「言葉遣い」と「言い方」が悪いと「トーク力」も台無しになってしまう話
話すことが上手な人っていますよね?
私も人生の中で何人も会っています。
例えばその人の話を聞いていると、こっちまで元気になったり勇気づけられたり。
そんな話し手に憧れて、ちょっとチャレンジしてみたら、ちょっと失望してみたりして(笑)
しかし、いくら話が上手でも、「言葉選び」と「言い方」が悪いとせっかくの「トーク力」も台無しになってしまいます。
高単価の契約
事例と共にご紹介します。
経営コンサルタントを本業としている時の同僚であった若手ホープのKくんは、抜群のトーク力を持っていました。
そのトーク力は、人の心に火をつけ、モチベートするパワーに溢れていました。
そしてそのトーク力は、そのコンサルタント会社の新規営業に活かされていました。
つまり経営者に対して、理想の会社づくりにおけるコンサルタントの必要性を伝え、1,000万円を超える契約をとってくるのです。これは凄いことなのです。
形のあるものを販売する営業とは違い、目に見えないサービスを提案するコンサルタントの営業では、トーク力や相手に未来をイメージさせるようなツールが大切になってきます。
社員と対峙
クロージングでは、理想の会社づくりに向けて経営者と約束をするのですが、改革は社員を巻き込んでいくものです。
だから、この契約に至った経緯と、今後の方針を社員と共有していくことが大切になります。
また社員にその説明をする時には、説明だけでなく社員と共に同じゴールを目指していくという、信頼関係づくりも大切になってきます。
そんな時にも、トーク力が活かされるのです。
しかしこの場面で、Kくんは取り返しのつかない一言を言ってしまったのです。
取り返しのつかない一言
その一言とは・・・。
「人間は2通りしかいない。自ら目標を持って周りを振り回すか、目標を持っている人に自分が振り回されるかのどちらかです」
これは、目標を持つことの大切さを伝える言葉ですが、これが取り返しのつかない一言になってしまったのです。
この言葉を聞いたFさんという社員が次のような言葉を発しました。
ふざけるな
お前に何がわかる
お前に会社は託せない
いいから出ていってくれ
二度と会社に来ないでくれ
なぜだか分かりますか?
この会社は、社員30名ほどの建設土木業を営む中小企業です。
そして仕事の大半は公共工事であり、決められた納期までに仕事をしなければなりません。
つまり自分で目標を持つことは難しく、迫りくる納期に振り回される仕事なのです。
つまりFさんにとって、先程の一言は「自分たちの存在を否定された」ように感じたのです。
「そんなつもりでは言ってないです」といっても「時すでに遅し」でした。
やんちゃな人ほど誠実
社長がOKを出した契約であっても、ときには振り出しに戻ることがあります。
それはどんな時でしょうか?
このFさんは現場社員をまとめる現場監督で、周囲からも信頼と人望のある重要人物だったのです。
そして、仕事は常に一生懸命で、曲がったことは許せない男気溢れる人だったのです。
たとえ言葉選びや言い方が悪いということが原因であっても、一度傷つけられたプライドは反応し続けます。
Fさんはすぐに社長に対して「あんな奴の言うことを聞くくらいなら、俺は会社を辞める」と言い放ったのです。
万が一Fさんが会社を辞め、周りの人がそれに続いて辞められてしまっては、中小企業にとって致命傷になってしまいます。
一方でこんな一途でやんちゃな人こそ、向かうゴールを共有できると驚くほどパワーを発揮するものです。
相手が社長なのか社員なのか、それによって使う言葉選びも変わり、言い方も変えなければいけないのです。
どんなにトーク力があっても、最終的には常に相手と向き合い、誠実な姿勢が大切であり、それが言葉選びに反映され、それが思いやりなのです。
言葉遣いについては、こちら「伝える技術の基本 〜言葉遣い編〜」をご覧ください。
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