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■ 其の278 ■ 中高生の悩みって、ほぼこれだよなぁと思うこと。

酒井順子さんの「下に見る人」(角川文庫)に、目を通しながら、
中高生の悩みって、ほぼこれだよなぁと思いました。
学校のランク・成績・進学先での行き詰まり。ルックス・恋愛・SNS上の立ち位置。承認欲求の満たされ度合。
総じて、人との比較による、上か下かの自分の位置が気になるという心理です。
この本の最後の方に次のようなコトが書かれています。
身につまされる指摘です。

 下の世界にいる時は、「上の世界は、何て素晴らしいところなのだろう。上にさえ行けたら、もう何も望むものはない」と思うものです。が、頑張って上の世界に行った時に必ず気づくのは、「上には上がいる」という事実。「上」という分野の中では一番下にいるということが、骨身にみます。
 上の世界がゴールではないということに気づいた時、私達は「さらに上に行きたい」と思うと同時に、「絶対に下に落ちたくない」と思うのでした。ふと下を見れば、上へ行こうともがく人々の必死の形相が。ついこの前まで自分も同じような顔をしていたのを知っているからこそ、そこには近親憎悪の感覚が湧き上る‥‥。
 子供の頃から、下に見られるのは大嫌いなのに、他者のことはつい下に見がちで、その感覚を楽しんですらいる自分がいました。が、「下に見られるのが大嫌い」であるからこそ、私は他者を下に見がちだったのです。他者を下に見てしまえば、少なくともその人から下に見られることはないのですから。
 子供達の間のいじめ問題が一向に減少しないのは、私のように「下に見られたくない」と思う子供が今もたくさんいるからなのでしょう。  〈中略〉
 人は、若いほど他人と自分を比較し、年をとるにつれて「どうでもいいや、自分は自分」と思うものです。いじめ問題が多発する時期というのはまさに比較盛りのお年頃なのだけれど、大人になれば「なんであんなことでいじめたのか?」と思えてくる。

下に見る人 p196~198

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