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タコスの読書:世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか

この本は「経営におけるアートとサイエンスのバランス」「組織の潜在的創造性の開発」「資本主義とビジネスの未来」等を主な研究領域とする、独立研究者、パブリックスピーカーである山口周さんの17万部を超えたベストセラーです。

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僕は基本、本は自分で書店に行って選ぶんですが、この本を読んだのは、ある経営者の方に強くお勧めされたからです。君はこれを読んだ方がいい。というか、日本の若者にこれをぜひ読んでほしいと。おしゃっていました。

内容もまさに、ハッとさせられるようなものです。

結論を言うと、これからの世界は「美意識」が大事になる。と言うものです。

ただ、多くの人が「美意識」って何かと言われると困りますよね。そもそも何故、美意識が大切になるのか、それについて解説していきます。理由は3つ。

1つ目、今、世界はVUCAの時代と言われ、人類史上最も変化が早く、未来の読めない時代にいます。まず、論理で考えた時、世界中にあるほとんどの会社が同じ答えにたどり着きます。少し前までは、コンサルのようにロジカルシンキングだけで稼げましたが、今は、違います。そして、情報がいくらあっても足りない白黒つかない問題にこれから会社は立ち向かわかなくてはなりません。例えば自動運転。いくらAIが進歩したとしても、事故の確率は0になりません。もし、あなたの所有する車がこのような状況になったとしましょう。いきなり、前の車の視界から子供が飛び出てきました。そのまま急ブレーキをするしかないが殺してしまう確率は高い。とAIが思った時、少し左にハンドルを切れば、おばあさんを轢くことにより、小さい子供を守れるかもしれないとAIは思いました。スピードを出していたため回避はできません。どちらかをほぼ殺すことになるでしょう。この場合、AIはどんな選択をすべきなのでしょうか。そして、誰が責任をとるのでしょうか。こんな答えのない問いに対して論理だけで倫理を考えず選択をするのですか?こういうときは、あなたの信念があなたにとっての正解になるのです。その正解を探すために、美意識を学べと言うことです。

2つ目、テクノロジーの進化とともに、商品のコモディティ化が進んだことにより、人は商品を安さや品質の高さで選ばないようになったことにあります。例えば、コーヒー。セブンのコーヒーって100円で驚くほど美味しいですよね。しかし、スタバで多くの人が500円のコーヒーを買うのです。もちろん、スタバの方が美味しいの方が美味しいと言うのに異論はないですが、そこに400円を払っているのかと言うと違うと思います。何にその対価を感じているかと言うと、スタバがおしゃれなイメージがあったり、片手に持ってるだけで、仕事ができるように見られたり、そう言ったスターバックスのブランディングされた世界観に価値を感じているのです。つまり、商品で差別化することができなくなったので、差別化するにはストーリーが大事になってくると言うことです。

3つ目、その上でシステムが先にできてルールが後に作られる時代になってきています。例えば、ドローンだったりSNSもそのテクノロジーが出てきてから法整備がされるようになりました。つまり、今は後出しジャンケンでその事業が違法とみなされる場合があるのです。そんな時代に、ルールの整備を待っていれば時代に乗り遅れます。ではどうすればいいのか、それが、倫理的判断をすること。人として超えてはいけないラインを超えない経営をする。バイオで人間を作る。とかそう言った話だとわかりやすいでしょうか。

ここまでの話で何故「美意識」を学ぶのが大切か。と言うのがわかったと思います。

では、何故、美意識がここまで廃れてしまったのか。それは、「アート」と「クラフト」と「サイエンス」のバランスが崩れてしまいやすいからです。(この3つが会社の経営バランスにおいて重要です)クラフトとサイエンスは過去や証拠に基づいた話ができるので、口論になった時に、アート側に勝ち目がないからです。会社の役員会議で、僕はこの事業はやめた方がいいと思う。と言い理由を聞かれた際「かっこよくないから」と言ったら、お前はふざけてるのか、とほとんどの会社で怒られると思います。しかし、歴史的にもこの3つのバランスがいい企業は輝かしい成績を収めています。代表格は先ほど例にもあげたスターバックスやApple、ディズニーなどが挙げられます。

そして、これらの企業は、他社やほとんどの人から見たら非効率で論理的でない商品や経営方法を行ってきました。その特徴は、アート系人材を社長が担うこと。まさに、IPhoneの圧倒的に美しいシェイプ、ユーザーインターフェイスなどなど、

そんな「美意識」が今様々な企業で注目を集めています。そこに、世界のエリートがMBAではなくアートの学校に通う理由が隠されているわけです。ただ、僕にはアートの学校に通ってる暇なんかないし。と思う方に3つの美意識の鍛え方をお伝えします。

1.絵画

絵画からは対象を俯瞰して見る力や、固定観念から脱却する力を鍛えることができます。個人的に美術館は好きなのですが、是非足を運んでみるといいといいと思います。写真で見るのとは全く違うものが感じ取れます。

2.哲学

哲学からは、哲学者の考え方や生き方、世界への向き合い方。その思考を生み出すまでに至った、プロセスも学ぶことができます。例えば、「ソクラテスの問答」など有名なのからでいいので、試してみましょう。自分で自問自答するのもいいですが、彼らが数千年の時を経た今でも有名なのにはそれなりの理由が、学ぶ価値があります。

3.文学

文学を読むことによって、自分の共鳴する部分を探し、自らが何に美を感じるのか、何を正しいと感じるのか、を学ぶことができます。また、いい本を読むと登場人物の一生を味わったような感覚に、その人に気持ちが映ったような感覚に僕はなります。そんな心のトレーニングも文学は教えてくれますよ。

エリートとは受験勉強などシステムに最適化された人材のことを指します。そんな彼らに能力があるのは間違いありません。しかし、システムに最適化されすぎたことにより、システムを無批判的に受け入れるようになってしまいます。そんな関係性ゆえに、システムを善としてしまう人が現れるのです。システムを相対化するためにも、美意識は必要なのです。

どうでしょうか。少し、難解な本ですし、僕も読み直しましたが、詳しいことよりも、アートを考えたり、この本をきっかけに美術館に一回足を運んだりする方がよっぽど大切です。Pinterestとかで、美術作品を毎日少し見るだけでもいいと思いますし、これはかっこいい。とか自分の行動に意識を持てるようになると、意思決定が簡単になる気がします。皆さんも「美意識」持って生きましょう。




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