No146 リストア作業に辿りつくにも一苦労(バックアップとリストア6)

今回もサーバのリストアについての話を続けます。

故障したと思った時に最初にすべきことは、どの機器が故障したか
を調べることです。

そのうえで、やはりサーバの故障となれば、なんらかの形で修理を
行います。

ですが、修理もできなかった場合には、代替品が必要になります。
サーバの手配には、何週間もの時間が必要になります。

それを避けるには事前に予備機を買っておくことが有効ですが、
それもない場合にはどうすればいいでしょうか?

今回はそのあたりの対策を解説します。

目次

1. 誰が作業をするのか?
2. 所要時間はどれだけか?
3. いざ故障?でもサーバとは限らない
4. サーバはオンサイト保守に限る
5. サーバの手配には時間がかかる
6. いまさら予備機なんて言われても...


1. 誰が作業をするのか?

前回の繰り返しになりますが、サーバ購入時に業者にセットアップ
を頼んでいたとしても、リストア時は業者を頼りにはできません。
トラブルはいつ起きるかわかりませんから、その時にセットアップ
できる技術者に来てもらえるとは限らないからです。

同様に、組織内の詳しいメンバに全てを任せるのもよくありません。
トラブルが起きた時にその人が長期出張や、病気療養中だったり、
社運をかけた商談推進中だったら?

全員とは言わないにしても、できるだけ多くのメンバがリストア
作業を行える体制が必要です。


2. 所要時間はどれだけか?

これも前回の繰り返しですが、リストア作業に実際にどれくらいの
時間を要するかを測定しておくことも大切です。
復旧に要する時間が想定できるからです。

数時間ならともかく何日もかかるようなら、その間をサーバなしで
乗り切るための業務推進手順を決めておく必要がありますよね。

所要時間を知るには、実際にやってみるのが一番です。
実際に作業を行いながら、どの手順にどれくらいの時間が必要かを
記録してください。
それで復旧全体の所要時間が明らかとなります。

だからこそ、予行演習が必須なのです。

この詳細については、この連載の次回以降で詳しく触れたいと
思います。


3. いざ故障?でもサーバとは限らない

さて、実際にサーバが故障した時の状況によって、初動が大きく
変わってきます。

そのためには、故障個所を正確に突き止めることが重要です。

例えば、サーバへの接続ができないという事象が起きたとしても、
サーバの不具合と判断するのは早計です。
いろんな理由が考えられます。
 1)ネットワーク機器の故障
 2)個人用PC側の機器不良
 3)接続ケーブル抜け、ケーブル不良
これらは故障ではありますが、サーバの問題ではありませんから
リストアは不要です。

これを100%正確に見抜くのは難しいですが、ある程度なら
誰でも確認できる方法もいろいろあります。

 A 他のPCからはアクセスできるか?
   →OKなら、個人用PC側の不良の可能性が高い。
 B ケーブル類を交換したらアクセスできるか?
   →OKなら、ケーブル不良か、ケーブルが抜けかけていた。
 C サーバの画面(コンソール)からはアクセスできるか?
   →OKなら、ネットワーク機器の不良の可能性が高い。
といった具合です。


4. サーバはオンサイト保守に限る

さて、いよいよサーバ側の不良が濃厚となった場合はまずは
メーカに連絡して故障個所を確認してもらいます。

故障時の対応を早くするために、多少金額は高くなりますが
「オンサイト保守」というものがあります。
オンサイト保守というのは、故障などの時にメーカの担当者が
設置場所まで来てくれるサービスです。
うまくいけば、即日で修理が完了します。

これに対して一般的なセンドバック保守だと、サーバをメーカに
送付し、メーカ側で修理を行い、メーカから返送される形になる
ため、スムーズにいっても4日はかかります。

サーバを早く復旧させたいのに、修理だけで何日もかかるのは
困りますので、修理を素早くするためにもオンサイト保守契約は
強くオススメしておきます。

さて、サーバを修理したもらった場合、故障箇所によってその後
の対応は異なります。

 A 電源不良、CPU不良、メモリ不良などの場合
   →修理後は、何もしなくても利用可能。
 B ディスク(ストレージ機器)不良の場合
   →修理後に、リストア作業が必要
 C 保守部品切れで、他機種の部品に交換した場合
   →交換内容によって、システム再構築+リストア作業が必要
 D 修理できない(保守期限切れで部品がない)場合
   →新たなサーバを手配した上で、リストア作業が必要

Aの場合は修理が終われば、そのままサーバが使えます。
Bの場合はリストア作業は必要ですが、それほど大変な作業では
ありません。

問題なのはCやDの場合です。
特にDの場合はサーバの手配に時間を要しますから大変です。


5. サーバの手配には時間がかかる

そもそも、サーバと呼ばれる機種の入手にはかなりの時間を要し
ます。電気屋さんでノートPCを買う時のようにその場で持ち帰り
できるものではありません。

クルマの納車を思い浮かべてください。
クルマ購入時には車種やグレード以外に、車体色、カーナビ、後方
カメラ、フォグランプといったオプションを細々と指定します。
そういった装備の取り付け作業が必要ですから、契約日に受け取る
ことはまずありません。

サーバも同様です。
各機種には数十ものオプションが用意されていて、買い手の希望に
応じて各種のオプションを取り付け、テストをした上での出荷と
なりますから、早くても一週間、場合によっては一ヶ月かかる場合
もあります。

とはいえ、サーバの復旧に何週間もかかっていては、業務再開の前
に会社が倒れかねません。

じゃ、どうすればいいのでしょうか?

教科書的な答えとしては、最初のサーバ購入時に同じ構成のサーバ
を予備機として買っておくことです。

この場合のメリットは全く同じ機種が入手できる点です。
同じ構成のPCなら、難しいことを考えずともリストアできます。
構成が異なるPCですと、操作手順が違ったりして、リストア時に
失敗する可能性が高くなります。

サーバに限らずPC(パソコン)は半年ごとに新製品が発表され、
旧製品は販売終了となりますから、サーバが壊れた後に同じ機種を
手配しようにも入手ができません。

その意味で最初の時点で予備機を用意しておくことは意味があり
ます。


6. いまさら予備機なんて言われても...

とはいうものの、予備機なんて用意してないよ、という組織が大半
でしょう。

では、現実的にはどうすればいいのでしょうか?

サーバの手配を2段階で考えてください。

第一段階は、新サーバを手配すると同時に、一時的なサーバを
仕立てることです。

この一時サーバは短期間の利用になりますから、レンタル業者に
依頼をするのが良いでしょう。運よく業者に在庫があれば、電源を
入れれば使える状態のサーバを翌日にでも送ってもらえます。

あくまで、一時的なサーバですから、性能は低くてもOKです。

その一時サーバに対してリストア作業を実施し、業務が進められる
状態を復元します。

一時サーバとはいえ、このサーバには毎日業務データが追加され
ますから、そのバックアップも忘れないでください。

第二段階は、手配していた新サーバが到着後に行います。
ここで一時サーバの最新バックアップを新サーバにリストアします。
その後、新サーバで問題なく業務が進められることを確認した上で
一時サーバを返却します。

たいし作業でないように見えるかもしれませんが、実際にはかなり
大変な作業です。

レンタル業者の一時サーバはOSが入っただけの状態で届きます
から、ネットワーク設定やユーザ認証の設定など、多くの設定作業
をしないと社内サーバとしては使えません。
もちろん、バックアップを行うためのアプリケーションのインス
トールと設定も必要です。
この一連の手順は複雑ですから、一時サーバを使えるようにする
ための手順書が必要です。

ということは一時サーバをレンタルし、どのような手順でサーバの
準備を行うかの予行演習を行い、手順書作成をしないといけないと
いうことです。

かなり面倒な作業ですよね。
だからこそ、最初に書いたような予備機を準備しておくことを
オススメするわけです。

今回はリストアに必要な準備作業についての解説をしました。

次回もお楽しみに。


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