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【小説】えだゆうの桜。
昔、書いた短編小説です。少し哀しい物語。でも、心は明日へと向かっています。こんな不安な時だけど、少しでも心が柔らかくなって下されば幸いです。
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その黄色い帽子は、随分と前からその桜の木のてっぺんの枝に、引っかかっていたような気がする。なぜ、その帽子がそこにあるのかを、そのときの僕は、まだ、知らないでいた。
桜にはまだ、花が咲いていなかった。
僕の記憶では、その桜はもう、2年
あんなに儚い約束を。
いつか、あなたと約束したけど
遠い昔のことだから
なんてずっと思ってた。
大人になるにつれ私には
なくしたものと、哀しいことが
星の数ほどありすぎて
あの頃の小さな夢は
もう、笑顔では話せないの。
でも、あなたのことだから
きっと忘れてくれているよね。
いつも優しいあなたのことだから。
今、通り雨がすぎた。
街がまた、動き出す。
私はあなたを待っている。
そして、あなたを待っていた。
ぼくはアクマのハムスター。
*この作品は、昔、私と当時、小学1年だった娘と一緒に作った絵本です。小さな子供でも読めるように、全部、ひらがなで書いています。約4千字になりますので、お時間のある時に、読んで下さるとうれしいです。
*作中のイラストは小学1年生だった娘が書いたものです。
青木詠一
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ぼくがゆきちゃんと、はじめてであったのは、ゴミすてばだった。あのひのことは、いまでもぼくはおぼえて
流れ星と小さな祈り。
言い争いになりそうな
一歩手前の中途半端な気持ちのままで
僕たちは月明かりの下を歩いた。
どこまで歩いても中途半端で
どこまで歩いても悪いのは僕で
黙って小さく泣きたい気持ちを
ただ、我慢している君に
僕は何も言えやしない。
歩き疲れて公園の
ベンチにふたり座りながら
ふと、夜空を見上げたとき
僕らは流れ星を見つけた。
あ、星が…と、僕が思ったときにはもう
君は両手で小さな祈りを捧げていた