イギリス留学体験記【グロービッシュ】
この記事では英語による覇権と、少数民族が使用する言語の現状について、リーズ大学大学院で学んだことを共有します。
グロービッシュとは(Global)と(English)をかけた造語で、英語が世界中に広がっている様子を言い表した言葉です。
英語がここまで急速に広まった背景には、2度の世界大戦が大きく影響しています。
第一次世界大戦で勝利した側のイギリスは産業革命を起こし、世界中に大きな影響力を持っていました。
第二次世界大戦ではアメリカが台頭し、イギリスに変わって世界の覇権を握ることになります。
イギリスとアメリカの共通点が、英語です。
現在、ITなどの新産業や、金融などの研究が盛んなアメリカでは、新しい専門用語が次々と英語で誕生しています。
それらの専門用語の背景には、たくさんの関連語があり、それらの最新情報を理解するためには、英語を学ぶことが最も手っ取り早いのです。
世界の変化は激しく、その変化についていくためには、英語学習が欠かさないというわけです。
反対に、もし英語によって生み出される最新情報にアクセスすることができなければ、情報格差はどんどん広がっていってしまうでしょう。
その一方で、「グロービッシュ」には大きな副作用があります。それは、世界に7000語程度あると言われる少数民族が話す言葉がどんどん失われている現状です。
もし、若者が英語を重視して、子どもにその民族の言語を教えなくなったら、その言葉は世界から消えてしまうことになります。
英語が使えると、世界中の人とコミュニケーションができる便利な一面がありますが、世界から多様性が失われていることと表裏一体なことは知っておく必要があるでしょう。
言語は、その文化で大事なことを表すパロメーターです。
例えばアイヌ語では雪に関連する動詞がたくさんあります。
「雪が少し降る」「雪がたくさんふる」「雪が葉っぱについている」など
日本語ではこのように表現することに対して、それぞれ専門の動詞があるということです。
他にも、中東地域の言語では、「ラクダ」に関する動詞がたくさんあったり、様々です。
このように、その文化が何を大事に生活してきたのかは、他の言語と対比することで見えてきます。
もし世界中で英語しか話さなくなったら、それは比較することが許されない単調で、つまらない世界になってしまうかもしれません。
しかし、現在あたらしい潮流が生まれています。それは・・・
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