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母音のメカニズムが分かれば、複合母音も難しくない!           ピンイン教本-7 子音に合わせて柔軟に変化する中国語の母音!

i なのに「ウ」で発音(Si)、単母音では難しい発音の「e」が複合母音の「ei」では「」で良かった、などピンインの母音の記号は訳が分からないと感じる人がいると思います。前回は「Si」で、その原因の一つを下記のように見定めることができました。

母音を表すピンインは・・・・「口の開け方」の標識でもあります。例えば“a”は口を大きく開く、“i”は横に引くという形を表します。

日本人のための中国語完全教本p15「母音の章」

分かり易い言い方では「聞こえる音の記号というよりは、言い方の記号」という特性のせいではないか、という見方です。

母音の記号「i」の口の形をしていれば「イ」と言うことも「ウ」と言うこともできる。ですので下記の図のような日本語ではありえない発音が登場します。

このことから下記にある3っつの「i」の現象のうち①と③は理解できます。

三つの「i」

①は「j・q・x」の子音グループで舌面音と③の舌歯音はアスク出版の中国語発音完全教本p70「口を真一文字に横に引く「i」の形で同じ口の形ですが「イ」というか「ウ」というかの違いです。

では②はどう理解したら良いでしょうか?               ②の「zh・ch・sh」のそり舌音ではアスクの教本では口の構えを「口を真一文字に横に引く」ではなく単に「「口を横に引く」という記述になっています。

更に補足のコメントでは『「舌をそり上げることによって「i 」は「イ―」とは異なる音になるので、はっきりと「ジ―・チ―・シー」に聞こえたら・・そり舌ができていない証拠です。』

母音の「イ」を単母音の「i」できちんと発音したら、子音のそり舌の発音にならないのでダメ!と言っています。

言い換えると、母音の「イ」の音は子音のそり舌に合わせて少し崩してください真一文字に引かなくて「口を横に引く」程度にしておいてくださいということです!

このことから、中国語の母音は、子音に合わせて本来の音を少し崩す、あるいは変えるということが分かります。

日本語ではどの子音でも母音の「あ」の音が変わることはありません。

子音に合わせて母音はすこし変化するどころか、単母音の音が複合母音になると別の音に変わってしまうとことも生じています。

他にもこんなに変わる母音の発音

a.e.iの音の違い

母音「a」「e」は、このように単母音の発音が、複合母音になった時に音色を変えることがあります。

日本語には単母音しかありませので、日本人には納得し難いのかもしれません。拍(モーラ)という発声の仕方も関係してきます。ですので日本語には複合母音がありません。

複合母音はどんな発声法でしょうか?
中国語の代表的な複合母音は「ao」は母音「a の口の開き方から o へと口を滑らかに変化」させて、「アオーと一つの音」にします。「口が動いて変化する滑らかなメロディーのような音声の一塊」がなんと!一つの母音なんです。

と説明されても、そのメロディーのような一塊がひとつの母音という感覚が実感として理解できるでしょうか?原因は声門閉鎖の違いからおきる現象なのですがこれはこのシリーズの締めくくりの記事で取り上げます。

★ 「メロディーのような一塊」ですから単母音「a/あ」が「ian」では「イン」と変化するのも「i の口の形からnまでの口の動きが i↬ a↬ n と動くため」間に入る「a」が、「あ」ではなく「え」に聞こえると理解できます。口の形は i↬ a↬ n と動かしているのかもしれません。

ちなみに「iang」では「i↬a↬ng」ですから「i↬a」と口が動くとき「a」は単母音の「あ」に近い音になりますね。これも口の動きは「i↬a↬ng」と動きますから「ィアーン」の方が口の動きから自然な発音と言えます。

次回から日本語との違いの本丸ともいえる、「子音優先の中国語、母音優先の日本語」そしてさらにピンインマスターの標語「完ぺきな中国語発音!子音優先!母音重要!」へと展開していきます。