見出し画像

妖精がいればいいのに。

心の中に、妖精がいればいいのに。
あのピーターパンに出てくるような、
元気でかわいい妖精がいればいいのに。

心、寂しく感じるとき、
ふと、そんなふうに思うことがある。
誰にも言えないような、少女みたいな願望に
思わず両手で消したくなるけど
でも、私は構わない。

願いは私の自由な特権。
心に妖精がいればいい、と願う。

ただ、その存在だけで
どんな寂しさもあたたかな微笑みに
救われることだろう。

ただ、その優しさだけで
どんな悲しみもやわらかな温もりに
癒されることだろう。

何も言わなくても、
ただ、黙って頬杖ついて
私を見つめてくれているだけで、
たぶん、私は救われる。

ひとりきりじゃない。

そんな単純な想いひとつで
心は明日に立ち向かえる。
そんな不確かな想いひとつで
心は確かな約束を得る。

でも・・・

心に妖精なんてものはない。
なにもない。なにも見えない。

でも、そこには何かが”ある”。
あるように私は思う。
私だけの、存在しえる何かが、そこに。

まだ、それが
何かはよくわからないのだけど

想うだけで、耳からではなく
心に聞こえる歌のように

想うだけで、目からではなく
心に見える風景のように
私だけの、存在しえる確かな何か。

もしかしたら、それらこそが
私にとっての妖精みたいな存在かも?

この目をただ、閉じさえすれば
いつでも出会える歌や風景が
心のどこかにあるように。

泣いたり、笑ったり、
怒ったり、悲しんだり。

そんな中、
誰かが微笑んでいる。
誰かが頬杖ついている。

そうか、こうして生きてきた、
私はすでに、ひとりじゃないんだ。

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一