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vol.11 学校でも教室でもない、Porqueのスタジオのつくり方

「この場所は一体何なのか」問題

2015年から自分の持つアトリエを開放して、小さな人たちのためのアトリエを開いています。
そのアトリエをなんと紹介するべきなのかに、長らく頭を悩ませていました。ついつい人に説明するときに「いわゆる、造形教室」とか「アートクラス」という言葉を使ってしまうのですが、必ず「教室っぽくはしたくないんですけど〜」とも、付け加えていました。
なんとも、すっきりしない言い方です。「いわゆる」ってなんだよ。もっとシンプルに説明できないものか。

実は、数年前に「アトリエのつくり方」と題した記事をnoteにしたためていました。
確か立ち上げて2年くらい経った頃、私より少し若い人たちが「ポルケさんみたいな場所、作れたらいいなと思うんですけど、どうやって始めたんですか?」という質問をたずさえて、私のアトリエを訪ねてきてくれたことがあったからです。それもひとりやふたりではなく、ある人には私のサポートのアルバイトもお願いしました。
皆、自分の進路に悩んでいました。芸術を学んだ自分に何ができるのかしら。どんな仕事であれば生かせるのか。お金も安定しないのに、どうしてチャレンジングなことができるのだろうか。モチベーションはどこから来るのか。
特に私のお金の稼ぎ方については不思議に思ったことでしょう。実際は自転車操業、けして事業として回ってはいなかったのですから当然です。私は彼らに当時の稼ぎも、家賃も、ざっくりとですが全部お話ししました。
質問にやってきた若者たちは真剣に話を聞いてくれ、なんとなく少し曇って見えた目をクリアにして帰って行きました。
なんとかなるよ、自分が良いと信じられることをやんなよ、大丈夫だから、と無責任に声をかけてお見送りしましたが、そのあとは私も”ひとり反省会”の開催です。もっと上手く話せなかったかな、あの話もしておけば良かった、と、思ったことをnoteになぐり書く、そんな記事を蓄えていました。
あんなに人が訪ねてくるのだから、こんな自分の経験談でも誰かの役に立つのかもしれないと思って書き始めたことですが、過去の自分を曝け出すのは本人にとっては詰まらないものです。書いてみたもののお蔵入りとなり、しばらく仕上げずにいました。

ふと先日、その「アトリエのつくり方」というセンテンスが目に留まりました。「学校でもない、教室でもない、アトリエのつくり方」という言葉が浮かび、再びnoteにタイプしてみました。
…そう、そういうものが作りたいのだよ、今の私は。学校でも、教室でもない、強いていうなら、会員制アトリエ。……………あ、これだ。この言葉で説明できるんじゃないか?
書くって大事です。他でもない、私が気付かされました。

再・宣言

ということで、ここで再宣言します。

この場所は、子どものための、会員制シェア・スタジオです。
場所を指し示すときは、Porque ART studio と、これからは呼んで行こうと思います。(スタジオとしたのは、ただの気持ちの問題です。ケジメというか、切り替えというか。あとアート・アトリエってなんか変?だし。これまで通り、アトリエと言ってもらっても勿論OKですし、私も言う気がします。)
子どもたちが自分で作りたいものを考えたり、探したり、互いに見せあったり、アイデアを出し合ったりして、好きに過ごせる場所です。
そういう場所を、今も作っているつもりですが、これからも作っていきます。

材料は使い放題、道具も使い放題。
ただし安全には目を光らせています。大事に使ってください。
私は必要以上に教えないし、必要なときに助け舟を出せる人になろうと思います。強いていうなら、TA(teaching assistant) 的な存在です。

というわけで、アートクラスでも、造形教室じゃないんです、うち。
詳しくは何度も書き直した Porque ART(tumblr)のABOUT US をご覧いただけますと幸いです。
これからも、どうぞ、よろしくお願いいたします。


ところで、一度はお蔵入りになっていた、その記事。3年寝かせて読み返してみると、案外面白い気がしてきました。私自身も忘れていた記憶が記してあったからです。
そのとき感じた教訓や社会への違和感、無意識にかけてくるお節介な足枷についても、書いていました。これ、本当に独立を考えてる人にとって参考になるのかもしれない。色々あけすけに書いていたので公開するか迷いましたが、やっぱりそこが面白さだと思ったので、少し直しを入れて、今回は初めての有料の記事とさせていただこうと思います。もしご興味ありましたら、読んでみてください。

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