2人の少年。夏の終わり。
先日会社に向かおうと家を出て、道を歩いていた。
すると前から少年が歩いてきた。
通り過ぎるタイミングで、彼は僕の後ろを歩いていたらしい少年に気づき、目配せをして手を振り、
「バイバイ」
と声をかけた。
そして
「夏休みの宿題一個も終わってない」
「えっ!」
というやりとりをして2人は別れた。
そういえば夏休みが終わる頃だ。夏の終わりを感じた。
ここまでの一連を観察していてすごく良い光景を見たな、と微笑んでしまったのが、もう少し余韻を味わいたいと思い、あえてゆっくり歩き僕の後ろを歩いていた少年が横に来るのを待った。どんな様子なのか気になった。
すると彼は、
「えーほんとに?大丈夫なのかな」
と笑みをこぼしながら独り言を言って僕の横を通り過ぎて行った。
ここまでで察するに、前方から歩いてきた少年はクラスのリーダー的な存在(パリ・サンジェルマンのユニフォームを着ていたから間違いない)のいい奴で、多分彼らは顔見知りではあるが夏休みの期間中に一緒に遊ぶ程の仲ではないことを想像した。しかし、僕の後方から歩いてきた彼は、夏休みの間会っていなかった友人と会えたことが嬉しく、また新学期へのワクワクで満ちているのだろうと思った。
夏の終わりに、すごく良い光景を見た。
純粋な彼らのやり取りがとても眩しかった。
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