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WEEKLY CINTERTOTTING NOTES : 2/14/2020

2/10は第92回アカデミー賞の授賞式でした。私にとって母親と二人でWOWOWの生中継を見るのが恒例の行事となっています。今年もこの日のために神戸にある実家へ帰りました。

今年の授賞式の見所はもちろんパラサイト旋風でしたが、個人的にはなんといってもサプライズアクトのエミネムでした。世代というのもありますし、全く予想もしていなかったところに本当に急に現れたので驚きのレベルはその日の最高潮。オーケストラをしたがえてヌっと下から登場し、パフォーマンスを終え、スタンディングオベーションが鳴り止まぬ中何も言わず観衆に背を向けてさっさとステージを後にする姿が本当にかっこよかったです。

また、これも個人的な話しなのですが、私の父親は在日コリアンの2世です。朝鮮学校には行かず、家でも韓国語をあまり使わない方針だったらしく父は大人になってから懸命に勉強し、独学で韓国語を習得しました。私自身もこれまで韓国語に触れる機会が少なく、今も気持ちとしては頑張っているのですがいつまでたっても初心者レベルです。

そんななか、私の母親は日本人で、自称「勉強・努力、何よりも大嫌い」です。(私じゃないですよ、本人がそう言ってるんです)しかしなんと長年韓国ドラマや映画を見るだけで聞き取りのレベルをコツコツと積み上げ、なんと授賞式でのポン・ジュノ監督の言っていることの8割は理解できたそうです。実のところ母がここまで分かっているとは思っていなかったので、そういったことにも気づくことができた今年の授賞式でした。

とても羨ましいなと思うと同時に、家族だからこそ成し得る、理屈じゃ説明できない現象というものがあるよな〜としみじみ考えたりしていました。私もがんばろう…

・2/13「ロマンスドール」109シネマズ川崎 (2020年14本目)
タナダユキ監督作、私は「ロマンス」を観たのが最後だったので5年ぶり。今作は脚本、そして原作の小説も。物語の中心となるラブドールが作られる工場が、誠実に仕事に向き合う人が集る空間といった真面目な美しさがあって素敵でした。

しかし映画の序盤に行われる、おそらく笑わせにかかったやりとりにどうしてもテンションがさがってしまいました。そこで感じた苦さによって高橋一生が演じる哲雄に対し眉間のシワがのびないままのわたし…。

ものづくりに対してもう一段ギアがかかったフェーズにはいるととても見応えがありました。ままならない!という思いにさせてくれるエピソードもとても良く、特にゲーセンで出会った女性と職場に現れた助っ人の上品な引き際に対し残したインパクトの大きさがすごく面白かったです。しかしラストでも眉間のシワは深く刻まれたままの私でした。高橋一生節というのでしょうか、真似したくなりますよね。

・2/13「ハスラーズ」TOHOシネマズ川崎 (15)
つい先日行われた第54回スーパーボウルのハーフタイムショーでのみなぎる輝きが記憶に新しい、我らがJLo姐さんが製作も務めた今作。なんとノーギャラらしい。主演は「クレイジー・リッチ」のコンスタンス・ウー。ウォール街を舞台に、実話を元にしたクライムムービーです。こんなギラギラな世界とは無縁でしたが、リーマンショックが起きた2008年は私もニューヨークにいました。ちょうど大学を卒業したばかりで、就労ビザを希望していた多くの留学生が「この街に残りたいけど、無理かもしれない」という事態に陥ったことをよく覚えています。

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「ハスラーズ」、すごく面白かったです。ストリップバーで出会った女性たちが、誰にも頼らず自分たちだけの力でやっていくぞ!とお互いや自分に言い聞かせるシーンが度々あり、そのメッセージが映画の間ずっとエコーしていました。しかしとても悲しいことにそういった言葉たちとは裏腹に、彼女たちがやっていたことは自立とは真逆である搾取の行いでした。どうしてもその方向へ舵を切るしかない彼女たちには、どうしようもない大きな力によって人生が動かされてきたというのが痛いほどわかるのでとても辛い。無意識に何もかもが繰り返されていると感じました。

そういった辛さはあるのだけど、彼女たちは生き抜くためにものすごい腕力や知恵も確かに持ち合わせていて、それを余すことなく発揮させる姿は非常にまぶしく、輝いて見えました。もうとにかくJLoが笑っちゃうぐらいかっこいい。屋上のシーンは私調べでは映画史に残るかっこよさです。それに食らいつくコンスタンス・ウー演じるデスティニーの賢さと真面目さもユニークでした。

二人の友情が、ぐちゃぐちゃになりながらも強く結びついてる様子には大変泣かされてしまいました。終盤のあるシーンでの二人のやりとりには魂がこめられてましたね。また、Motherhood is a mental illness(字幕だと『母親は全員イカれている』)というセリフが物語の中で長く強く効いてくるところもうまいな〜と思いました。デスティニーが嵐のような夜を過ごしたのちに大慌てで子どもを学校に送るシーンの切実さったらないです。すごい長回しだった。

めちゃくちゃイケてる女の子たちのイキイキした姿は見てるだけですごく楽しくて本当に笑えるし、劇中にさしこまれる音楽はどれもカッコイイ。LORDEのRoyalsが流れるシーンは痺れました。とあるスーパーゲストの登場シーンのキラキラ感はたまらなかったです。あれもよかったね、このシーンもすごかった!と、お友達といつまでも語りたくなる一本でした。

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