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私が出会った交渉人のお手本

この人(Kさん)との出会いは前職の経営コンサルタント時代に遡ります。

私が交渉人の手本にしたいと思ったエピソードです!!

Kさんと最初に会った時の印象は、とても真似できないようなスーパーマンでした。

しかし時を経て触れ合う中で、交渉とはこういう見方をするんだという真髄を教えてくれた方です。


Kさんとの出会い

前職の経営コンサルタント会社では、入社直後に3週間の合宿研修がありました。

ここでは知識の習得と共に、経営コンサルタントとしての心構えを学びます。

睡眠時間も少なく、頭も体も疲労困憊の中、途中で離脱する人も少なくない、それはそれは濃厚で貴重な時間でした。

そして研修が終わる頃に、各自の配属先が決定します。

研修を5日ほど残していた頃に私の配属候補地が・・

「大阪か名古屋かどっちがいい??」

「えーーーー、まじで」(笑)

だってだって、当時私は千葉に住んでいて、東京の説明会に参加して内定をいただいていたので、当然勤務地は東京だと思っていました。

だから、まさかまさかの選択肢でした。

そこで私は何となく直感に頼り名古屋を選択すると、研修担当の方に、

「名古屋にはスーパーマンがいるぞ」と聞かされていました。

そして名古屋に赴任後、初めてKさんと会うことになります。

初対面の印象は、素っ気なくやや冷たく怖い感じでした。

そして周囲の人がKさんに一目を置いている雰囲気も十分に伝わってきました。

Kさんに同行

この人はどのように凄いのか、もう少し触れ合う機会が持てたらと思い、Kさんに「ぜひ一緒に連れてってください」と同行をさせてもらいました。

それが、まさかまさかの成約を勝ち取る同行となりました。

交渉人の手本を、目の前で見せてもらったのです!!

もともとクロージング予定でしたので、私にも与えられた任務がありました。

その任務とはクロージングをするタイミングで、鞄から契約書を取り出してKさんに手渡しするということでした。

そしていざ商談が始まると、私の中では話があっちに行ったりこっちに行ったりして、展開がよく分からない状況でした(笑)

そして「契約」という言葉が出てきたので「このタイミングだ!!」と思って鞄に手を入れると、Kさんから「お前何やってるんだ!!!」と言われ手を引っ込めることがありました。

その後さらに商談は進み、先方社長が「そろそろお昼を取るので、ぜひ一緒に食べましょう」と声をかけて下さいました。

するとその直後にKさんがこちらを見て「お前何やってるんだ!!!」と小声で言ってきました。

私には状況がよく理解できませんでしたが、まさに「その時」が契約書を出すタイミングだったのです。

そして、こんな出来事がKさんとはもの凄くたくさんあったのです(笑)

そんなKさんは凡人にはよく理解出来ないところがあっても、とにかく大型契約を取ってきたり、周囲が予測できないような言動をしてくるのです。

ある時は、会社でお客様と電話をしていると、「社長不倫してるでしょ!?」といきなり発言したのです。

さすがに事務所のみんなも耳がダンボです(笑)

またある時は・・・、キリがないのでやめておきます(笑)

Kさんと再会

それから数年が経ち、私も支社長という役職をいただいた頃には、交渉の原点を思い出す為に当時東京で働いていたKさんと連絡を取り、静岡のお客様に同行させていただきました。

そこでの商談は最初の30分間が、世間話オンリーでした。

Kさんも、ただただ頷き、笑顔を見せ、本当に聞いているのだろうかと思う位に、定期的に首を縦に振り、ただただ聞いていました。

しかし少し成長した私は、ここが交渉人の手本となるリサーチの時間であり、

ラポールをつくる時間であることを理解できるようになっていました。

そして、ただただ聞いていた30分の後に、Kさんが言った一言は・・・

「社長、要は後継者問題でしょ!それが一番困っていることでしょ!」

最初の30分でそんな話は微塵もありませんでした。

しかし、それまで雄弁に話していた先方社長も、一呼吸置いてから「まぁ〜そういうことですわ」と話されました。

こういうやり取りがKさんは本当に多いんです。

相手の心を読み取り、その気持ちを汲み取り、相手の望むことに対して、望むこと以上の提案をしていく。

それが交渉人の手本となることを私はKさんから学びました。

そのためにも瞬時に信頼関係を構築する技術(スキル)が大切であり、そのための準備を目に見えないところで、どれだけ行っているのかということも学びました。

Kさんの名刺交換

そして多くの学びをいただいた中で覚えていることの1つが名刺交換です。

名刺交換の時に「頭を下げるな!!」

もちろん職種や状況でいろんなやり方があると思いますし、一般的には、頭を下げて名刺交換をすると思います。

しかし、Kさんは経営コンサルタントとはお願いをする仕事ではなく、相手から信頼を勝ち取りお願いをされる仕事だから、消して頭を下げるようなことをするなと強く言われ、あわせて自分自身を高める努力を怠るなとも教えられました。

そこには、「自分」という商品価値を高める努力をすることなく、この仕事をしてはいけないという、Kさんのプロ意識が表れていました。

こんな素晴らしい人との出会いが、今の自分を支えてくれています。

交渉人の手本を知るこのエピソードは、私の宝物です!!

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