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[書評] Andrew Blauvelt "Hippie Modernism: The Struggle for Utopia"
Hippie Modernism : 異なる価値観の緊張関係 本書は2015年にウォーカー・アートセンターで開催された同名の展覧会のカタログである。1960-70年代のヒッピー・カルチャーに関わる300点以上の作品を総覧し、それらを美術史やデザイン史、メディア論、政治思想など様々な角度から検証していくという野心的な展覧会であり、そのカタログである本書もかなり分厚く異様な存在感を放つ。450ページを
もっとみる[書評] 文化的芸術への侵入言論──ジャン・デュビュッフェ『文化は人を窒息させる』
アール・ブリュットという「別の芸術」
本書は、「アンフォルメル」[*1] の先駆者であるとともに「アール・ブリュット」の名付け親としても知られるフランスの画家、ジャン・デュビュッフェの初の邦訳書である。デュビュッフェは、画家として自身の制作を行うかたわらで、精神科医ハンス・プリンツホルンによる『精神病者の芸術性』を手がかりに、精神病院や刑務所などを頻繁に訪れ、幻視者や精神障がい者の作品を蒐集した