生まれることもないでしょう。ここで敬意を表したいと思います。

 あっという間に一年が過ぎ去り、アクナイのストーリーは徐々に展開していき、リリース当初に残されていた謎の数々も次第に明かされてきました。当時、PVの謎解きから得た棋譜で第5章とその後のストーリーを分析してみたのですが、今振り返ってみたら、あの仮説は根拠なき空っぽでした。
 謎解きの棋譜はもう使うところがないだろうと思っていましたが、「闇夜に生きる」のイベントストーリーを読み終わりましたら、この棋譜は、当初テレジアをはじめとしたバベルの行動計画である可能性が高いと気づきました。

 もう1年前のことになりますが、ハイパーグリフ(*Hypergryph,アークナイツの製作・大陸公式鯖の運営会社,以下ハイパーで略す)が第二回βテストに仕掛けたこの棋譜をもう一度見てみましょう。

-本文

 筆者はチェスについて体系的に勉強したことがなく、プレイが上手いほうでもありません。この文章は、筆者がチェスを基に導きだしたアクナイストーリーに対する色々な推測の置き場であり、中には方向性が全く異なる乃至対立する仮説が複数含まれています。既存なヒントとストーリーについての議論と研究は大歓迎です!

 まずチェスはどういうものなのかを見てみましょう。

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 チェスの駒の初期配置は写真通りです。
 お互いの前列に並んでいる見た目が全く一緒の駒はポーン(歩兵,Pawn)です。
 白側の左から右は、ルーク(*城,Rook)、ナイト(*騎士,Knight)、ビショップ(*僧正,Bishop)、クイーン(*女王,Queen)、キング(*王,King)、ビショップ(*僧正,Bishop)、ナイト(*騎士,Knight)、ルーク(*城,Rook)の順番で並んでいます。

 アークナイツの第二回βテストで、エジプト研の謎解き神様たちはゲームのPVから10手を指した棋譜を解析で入手しました。棋譜の駒配置はチェスのオープニングの1つ、主流の定跡であるシシリアン・ディフェンス(*Sicilian Defense)からの変化、ドラゴン・バリエーション(*Dragon Variation)です。

 まずシシリアン・ディフェンスって何ぞやを見てみましょう。
 シシリアン・ディフェンスは1594年イタリアのPolerio氏が対局で発見した以来、その複雑性と苛烈さ故に、試合でよく使われるようになりました。勝利への渇望により、一代また一代のプレイヤーたちはシシリアン・ディフェンスをベースに新たな構想を探ってきました。そのために、シシリアン・ディフェンスは最も複雑なチェスオープニングとも言えます。

 続いてドラゴン・バリエーションについて話しましょう。
 ドラゴン・バリエーションは、白側がナイトをf3へと飛ばす動きに対応するための黒側の戦略です。
 ドラゴン・バリエーションという名前の由来について3つの説があります:
 ①黒側5つのポーンのd6-e7-f7-g6-h7の並びは龍に見えるため;
 ②双方ともオポジット・キャスリング(opposite castling*)を行った後に、ドラゴンヴァリエーションはよくミドルゲーム(*中盤戦)で激しい戦いを引き起こすため;
 ③星座由来*。
*注:白黒互いのプレイヤーが、反対の側へキャスリングを行うこと。
*注:黒のキングサイド側のポーンの一群が星座の「りゅう座」に似ていると思われる

 ここで少しキャスリング(*Castling)についても話したいと思います。キャスリングについてご存知の方が多いですかね。でもキャスリングの必要条件は、①双方ともキングを動かしたことがなく、キャスリングにかかわるルークも移動したことがないこと;②キングがまたぐマス及び移動先のマスが敵の駒に攻撃されていないこと、という2点があります。
 また、最も重要なポイントとして、キャスリングはできるだけ早くキングを安全なポジションに移動させるためだけではなく、更に重要なのは、左右両端のルークをできるだけ早く戦力として中央(*Centre)に出して活躍させ、自分の攻撃力を高めることができるところです。

 次に、ポーンの昇進(*Promotion)について紹介します。チェスで双方のポーンは一番奥まで進むことができれば、ルーク、ナイト、ビショップ、クイーン、この4種類の駒に昇格することができるという、チェスの中で大変魅力的なルールです。

 シシリアン・ディフェンスは半開放的なオープニングの指し方で、これは黒側が白側の動きに対して能動的に対策を講じることで展開していく、黒側の「反撃戦」です。黒側の考え方を理解するために、まずは白側の行動プランから話しましょう。

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*注:上記の棋譜は作者の原文に入れておらず、理解しやすくするために翻訳の私が、前文原作者が添えたGORIEのInvalid_R様のWeibo(https://weibo.com/3418702250/FwtgT2l9W)より転載させていただきました。ありがとうございます。

 白側がキング前方のポーンを(*e2から)e4に指したのは、キングサイド他の駒が進む道筋を開放させるためで、これは後に(*d2のポーンを)d4へ移動し、中央の制圧を図る構図です。シシリアン・ディフェンスの計画は、cラインのポーンで白側dラインのポーンと交換することで中央陣地のポーン数を確保しつつ、局所的にポーンが多く集まる局面を通じて主導権を握ります。

 シシリアン・ディフェンスの特徴は、黒側のcラインのポーンと白側dラインのポーンと交換した後に形成した非対称型のポーン配置です。白側e4がリードする半開放的な中央は自分の駒の活動範囲を拡大することができます。黒側の複数のポーンによって構築された閉鎖的な中央も、前線に対する強固なけん制を実現できます。そのため、白側は駒の質量で中央をコントロールし、黒側はポーンで場を制御します。
 一般的に、白側は序盤戦と中盤戦で局面を打開しやすく、黒側はその攻勢に耐えれれば最終的に勝つことができます。
 同時にシシリアン・ディフェンスは、双方の基礎やスキルに対する要求が高いです。最も重要なのは、駒の動きを正確的に計算する「読み」です。読みが甘く、相手が何手目にキャッスリングするかの計算を間違えれば負けやすいです。

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*出典:Invalid_R様のWeibo(https://weibo.com/3418702250/FwtgT2l9W
*注:途中から流れ始めたコード付きバーにご注目ください。

*下記引用部分はInvalid_R様の同Weibo中の文字情報を訳しました。
https://weibo.com/3418702250/FwtgT2l9W

E-04
C-05
NF-03
D-06
D-04
CXD-04
NXD-04
NF-06
NC-03
G-06

それぞれの意味は:
白側ポーンE2→E4
黒側ポーンC7-C5
白側ナイツG1→F3
黒側ポーンD7→D6
白側ポーンD2→D4
黒側ポーンC5→D4,白のポーンを取る(Capture)
白側ナイツF3→D4,黒のポーンを取る
(*.黒のポーンも白のポーンも取られた一連の動きは「交換(Exchange)」と呼ばれる」
黒側ナイツG8→F6
白側ナイツB1→C3
黒側ポーンG7→G6

 これは当時Invalid_R様が解析された棋譜です。シシリアン・ディフェンスであることは一目瞭然です。
[https://m.weibo.cn/detail/4177390190557996]

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 これは、ハイパーの棋譜通りに動いた後の盤面です。
 ここまで来たらシシリアン・ディフェンスの中で有名なドラゴン・ヴァリエーションになります。

 ドラゴン・ヴァリエーションについて、白側の動きは2パターンあります。
 それぞれクラシカル・ヴァリエーションユーゴスラヴ・アタック*と言います。(*Wikiで調べた結果、正確的にモダン・ドラゴン・ヴァリエーションの中の一部オフェンス操作がユーゴスラヴ・アタックだそうです。)
 この2つのパターンの相違点から、今後のストーリーの展開を分析したいと思います。

クラシカル・ヴァリエーション

 もしこの盤面は、クラシカル・ヴァリエーションの流れで進んでいくとしたら、クラシカル・ヴァリエーションのコアの考えは正面から強いプレッシャーをかけることで戦線を推し進め、徐々に中央をコントロールしていくことです。黒側の勢力範囲を少しずつ圧縮させることを通じて勝利を得る手段です。しかし、クラシカル・ヴァリエーションは、白側のプランが膨大すぎて動きも鈍くなっているため、黒側は有効な反撃を通じて不利な局面を容易く挽回できます。

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 クラシカル・ヴァリエーションで、白側は黒側より早くキャスリングを行い、膨大な兵力を中央の戦場に投下し、黒側に極めて強い圧迫感を与え、真正面から黒側の防御ラインを崩し、厳重に守られている黒キングを粉砕する狙いです。

 では、ストーリーに当てはめて、テレシスを白側のキング、テレジアを黒側のキングと見なしましょう。

 テレシスの目標は初めから終始変わったことがありません。戦場をコントロールし、全面的に攻勢を展開し、すべての方角からテレジアを取り囲み、黒キングを押しつぶすことを図り、一挙手一投足は封建社会の王族の覇気を纏ってます。極めて早い段階でキャスリングを行った(つまり右側のルークとキャスリングした)ことは、ストーリーの中のカズデルの奪権と照合できます。この1手は正面の兵力(色んな傭兵・専門的な兵士たち)を多く解放・制御し、戦場に投下しましたが、比較的に危険性が高い環境に身を置くことにもなりました。

 私の理解では、テレシスは盤上のキングだけではなく、プレイヤーでもあるため、キャスリングは単なる駒の変化に止まらず、テレシスが真に白側の駒の主導権を握った象徴にもなりえます。元々テレシスは1ルーク、1キングに過ぎないかもしれませんが、奪権を通じて、彼はチェスボードから外れ、プレイヤーとして駒を動かし、他者と対局する能力を手に入れました。

 正面からの強大な攻勢の下で、テレジアをはじめとするバベルにとってこの局面から抜け出すことは至難の業です。白側と広い中央戦場で残酷な殺し合いを繰り返し、肉挽機の中へ新鮮な肉を絶えずに入れるしかありません。ここはScoutがドクターに対してコメントする時に言及されたロドスの戦況に照合できます。止まずに攻撃を発動し、勝利をもたらし、その勝利に大きな犠牲も伴っています。

 クラシカル・ヴァリエーションの中で、白黒双方は往々、3手以内にキングサイド・キャスリングを行います。

 正面からのプレッシャーに耐え切れず、黒側は「仕方なく」、あるいは「意図的に」キャスリングを行い、白側に倣って兵力を解放し、中央の戦場に投下します。
 テレジアのキャスリングは更に大きな象徴的な意味を持っているかもしれません。このキャスリングはPV2のシーン、テレジアがアーミヤに対する伝承の始まりのところに照合できると思います。この後、アーミヤはテレジアの意思を引継ぎ、バベルの3人の戦略によって戦場の霧に身を隠していました。その一方、テレジアは引き続きバベルの精神的指導者として盤上で戦い続けていました。

 気を付けなければならないのは、ドラゴン・ヴァリエーションで黒は後手のため、クイーンサイドには先天的な駒優位性があります。キャスリングは白側より遅れて行っても、強大なクイーンが依然として戦場においては比類なき制御力を有しています。この点については、ケルシーをはじめとするバベルのトップレベルの戦力に照合できます。

 次の駒運びは、白側は肝心なところで戦場の真ん中にいるナイツを撤回させ、陣地の中に隠れているビショップために筋を開けました。これは極めて凶悪の戦術です。

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 テレシスの目標は終始変わったことがなく、つまり最大限に黒側の兵力を消滅させることで、テレシスの戦術はすべてこの目的のためのモノです。この肝心な撤回は、彼の凶暴な牙を暴きました。

 クラシカル・ヴァリエーションは壮大で、白側の全面的なアタックは強大な兵力を以て少しずつ戦場を蚕食していきます。序盤と中盤に重きを強い攻勢ですが、進行がもたもたしているため、黒側に隙を見せることは屡々あります。黒側のほうは綿密に計画を立て、実力を温存し、終盤戦で戦況を一転させ、勝ち取るための努力が必要です。

 テレシスは表向きにテレジアをはじめとするバベルの殲滅に成功し、カズデルを完全に自分の手に入れたように見えますが、黒側はまだ負けていません。黙々と身を隠している黒キングはまだ取られていなく、ロドスも依然として大地を走っているため、これから白側を待っているのは恐らく抵抗する術がない致命的な反撃でしょう。

 ハイパーグリフが残したこのドラゴン・ヴァリエーションはもし、クラシカル・ヴァリエーションのシナリオに沿って展開していくなら皆様ご安心ください。今後の展開は窮地からの反撃戦になるはずで、勝利も必ず皆さまの手に納めるはずです。

ユーゴスラヴ・アタック

 これはドラゴン・ヴァリエーションのもう1つの変化です。白側の痛烈な攻勢が特徴的で、惨たらしい駒交換と合戦で黒側キングサイド厳重な防御を突破し、最終的に勝利を勝ち取るヴァリエーションです。
 ユーゴスラヴ・アタックは世界に公認された、白側がドラゴン・ヴァリエーションに対応する最善策でもあります。

 ユーゴスラヴ・アタックとクラシカル・ヴァリエーションの主な相違点は、お互いの黒マスにいるビショップが定位置に着きましたら、白側はポーンをf3に移動することを通じてキングサイドの盤面を制御し、以降の攻勢のために準備を整っています。

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 ユーゴスラヴ・アタックで白側の強い攻撃欲は一目瞭然ですね。

 前文のクラシカル・ヴァリエーションを書くときに、多くの方はロドスマークが白いルークのこと、アーミヤ&テレジアの伝承とポーンの昇進の関係性について言及しました。これらすべてがとても有意義なヒントで、同時にこのユーゴスラヴ・アタック仮説において重要なポイントです。

 まずはルークの駒を見てみましょう。

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 この駒は私たちが今所属している組織、ロドスのマークとほぼ同じのことは一目で分かると思います。ではこのヒントを使って推測しましょう。

 ユーゴスラヴ・アタックの仮説で、テレジアを白キング、テレシスを黒キングと見なしましょう。

 では、兄妹の間の齟齬は一体何でしょうか?兄のほうは現実派で、強権を以てサルカズを支配し、カズデルの統一を通じて、世界情勢をかき乱すなど色んな手段を使って感染者(サルカズの多くは感染者)の権利と利益のために行動しています。一方、テレジアは理想主義者であることは言うまでもありません。ドクターの皆様は既に分かっているはずです。相容れない理念の衝突は兄妹が仲違いする発端です。
 白側は先手であり、オフェンス側であり、局面を打開する人です。テレジアの理想がテラ世界の大多数の人と異なり、マハトマガンディーのように偉大であることを象徴していると思います。
 序盤の犠牲(ポーンの交換)を経て、テレジアは理想だけで何もできないことが分かったのではないかと思います。だから残酷的かつ過激なユーゴスラヴ・アタックを選んで、バベルを立ち上げました(ポーンをf3に指す1手)。
 妹の考えが分かったテレシスは思い切って権力を奪い、王座を奪い取り、カズデルの公権力をコントロールし、優勢な兵力を寄せ集めて戦争の準備を始めました(黒側のキャスリング)。
 テレシスと対立する中、テレジアはケルシー、ドクターに出会い(白クイーンを前に移動させる)、レム・ビリトンからロドスを発掘し、カズデルに持ち帰りました(白側クイーンサイドのキャスリング)。

 このタイミングで、バベルは既に戦闘の要塞になっており、戦力は緊密に集結し、向かうところ敵なしのはずです(白側はボードの中央に集結)。
 この後の駒運びは「闇夜に生きる」での傭兵の戦闘に照らし合わせることができます。

 ドクターの指揮に従って、バベルは勝ち続け、神話が積み上がっていき、犠牲も繰り返されていました。ドクターの指揮の下で、ケルシーをはじめとするロドスの先端戦力はだんだん戦場に深く入り込み、目標の黒キング・テレシスへ進軍します(白ビショップが中心に入る)。

 この大きな脅威を解決するために、黒側は仕方なく一番強いクイーンを使い、極めて惨たらしいやり方で白側の軍団を猛烈に攻撃し、何としても白側の局面打開を阻止する勢いで、惨烈な中盤戦に入ります。

 一方で戦場の片隅に、テレジアをはじめとするバベルのメンバーたちに隠されたポーンは緩やかに戦場の奥に向かって進んでいます(アーミヤとテレジアは同じ剣を使っており、PV2でテレジアがアーミヤを刺したあの剣です)。

 「私は理想の中で消えていく。でも彼女は、朽ち果てるすべてを燃やし尽くす炎となるでしょう。」*
*.PV2最後アーミヤのセリフ。PV2って何ぞや方用にビリビリのリンク↓
https://www.bilibili.com/video/BV1w4411b7c3/

 ユーゴスラヴ・アタックとドラゴン・ヴァリエーションはチェスの中で最も激しい対局の1つです。誰でも息すらできなく止まらない戦争の中で、ただのポーンが1人で白側の大きな希望を担っています。もし昇進が成功できれば、この一局も終わりを迎えるでしょう。
 シルバーアッシュの例のセリフ、皆様はご存知のはずです。

「あの少女...名をアーミヤと言うのか...只者ではないな。今のうちに枷をかけておかないのであれば、近い未来、彼女を王とする覚悟が必要だな。」

 私の強引な推測をこんなにも読んでいただいて、皆様も疲れたでしょう。
 この呼び水でもっといろんな意見を引き出せれば幸いです。議論は大歓迎です。

 で、ストーリーについて深読みするのがあまり好きではないドクターはもう閉じていいです。続いて分析したいのは、アークナイツというゲームの、最も原初の、深層の部分についてのところです。


―――――――――――――――警戒線――――――――――――――――

 ここまできたのならば、アークナイツは一体どんなお芝居を見せてくれているか、一緒に見てみましょう。
 読んでから何時間思い詰まっていても責任は取りませんからね。

 この棋譜は最初、PV中の2進数解析から得たもので、同時に発見されたものの中に、下記の文章も含まれています。
 For all men traivally great are made so through a certain morbidness, all mortal greatness is but disease
 彼は悲劇の中の偉大な人物。他人を支配することは、彼の性格における病的な表現になっている。人間の偉大さはいつも病的な部分と相生する*。
 *注:原作者の中国語訳を和訳したため、英語の文面に入ってない内容があります。小説から来たものなので、訳者の千石英世さんの訳文は下記通り:
 「悲劇における偉大な人物たちはみな、ある種病的な性格故に偉大である。人間の偉大さとはすべてこれ病い。」

 これは(*アメリカ小説家の)ハーマン・メルヴィルの作品、『白鯨(Moby-Dick)』の名言です。アーミヤの名前はバスク語で「終焉」の意味を持っています。捕鯨の歴史において、バスク人は世界で最も早く*捕鯨を職業として従事した人です。ゲームリリースしてから、基地画面メニューの背景イラストから、ロドスのはずのものはクジラの骨格に見えます*。
 *注:調べてみたら「最も早く」の記述はどこにも見当たりませんでしたが、「大型クジラの捕獲を積極的に開始したのは、仏と西の国境地域に居住したバスク人」という記述がありました↓。
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=2825&item_no=1&attribute_id=14&file_no=1
 *注:クジラの骨の考察や『白鯨』の中の2進数謎解きについて昔少し書いたことがありまして、もし気になる方がいらっしゃいましたらどうぞ↓。
https://note.com/el_prv/n/n588441132138

 これらの情報はβテストが始まる以前、既に存在しています。この棋譜を使ってストーリーを分析するきっかけは正にこれらのおかげです。
 だが実際、ここまでの私の分析はすべてPV情報に止まっていて、皆様にとって比較的に受け入れやすい形にはなっていると思いますが...
 実際はどうなんでしょう?この棋譜、まだ続きがあり、リアルのモチーフもあり、モチーフと異なる結末もあります。
 こういえるのは、下記の感動的な発見のおかげです。
 この一局はPV中の数手だけではなく、既に激しい中盤戦に入ったことが分かり、同時に常軌を逸らしている終局も添えられています。

引用:GORIEのInvalid_R様のtieba&Weiboより
[https://tieba.baidu.com/p/5463281712?red_tag=0315293691]

 第二回βテストの時、ステージX-5をクリアした後のCGから、棋譜の続きがあります。

Ne4
Qa2+
Kc2
Rc8+
......
Rf6
Qxf6++

 照らし合わせたら、これらの駒の動きは、ユーゴスラヴのチェスグランドマスターDragoljub VelimiroviとスロベニアのチェスグランドマスターAlbin Planincの対決で見つけました。
 中の29、30ターンのところです。
 [参考資料:Secrets of the Sicillian Dragon Revised*]
*注:この本のことです↓。
https://www.amazon.co.jp/Secrets-Sicilian-Dragon-Revised-Schiller/dp/1580422799

 chessgameのサイトでこの対局の棋譜を見つけました。1975年のとても有名な対決です。サイトでこの対局は「Veli Vidi Vici」と名付までされました。

 下記のサイトよりこの対局での駒の動きがすべて見れます。
 [https://www.chessgames.com/perl/chessgame?gid=1291258]
 この対局のオープニングはちょうどドラゴン・ヴァリエーションで、その続きも私がより期待しているほうの、ユーゴスラヴ・アタックになっています。
 ちなみに最後は、白側の敗北で終わりました。

 しかし、違うところもあります。グランドマスターたちが指した棋譜で、Rf6の動きはなかったですし、チェックメイトもQxf6のところではありませんでした。
 ターン30の時に、白側は黒側C8のルークにチェックメイトされるはずですが、ゲームのスクショで示された次の動きはRf6でした。

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 スクショの情報からしては、白側のルークはどのポジションであれ(ゲームでの対戦は前述の対戦と異なる可能性もあるため)、ルークをF6に移動することは、黒側のチェックメイトに対応できません。つまり、この手は成立しません。
 この後の、黒クイーンがF6の白ルークを取った動きは更に常識から外れています。棋譜を見ればわかりますが、黒クイーンはターン29の時にA2に移動したため、1ターンでF6に到達し、チェックメイトすることはできないはずです。

 エジプト研の神様たちは海猫氏に直接聞いた結果、CGで文字数制限などの原因で、すべての動きは明かされていません。故に、「・・・」の後に何があったのか、なぜ駒がこんなにもおかしいところにあるのか、私たちは知る術がありません。

 この棋譜が出てたCGで、タルラが廃墟に座ってて、会話している2人のセリフ、名前のところは両方とも「???」と表記されてます。

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 これは現実の対局と照合できる最後のところ、Rc8+。
 黒ルークは白キングを追い詰めてます。

 (*見れば分かる通り、)先ほど申し上げた次の2手は、物理的にはできないのです。

 このヒントにより、私の中でいくつかの推測が出来上がりました。
 シシリアン・ディフェンスは、チェスで極めて有名な定跡で、19世紀半ばの頃、ロマン派ポーン捨ての指し方が流行りで、開放的なオープニング(Open Game)が多かった時代のため、シシリアン・ディフェンスを採用するプレイヤーが極めて少なかったです。19世紀末、シュタイニッツ(*.Wilhelm Steinitz。オーストラリア帝国のプラハに生まれたチェスプレイヤー)がリードした理論派が現れ、彼らは盤面の優勢を少しずつ強まっていき、塵も積もれば山となる戦術を推しています。この案は理論性が強いため、段々支持者が多くなり、多くの19世紀のロマン派プレイヤーたち、例えばドイツのチェスプレイヤー、アドルフ・アンデルセン(Adolf Anderssen)、ルイス・ポールセン(Louis Paulsen)などは老後、この指し方案に切り替えました。この指し方は、20世紀初頭の超現代派(Hypermodern Chess)に広く応用され、50年代に入ってからプレイヤーたちのメインチョイスの1つになりました。
 一方、シシリアン・ディフェンスのドラゴン・ヴァリエーションは既に25-30手目先まで研究され尽くしたため、90年代以降、段々マスターたちに選ばれない指し方になりました。

 だが、ゲーム中採用されたこの対局は、シシリアン・ディフェンス、ドラゴン・ヴァリエーション、ユーゴスラヴ・アタックの極めて有名な対局で、1975年(先ほど時間を間違えました)に行われました。この対局は現代においてなかなか見ないドラゴン・ヴァリエーションの著名な対局です。
 何か思いついたことはありませんか?

お前の作戦、戦術は現代らしいものだが、根底にある思想は古臭いな。一体いつの時代の人間だ?

 もしドクターはこの対局中のもう片方のプレイヤーで、ロドスの白い駒を指しているのなら、黒側はタルラでしょうか?それとも彼女に憑いているもう1人でしょうか?

 この対局は元々、白側の投了で終わりましたが、ハイパーが私たちに伝えたかったのは、この対局は現在進行中でまだ終わっていないことです。白ルークは元々ありえないポジションに入っており、黒クイーンの攻撃を喰らって灰のように飛び散りました。

 Qxf6++ 白ルークを取った黒クイーン以外、もう1つ見えない敵が影の中で虎視眈々と(*攻撃のチャンスを)狙っています。ダブルチェックの局面が出来上がってはいるものの、負けというのはまだ早いです。

 PV2の中で、ドクターの暗号の答えについて、皆さまは既に知っているはずでしょう。
 Back to the future

 同時に、PV2実はテレジアのモノローグだろうと考えます。

 私は未だに棺の中であり、覚めてないのではないでしょうか。
 PRTSはなぜニュートラルコネクタに接続しなければならないでしょうか。

 アークナイツ AR knights


訳者のあとがき

 訳す側として見解違いのところもありますが、それを置いといて少し追記したいです。『Arknights』のタイトルを、『AR Knights』で区切るのって面白いと思いますが、チェスの話になると、「K」がキングを指しているため、騎士は「Knight」の代わりに「Night」を使い、頭文字を使う時に「N」になります。PV1のセリフで、「アークナイツ、方舟の騎士たち」というところがあり、『Ark nights』の区切りも成立していることを補足したいです。


 これは素晴らしい!訳してみたい!って思う大陸のほうの考察がたくさんありますが、アカウント未所持なので、自分で転載許可が取れなくて悲しいです...。
 大陸版のほうは、チェスの考察が多数あり、どれも素晴らしくて、中国語が読める方でしたら是非お見逃しなく。(笑)

↓2020年5月あたりの考察ビデオで、同じ棋譜から8章のストーリーについて色々仮説を挙げて結構当たってる方です...
https://www.bilibili.com/video/BV1QQ4y1N7SW?p=1&share_medium=android&share_plat=android&share_source=COPY&share_tag=s_i&timestamp=1604310359&unique_k=P6UNYm

↓アーミヤの昇進システムと大陸チェス駒グッズの考察
https://ngabbs.com/read.php?tid=23911751&rand=45

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