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富津と駅伝

毎年、「あまりに細かすぎる箱根駅伝」という本をEKIDEN NEWSで作っています。基本的に箱根駅伝のコースマップを一年ごとに詳細にブラッシュアップしていくという、箱根駅伝における伊能忠敬みたいなプロジェクトだと思ってもらえればよいかなと思います。もともとは箱根駅伝を沿道でおっかけ観戦の参考書みたいなところがあったのですが、コースマップの精度があがっていくにつれ、実際に指導する監督やコースを走る選手たちから「EKIDEN NEWSのあの本は使える」ということになり、箱根駅伝を走る選手にとっての赤本になりつつあるそうです(笑)とはいえ、毎年、地図をブラッシュアップしていくだけでは商品にはならないので、毎年、いろいろと企画を考えていきます。普通に考えると選手名鑑やレース展望みたいなものをやるんでしょうが、そういうのはやらないんです。なぜなら、自分が全く読まないから笑 なので、毎年、周囲からの要望やリクエストを全く無視した企画を考えます。「じゃあ、お前がやればいいじゃん」と。やりたければ自分でやればいいのに。とも思うのですが、一番大事なのは、要望ばかり聞いてたら、作ることに飽きちゃうんです。普通、どんな新聞や雑誌やテレビ番組も人事異動があったりするでしょう?そうやって作り手を変えることで作り手が飽きないような仕組みがあるのですが、いかんせん、こちとら1人ですから、自分を「飽きさせないこと」がとても大事なのです。

もともとEKIDEN NEWSは2022年で終了しようと思ってましたから、自分の集大成もこめて、箱根駅伝に興味をもつきっかけとなった「風が強く吹いている」の作者、三浦しをんさんと対談を行いました。いや、もうあれやったから、来年はつくらなくてもいいのよね。と思っていたら、2025年の世界陸上東京もあることだし、なんか続けたほうが良いのかな?と継続することに。それに伴い「あまりに細かすぎる箱根駅伝」も継続することになったのです。ということで、より読者をおいてきぼりにするような独自企画ばかりを盛り込むことにしました。企画概要を読んだ、編集の林田さん(美人)が「かつてないマニアックな企画ばかりですね」と呆れるほど。ただ、最近はコロナ禍で沿道応援自粛モードで掲載してませんが、「ゴール後大手町各大学集合マップ」や「運営管理車内での座り位置」とか、最初に作ったときはとても呆れられたものですが、いまでは風物詩になったでしょう
?最初はそういうものなのです。

さて、今年は箱根駅伝のコースマップ本なのに、「富津の地図をいれたいんですよねー」と言い出しました。富津とは千葉県南部の富津市のこと。駅伝・マラソンの直前合宿のメッカです。富津公園を起点にした5.6kmの周回コースに駅伝・マラソンシーズンとなる、秋から冬にかけて、日本中から大学・実業団チームが集まるのです。アクアラインを使えば都心からも1時間そこらでいけるという地の利や真冬でもそこそこ温かいということもあるのでしょうが、「そもそも富津がなぜ選ばれたのか?」というのがずっと気になっていたのです。

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