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野菜と豆腐の料理家の、ある日の豆腐メシ

こんにちは。野菜と豆腐の料理家、江戸野陽子です。

先日、私のライフワークのひとつ、豆腐マイスター認定講座がありましたので、その後日談をひとつ…。

ちなみに豆腐マイスターとは、一般社団法人日本豆腐マイスター協会が作った豆腐の食育資格です。
豆腐の消費が年々減っていること、町の豆腐屋がどんどん減っていることを背景に、豆腐を広める人材を育てるために作られた資格です。

私は、その講座の料理実習を担当しているんですね。どうぞ以後お見知りおきを。

普段はコラム・レシピ・料理教室を開催することで豆腐の魅力を広めているところ…なのですが、最近は食べてばかりの日々です。

そう、全然発信していません。

もうちょっと頑張れや、と自分でも思っているので、今日はある一日を通して食べた豆腐料理の話をしたいと思います。

迫りくる消費期限内に豆腐をおいしく食べきろうチャレンジ!

さて、今回は講座の教材で使った豆腐が余ったので、消費期限内に食べきらないといけなかったわけです。

※受講者の方々には、教材土産に色んな豆腐をお渡ししましたので、私だけが得しているわけではないことをご理解ください。

豆腐約4丁と言いますと、1丁が約300gなので1200gほどですね。それが我が家で食べてもらわんとばかりに冷蔵庫内で待機しているわけです。

教材の豆腐は、どれもこれも日本各地の「いい大豆」と「熟練された製法」と「こだわりの凝固剤」のものたちなので、豆腐界のレジェンド揃い踏み状態です。

本来ならそのまま器に盛り付けて、冷奴や湯豆腐にするのがベストなのですが、さすがに4丁全てを冷奴と湯豆腐にして食べるのはしんどかったので、全て調理してみました。

では早速チャレンジスタートです。

その1 だし乗せ冷奴 

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京都ではおなじみの豆腐屋さん、久在屋の京の街の豆腐(絹ごし豆腐)を丼に全部(300g)を盛り付けて、自家製の山形名物のだしをかけていただきました。

だしとは、刻んだきゅうり・なす・薬味・昆布を醤油とみりんで和えた一品のこと。最近は漬物売り場に置いてあります。

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京の街の豆腐は、どちらかというと穏やかな後味のある豆腐。なのでシンプルにさっぱりといただくのが正解だと思います。

ちなみにこの豆腐は凝固剤に硫酸カルシウムを使っているので、にがりの豆腐と比べるとあっさりとした味。シャキシャキの刻んだ野菜がいいアクセントで、大満足。

そしてこれが私の朝ご飯になりました。

その2 豆腐マフィン

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久在屋の久左衛門のすっぴんやっこ(絹ごし豆腐)は生地に練り込んで豆腐マフィンにしました。

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最初に紹介した豆腐との違いですが、こちらは凝固剤ににがりを使っています。にがりは塩を作るときにできる成分ですね。ミネラルがたっぷりなので、豆腐の味にパンチ力があります。

確認してみたら、豆腐屋さんのHPにも以下のような記述がありました。

厳選した国産大豆と在来種大豆をブレンドし大豆の力強い味と旨味と香りをご堪能いただける逸品です。熟成時間を費やす事により腰のある柔らかさと喉ごしの旨さを楽しんで頂けます。(お召し上がり温度17度の逸品です。)
(久在屋HPより)

実は豆腐は、常温に近い温度の方がおいしいと言われているのですね。

なぜか。

豆腐の脂肪分がほどよく口内で溶けるのが17度前後と言われているからです。

なので、こちらの豆腐も奴にして食べるのが一番おすすめです。

そんな豆腐をマフィンにする私…なんて贅沢。

ですが、私は日持ちを優先させてマフィンにしたのです。結果、しっとり感が強めの仕上がりになりました。

焼きたてはその場で1個食べて、残りは次の日以降のおやつにいただきました。大満足。

その3 豆腐ハンバーグ 

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墨田区でおなじみの三善豆腐工房の特上濃厚木綿豆腐は、合いびき肉と合わせて豆腐ハンバーグにしました。

こちらの木綿豆腐は、普段スーパーで買う木綿豆腐と比べると濃厚でソフトな食感に感じるかもしれません。

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特上木綿豆腐は、在来品種の大豆、小糸在来とトヨムスメの二種類をブレンドし、本当に濃厚な豆乳から作られており、豆の味を逃さないよう、できるだけ水分を抜かないで作っているので、実に柔らかな仕上がりの木綿豆腐なんですね。

こんなにソフトな木綿豆腐って、あまりお目にかかれないかもしれません。

なので豆腐ステーキを作るよりは、豆腐ハンバーグ向けの木綿…。

いや違いますね。こんなにいい豆腐を崩してハンバーグにしてしまうのは正直勿体ないんだと思います。

でも、ハンバーグにしました。

ざるに乗せて水切りし、ひき肉に練り込むと、ハンバーグなのに実にクリーミーな一品に仕上がりました。焼くのが難しかったのですが、大満足。夕飯にいただきました。

冬場なら、ねぎとこの木綿豆腐で湯豆腐にして、ポン酢をかけていただきたいと思いました。

その4 湯葉刺し

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開催地、香川県ではおなじみの網喜代の湯葉刺しも食べました。

湯葉刺しは、色んな豆腐屋さんで扱っていますが、豆乳からくみ上げた湯葉を重ねてミルフィーユ状態にしたもののこと。

ただの湯葉はくみあげた湯葉を干して、ぽたぽたと垂れる豆乳を落としてからパックするものなのですが、これは豆乳ごとパックしているのでミルキーな湯葉です。

切って、皿に並べて、わさびを添えてお夕飯にいただきました。

湯葉刺しは、しっとり感とムッチリ感があって、豆乳のクリーミーな感じが堪らない。ごはんのおかずというよりは、お酒のお供にしたい…そんな一品でした。

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残念なことに、食い意地のある私は湯葉刺しのパッケージの写真を撮り忘れておりまして…代わりに同じ網喜代のおぼろ豆腐を載せておきます。

こちらのおぼろ豆腐も甘くて、柔らかくて、濃いお味で、お気に入りの豆腐のひとつです。香川県にいらっしゃる機会があればぜひ! スーパーでも扱っていますよ。

その5 おぼろ豆腐の味噌汁

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そしてラストは久在屋の地豆腐(おぼろ豆腐)。こちらは味噌汁にしました。

地豆腐は、日本各地の契約農家の地大豆(在来種大豆)を100%を原料にした数量限定の豆腐です。

月替わりで原料を変えており、今回いただいたのは「ひとり娘」でした。

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ひとり娘とは:
・一人娘のように大事に育てられたことから名づけられた青大豆
・甘みがあり、薄緑色が特徴の大豆。ゆでると味わいも色味も優しく仕上がる。
・長野県原産の在来品種の大豆。

久在屋のHPを見ると、味を活かすには塩とオリーブオイルで食べろとありますが、器にお玉一杯の地豆腐を入れて、ワカメ・青ねぎ・刻んだみょうがの濃いめの味噌汁を注ぎ入れていただきました。

豆腐がふわふわで、口の中で消えてなくなるかのような柔らかい食感。なのに、後味は強烈に濃い豆腐でした。シンプルにいただくとよりよさが分かる豆腐なのでしょうね。

こちらも夕飯にいただきました。大満足!!

感想

そういうわけで、冷蔵庫内にある半分以上の豆腐を1日で消費した私の豆腐記録でした。

普段は冷奴や味噌汁ばかりなのですが、こうやって追い込まれたことによって、色々と工夫できるものなのだなぁと思いました。

まだ消費期限の長い豆腐が半分ほど残っているので、こちらは自分のペースでいただきたいと思います。

◇ 「まいにち野菜と豆腐」(江戸野陽子のHP。料理教室で作ったレシピなどを定期公開。生おからを使った焼き菓子レシピたくさんあります)

◇ 「すごい豆腐の最高においしい食べ方」笠倉出版社(江戸野陽子の豆腐レシピ本。豆腐は種類別にレシピを紹介。揚げも厚揚げもおからも豆乳も湯葉も詳細に取り上げているところが分かりやすいと評判です)


野菜と豆腐の料理家 豆腐をきっかけに知っていただけたらありがたいかぎりです。