仕事を発注する時に実際におきた人的な問題

僕たちは仕事柄、自社だけで完結出来ないことが多いのでそういう場合は社外のパートナーと一緒に仕事をすることがよくある。
特にWEB関係の仕事をしていると無形商材が故に受注者の信用度が高い人のところに発注は集中する。ありがたいことに会社としても個人としても業界に10年以上いて受託という請負型の事業を続けているというだけで様々なお話を頂くのだが、最近では社員を雇用するよりも得意領域が異なるパートナーと組んでプロジェクトをやった方がよりよいものが作れるので年中パートナーを探している。

しかしパートナーというのはとても厄介だ。
いや、ちゃんとしている人はたくさんいる、むしろそういう人や会社としか取引しないのだが、信じられないことが起こったりする。

大手も中小も関係ない

この手の話は中小企業がターゲットになりがちなのだが、大手企業も失敗している。ただ大手企業はパートナーの選定に時間をかけるし、分厚い契約書を締結するし、確率は低い。しかしことWEB業界では国家資格もない、経歴詐称もし放題、実績も捏造しまくれるって感じなので昨日までパソコンを触ったことなかったような人でもWEBデザイナーですと言ってしまえば名乗れてしまうのだ。
ちなみに会社であってもちゃんとしていないところはスケジュールは遅れるしバグだらけだしなんてことは日常茶飯事だ。あのDeNAの創業者の南場さんですら著書の中で創業期のシステムが出来てなかったという事件を綴られてるぐらいよくある話だ。

業界に潜む闇

そもそもなんでそんなことが起こるのかというと全体的なリテラシーが低いというのが問題だ。最近はDXと叫ばれあらゆるところがデジタライゼーションされてきているが、ホームページがどういう仕組で画面に表示されているのか、どうやって作られていてどれぐらい時間がかかるものなのかわからない人がホームページやシステムを売っている、これが日本なのだ。
買う側も出来たものが良いのか悪いのかわからない、誰も正解を知っている人がいない中で商売が成立している、はっきりいってこれは異常だと思う。
基本的にコミュニケーションが高く営業能力が高い人ほど細かい作業が苦手だったりする、しかし売ることが上手なので売れていく、売れてもその人には作れないから外注する、といった流れになるのだ。

コミュニケーションの高い人がエンドの企業から直接受注することもあれば広告代理店のようなところから受注することもある。しかし受注した人に経験やスキルがなければここから更に発注が生まれ、3次4次5次請けなどの負の連鎖が始まる。

フリーランスという名のキラキラ

最近では副業も解禁され、フリーランスで働くということにも市民権が得られているような気がする。しかしそれこそがWEB業界では危険だ。
なぜなら繰り返すが国家資格も必要なければ今日から、今からでも肩書を手にすることが出来る業界なのだ。その人を推し量る材料なんてどこにも存在しない。
WEBデザイナー、システムエンジニアですといってもレベルは人によってかなり違う。この辺りは発注するにあたっても経験が必要だと思う。

実際にあった話をしていこうと思う。

飛ぶ人たち

これはフリーランスの個人や小規模の会社でよくあるパターンだと思う。
ある日突然連絡が取れなくなるのだ。電話しても出ない繋がらない、チャットやメールしてもレスはない。
もちろん契約はしていて自宅の住所も記載があるのだが、地方過ぎて凸することも出来ない。書面で送っても無視。あるいは住所すら嘘なこともある。
そうやって突然いなくなり飛ぶのだ。何の前触れもなく。しかも飛ぶ人たちはなぜかめちゃくちゃいい条件で締結をして話が進んでいる最中にいなくなるのだ。バックラーといわれる職業の人たちなんだと思っている。

逆ギレの人たち

条件面やスケジュールなどすべてが揃っていて開始しても自らのレベルが足りず見込みもずれ大幅なスケジュール遅延や要件を勝手に変えたりとにかく約束事を守らないのが特徴。そしてそれを指摘するとこちらが悪いというように逆ギレをしてきたりその金額では出来ないということを言い出してきたりする。直近でひどかったのは納品物がないというものだ。何にお金を払ってると思っているのだろうと思う。

何をしているのかわからない人たち

気がつくとトンネルされていてさらに誰かに投げている。(もちろん再委託は禁止だが)これは発注者でもよくいる、本当に何もしていない人。名ばかりなPMとかも結構いる、実際にはワークフローも書いてなかったり仕様書も理解していなかったりする。

適当になる人たち

本当に何もわからないお客様を相手にしている人によく見られがちなのがこれ。よくチェックすると空白が空いていたりボタンがズレていたり色が違ってたり変な挙動になっていたり聞いてない要件とかを入れてくる。
こちらがチェックしていない、素人だと思っているのかもしれないが、こういう人たちは一定数のレベルを超えてくるとよくいる。

何も知らない人たち

例えばWEBデザインの基本ルールだとかトンマナとか業務で行う以上は必ず必要になることを知らなかったりする。こういう人は使っているツールもやたら古かったりして、SaaS系の進捗管理ツールとか全く知らないとかはよくある。こういう人たちはこちらが要求した共有環境を用意出来ず連絡がなくなることでよくフィニッシュする。

シングルタスクなのにマルチタスクな人たち

1つ案件が進んでいたらそれを終わらせるようにするものだと思うが、なぜか一気に2〜3、それ以上の案件を請けていたりする。っで基本的に遅れる。そして遅れたことを平気で他の案件で忙しかったんでとかいう。こういう人たちは金額規模で優先順位が変わるし遅れることの事前相談もない。暇なときは営業をかけてきがち。

病む人たち

心優しい人にありがちなのがこれ。激しめな忙しいプロジェクトに入って戻しが多かったり要件が細かったりするとめちゃくちゃしっかりやってくれる分途中で精神的に病みだす。それ自体が悪いことではないのだが、優しすぎるぐらいなら独立なんてするべきじゃないと個人的には思う。社員じゃないので過度にケアすることも出来ないし契約で成立している関係なので結構困る。

お金をもらっていなければ責任がないと思っている人たち

経験が浅い人に多いのだが、契約書を締結してプロジェクト途中で無責任に放棄する人たちがいる。その人たちは総じてお金もらってないし受け取らないからいいでしょっていう態度で放棄してくる。もちろんお金受け取ってないから無責任なことをしていいわけではなく、それによる損害はきっちり請求されるので出来ないなら最初からやるべきではない。

共通点

病む人たち以外には比較的共通点がある。
コミュニケーションが取りやすいのだ。もちろんコミュニケーションが取りやすくてしっかりやってくれる人はたくさんいる。だがコミュニケーションが取りやすすぎるのはいささか気をつけている。なぜならエンジニアやデザイナーなど職人気質な仕事の場合ちょっとぐらいとっつきにくかったりクセがあったりする。なので仕事を取ろうとしてくる人より世間的に好かれないのだ。しかしそういう人たちのほうがしっかり最後まで責任を持ってやってくれるケースが非常に多いので発注側は気をつけてほしいと思う。

ちなみに、うちの会社での取り組み

10年以上やってるといろいろな人たちと出会い仕事をする。
記載のあったような人たちにひどい目に合わされたこともたくさんある。それは会社としても社会としても損失になるので、うちでは取引している方や企業は逐一状況を共有し、リスト化している。問題があればブラックリスト入りする。こういう個人の信用が重視されている時代だからこそ、些細な取引には気をつけてほしいと思う。他社へ共有したりはもちろんしていないが、社内のノウハウとしてリストとして信用度をレビューしていたりするので今後も同じ人に依頼することやうちから他社へ紹介することもない。
また発注側としてやるべきなのは投げっぱなしにしないということ、きちんと社員が責任をもって仕事を把握してコントロールすること。手離れすればするほど自分ごとじゃなくなってしまう。だからそこは1番気をつけているし、最終責任の所在もはっきりさせている。
っていうところまでくるのに10年の月日が流れたぐらいなのでくれぐれも軽視しないで頂けたらこれ幸いである。

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