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2021.9.25 - J1 : 東京×浦和

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introduction

ホーム・味スタでの連戦が続いた東京だが、その連戦も今日が最後。季節が進んで涼しくなってきたこともあり、しばらくぶりのデーゲームでの試合開催だ。天候はどんよりとした曇だが、気温が高くないため、選手にとっては比較的やりやすそうなコンディションである。

今節迎える対戦相手は、勝点「51」で現在6位の浦和。東京は勝点「5」差で追う上位との直接対決だ。前節の名古屋戦は内容は悪くなかったものの1-1のドローに終わっており、今節こそは勝点「3」を奪って上位との勝点差を詰めたいところ。浦和とは今季の開幕節にアウェイで対戦して1-1のドローだったが、その後の浦和はユンカー・ショルツといった外国籍選手や、日本代表の酒井、更に江坂などを補強しており、選手がかなり入れ替わっている。あまり参考にしない方が良いだろう。

前節から1週間の準備期間があった浦和に対し、東京は中2日での試合という厳しいスケジュール。コンディションを考慮したか、攻撃陣のディエゴ・アダイウトン・東はベンチスタート。また、前節の悪質なプレーで退場処分を受けたレアンドロは、リーグ戦3試合の出場停止。更にクラブ独自の対応としてルヴァンカップ準決勝2試合の出場停止を課すことになったため、10月下旬まではレアンドロ抜きで戦うことになる。チームとしてはメンバーのやりくりが苦しくなるが、うまく乗り切りたい。

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1st half

スコアはいきなり動く。試合開始早々、東京のマイボールで森重が自陣からロングフィードを送り込むと、ゴール前へ斜めに走りこんだ田川がトラップして抜け出し、勢いのままゴール右隅に流し込んで1-0。予想だにしない電光石火の1点にスタンドが思わず沸き立つ。記録によると試合開始から僅か「36秒」での得点だったようだ。

東京が先制したとはいえ、その後は浦和がゲームを支配。ボールを失ってからのプレスが素早く、簡単に繋がせない。攻撃も縦パスをどんどん入れてくる。組み立ての中心となるのは、いずれも今季J2から移籍加入した小泉と平野の中盤2人だ。無駄に長く持たずにテンポよく味方へボールを配給し、推進力を与える。サイドバックも高い位置取りで押し込んでくるため、東京はどうしても受け身の展開だ。

前半の飲水タイムから40分あたりまでは、東京がセットプレイから何度かチャンス。CKやFKのこぼれ球をやや強引にでもシュートへ持ち込むなど、攻め切る姿勢は見せるものの、前半の残り時間が少なくなると浦和が再び攻勢を一気に強める。42分には波状攻撃からPA内に侵入されるが東京がどうにかクリア。耐える時間が続く。

しかし45分、浦和は右サイドを起点に柴戸の縦パスを受けた平野が、右サイドから走り込んだ酒井へスルーパス。酒井が波多野の股下を射抜くシュートでゴールネットを揺らす。当初は副審がオフサイドフラッグを上げてゴールは認められないものの、VARが介入してチェックを実施。結局オンサイドのジャッジにより酒井のゴールが認められ、1-1の同点となる。東京としてはどうにか1-0のままハーフタイムを迎えたかったが、浦和が攻撃の圧力を強めてくるのに耐えきれなかった印象だ。

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2nd half

東京はHT明けからディエゴと東を投入。前線にディエゴと永井が並ぶ4-4-2にシステム変更する。50分には森重のフィードを永井がヘディングで落とし、これをディエゴが拾ってシュートに持ち込む良い形。60分には永井が下がってアダイウトンが入り、ディエゴと田川の2トップに変更。すると61分、セットプレイの流れから右サイドに流れた森重のクロスを田川が頭で合わせ、これがクロスバーを叩く。依然として浦和のゲーム支配が続く中、徐々にチャンスは作りつつある。

しかし落とし穴はその後に待っていた。66分、浦和は関根が強烈なミドルシュートを放つと、これがクロスバーをヒット。すかさずこぼれ球に詰めた江坂がゴール右隅に押し込み1-2。浦和が逆転に成功する。東京が今季のホームゲームで逆転を許したのは、これが初めてだ。田川や三田の投入など、攻撃的なカードを切った時間帯の直後での失点というのも痛い。

逆転された直後の飲水タイム明け、東京は長友が右のWBに入った3-5-2にシステム変更。左サイドの長友・アダイウトンのユニットと比べて、右サイドの推進力が足りないのを補おうという意図の配置変更だろうか。74分にはその長友の右クロスにアダイウトンが飛び込んでヘディングを放つ場面があったが、アダイウトンの攻撃参加で空いたスペースを安部が1人で必死にカバーしており、全体的にはアンバランスな気がしないでもない。

85分、東京はDF登録でベンチ入りしていたウヴィニを投入し、最前線に配置。つまるところパワープレイだ。やりたいことは分かるのだが、3バックへのシステム変更と同じく「急拵え」感が強く、ちゃんと準備をした上でこの戦い方を選択しているのかは不明だ。結局、空中戦で競り勝てずにセカンドボールも拾われ、そのたびにカウンターを受けてしまう。浦和も右サイドに田中を投入しての時間稼ぎが的確だった。結局、東京がパワープレイに移行してからはむしろチャンスは減少。1-2のまま試合終了となった。

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impressions

東京にとって、今季これまでで最もメンタルに響く敗戦だったのではないだろうか。とりわけ「逆転負け」という現実が重い。開始早々のゴールにより、精神的な優位に立つことができたにも関わらず、主導権をみすみす相手に明け渡してしまったのだ。ボール奪取から効果的な速攻に繋げられなかったことも一因ではあるが、中央で簡単に縦パスを入れさせて浦和の攻撃を加速させてしまったことが大きかった。これによってサイドバックも攻撃参加できるようになり、結果的に前半ATの酒井の得点が生まれてしまっている。前半を1-0のまま折り返すことができていたら、後半はもっと別の戦い方ができたのでは・・・と思うと、勿体ない気持ちが残る。

逆転を許してからの戦い方にも疑問が残った。長友を右サイドに回した3-5-2のシステムや、ウヴィニを最前線に据えてのパワープレイは、観る側としてもちょっと予期していなかった戦い方だった。中2日の日程に加えてレアンドロが不在となった中、準備期間が確保できなかったことは差し引いて考えるべきなのかもしれないが、「この試合のために準備してきた作戦」というよりは、ただの窮余の策にしか見えなかった。ここまで浮き沈みの激しいシーズンながらどうにかやりくりして戦ってきたと思うし、今日の試合も選手たちは頑張ってはいたと思うが、こんな唐突に万策尽きた感のあるサッカーを見せられるとは思わなかったので、試合が終わってもしばらく気持ちの整理がつかなかった。

ACL出場権を得られる3位との現時点での勝点差はまだ暫定で「8」ポイントだが、他チームの残り試合数が多いことなどを考慮すれば、この勝点差をひっくり返すのはほぼ絶望的に近い状況となった。何より、その上位との直接対決が続いた前節と今節で勝点を「1」しか積み上げられなかったことが、端的に今季の東京の力不足を表していると思う。それを受け入れた上で、残りのリーグ戦をどのように戦うか。次節はアウェイで首位・川崎との一戦。非常に気が重いシチュエーションになってしまったが、こういう状況だからこそ吹っ切れた試合をしてほしい。

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