ウイルスと幸せの結論。
久しぶりに近くの温泉に行く。いつもより人が多くてビックリする。でも、なんだかそれがうれしい。好きな場所が愛されてるみたいな感じがして。
湯船につかる。ここは山の中にあるので、大きな窓からは限りなく自然が見える。空も広く見える。あいにくの雨だったけど、雨の音がどこまでも優しい。時折、雲のすき間から日差しが射し込み、それが湯けむりと湯船を照らしてゆく。私はこの光景がとても好きだ。天使の仕業かと思うほどに。
温泉に浸かっていると、心がふわっと広がってゆくような気がする。そしてひとり考える。いや、考えるというよりも、自然と心が駆けてゆく感じがする。いつもそれが、私はとても不思議に思う。
幸せについて考えていた。
あっさりと私の中で結論が出た。いやいや、そんなあっさりとわかるもんじゃないだろ!と自分で突っ込む。でも、結論が出た。私なりの。
幸せはきっと、「今を生きている」そのことだろうと。
だから、今を生きているすべての人たちは、みんな幸せなんだと。
書いていて自分でも、何て世間知らずなんだと思う。生きているだけでも大変な人もいるし、辛い病気で苦しんでいる人もいる。今この瞬間にも死にたいと思っている人も、きっといる。そして、普段、気づかないけれど、毎日誰かが必ずどこかで自分で自分の命を落としている。
”幸せが、今を生きていること”と言う、言葉が簡単に揺らいでしまう。
今が健康で五体満足な私の戯言かもしれない。こんなふうに温泉に入って、のんびりしている私だから言えるのかもしれない。
それでもいい。
私は幸せは今を生きていることと、断言したいのだ。それを誰かに押し付けようとは思わない。そう思う私がいればいいだけなんだ。
今、世界は、まだよくわからないウイルスで不安の中にいる。それがきっかけで差別や争いも起きていると聞く。いろんなイベントごとが中止になり、人々も外出を控えるようになり、経済も冷え込んでゆくことが想像できる。
だから不幸になってゆく。
いや、そんなことはない。私は思うのだけれども、今、世界は静かに一つになろうとしているのではないかと。見えない敵からみんなで互いに守ろうとしているのではないかと。
自分を守り、相手を守り、互いを尊重してゆく。同じ敵から、みんながみんなで守るために。今は人同士が、いがみ合ってる場合じゃない。国同士が、争ってる場合じゃない。
誰もがそう思えたとき。
私の中で、また、答えが心に浮かぶのだ。
幸せは”今を生きている”そのことなんだと。
最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一