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情熱大陸 芝野虎丸 書き起こし

◇ プロフィール

性別 男
棋士段位 九段
平成11年(1999年)11月9日生。
職業 囲碁棋士
囲碁を始めたきっかけ 漫画 ヒカルの碁
タイトル/称号 名人・王座

平成26年 15歳でプロ入り。4人兄弟の上から三番目。大学生の 龍之介(兄)さんもプロで囲碁二段の腕前

ナレーション(以下 ナ)「(名人戦の就位式での)どこか脱力系のエピソードが話題になった。」

芝野「不安と焦りでいっぱいになった時もあったんですけど、チャーハンを頼みまして、そのチャーハンがすごく山盛りで半分くらいしかたべれなかったんですよね、そこでなんかもう吹っ切れてしまって、それで第二局を取ることが出来て、」

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ナ 「稀代の勝負師にはかわいいという言葉がよく似合う。囲碁棋士 芝野虎丸」

「専門誌の新年号で表紙を飾るほどの存在だ。」
「去年秋には名人戦に勝利。あの井山裕太の最速記録を塗り替えて、19歳にして囲碁7大タイトルの一つを手に入れた。」
「9段への昇進も史上最年少。囲碁に興味はなくてもニュースなどで彼を見たことがある人は多いだろう。」

ナショナルチーム

ナ「今を時めく 芝野虎丸 はナショナルチームの合宿に参加していた」

ナ「中国 韓国勢に押されている 日本囲碁界。若手棋士30人余りが 三泊四日で集中的に対局を続け切磋琢磨する」

ナ「先へ先へと局面を読むとき、芝野の指先はいつも決まって細かく動く。見かけによらず、棋風は強気で攻撃的。」

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ナ「この10年ほどで棋士の腕の磨き方は大きく変わった。彼らが参考にしてるのは 膨大な対局データを基にAIが導き出す次の一手」

ナ「芝野自身も周囲を驚かす大胆な攻めをAIに学んだようだ」

芝野 「対局の経験がすごく多くなるので、ある程度自分の中で感覚がどんどん完成されていくんですけど、昔からの積み重ねで。そういうところは強みと言えるのかなとは思いますね」

王座戦

ナ 「続く大勝負は日本囲碁界の頂点に立つ絶対王者井山裕太との王座戦」

芝野 「プロになる前とかなった直後とかは、井山先生と打てる機会があればいいなとはずっと思ってました。ほんとにすごいとしか思えないです。」

ナ「若手とベテランの実力派、すでにして(実力)伯仲と見られていた。」

第一局

記者 「際どいな 最後」

ナ「控室の記者たちにも勝敗の行方は見えない」

だが終盤 芝野は予想を超える手を打った

「いや~~すごい」「えぇ、 私全然もう(解説を)放棄しています。」

井山も茫然。初戦ベテランを僅差でねじ伏せたのは、若者だった
けれどあこがれの人に勝った興奮は感じられない

井山 「いろいろちょっと良くわからないことだらけで」

芝野「難しくてまだ分からないです」

ナ「小さな声は、記者泣かせ。これもかわいいといわれるゆえんだろう」

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-「王座を取りたい?」

芝野「囲碁は、こう言っちゃなんですが、本当に辞めても構わないですし、別に気にしてることはないです」

-「本心ですか?」

芝野「はい、本当に」

第ニ局

ナ「王座戦第ニ局を翌日に控え山梨に入った。」

-「緊張とかされるんですか」

芝野「今は大丈夫ですね」

- 「スイッチみたいなのが入るのは」

芝野 「やっぱり、碁盤の前に座ったに時ですかね」

ナ「まずは一勝を上げている。一足早く対局場に入った芝野は碁盤を丁寧に拭き始めた。 何せ相手は子供のころからの目標なのだ。」

「相対した二人の打ち方は対照的だった。」

「石を響かせる井山に対し、芝野は音も立てずにそっと置く」
「井山ははやばやと上着を脱いだが、芝野はそのままで殆ど姿勢も動かさずただ指先だけをしきりに動かしている。」

「実況画面は中盤まで芝野の優勢。だが、芝野の一手に油断があった。」「井山はそのミスを見逃さない」

「結局挽回は出来ず 、これで一勝一敗の五分」

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- 「悔しい?」
芝野 「ああ、そうですね。そんなに悔しいというか、まぁ強かったなぁという感じで」
-「もうスイッチは切り替えるんですか?」
芝野 「寝るまでは結構、勝っても負けても続いちゃいますね。」

第三局

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ナ「そして翌日。勝って王手か、負けてカド番か。」

ナ「井山優勢で中盤に差し掛かるが、(芝野に)焦りの色は見えない」

ナ「珍しく長考20分」

「ああ、このタイミングでそこですか」「これは参りますねぇ」

ナ「奇抜な一手にも井山は翻弄されなかった。」

ナ「ところが、次第に流れがかわる。」

ナ 「この一手に控室はどよめいた。」

「終わった。」「まじかぁ。やっぱりすごいでしょ。」「やっぱり天才だった」
「いや~~すごいですね。 すごいね。」

ナ 「初戦と同じく驚異的な粘りで 芝野が辛勝。かすかに笑顔がのぞいた。」

第四局

ナ「2勝1敗 タイトル奪取に王手がかかる。蒲郡で行われた王座戦第四局。」

ナ「早い展開で進んだ序盤。形勢は黒の井山がやや優位と思われた」

ナ 「しばらくして中継を見ていた兄の龍之介さんが 眉をひそめる。」

「虎丸の得意なパターンが残り一つくらいしか残されていないので、ちょっと苦しいかなと」

ナ「兄が言う通りケーキは食べかけのまま(残されている)。だが、頭の中ではすさまじいシミュレーションが繰り返されていたに違いない」

ナ「次第に井山が悩み始める。AIはいつの間にか芝野優勢と読んでいた。」

「これで終局ですね」「そうですね、はい」

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ナ「それは井山1強時代が終わりを告げた瞬間かもしれない」

ナ「苦しんだ末にもぎ取った勝利。芝野はそんな顔をしていた」

芝野「小さい時から目標にしていた先生でもありますし、先生に勝てたというのは自信になりますね。」

井山 「粘り強さもあるし、冷静な一面もあるので 日本を代表する棋士であることは、もう間違いない」

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ナ「大先輩が去り、報道陣も引き上げたところでようやく食べかけだったケーキを口に運ぶ。もういつもの芝野に戻っていた。」

教育・研究

ナ「才能を伸ばしたのは、放任主義だと(両親から)聞いた」

用事がなければ 1日8時間はネット対局に明け暮れてる。

芝野「基本的にはネットで相手を見つけて対局するんですけども、もしくは強い人同士が打っているのを観戦したりとか・・」

ハンドルネームで対局するものの、誰のハンドルネームが、誰かは分かって(ばれて)いると、明るく語った。

芝野「そうですね。だいたい バレてるかな。」

囲碁とは何か

ナ「囲碁とは何か改めて聞いてみた」

芝野「(囲碁は)あんまり仕事という感じはなくて、昔から好きで続けてるのが今も続いてる感じ。また、やっぱり囲碁は、今はほんとに生活のなかでも一番大事なものになってますし」

ナ「これからは平熱の勝負師と呼んでみよう」








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