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カメラ片手に、プロの写真家と散歩した話〜国立競技場・北参道編〜 第1話

この記事は何?

・写真を撮ることが好きな素人が、プロの写真家・和田剛さんと街を歩き、撮った写真を見ながらプロからアドバイスをもらい、カメラの腕を上げてしまおうという連載。

対象読者は?

・写真撮影が上手くなりたい!と思っているカメラ初心者。・プロは何を考えて写真を撮っているのか興味がある人

撮影の概要

・【場所】国立競技場・北参道
・【日時】1月のとある晴れた日
・【天気】冬の青空

撮影場所の詳細

今回の撮影地は、以下のエリアを中心にお届けします。

・東京体育館周辺(黄色のエリア)
・新国立競技場周辺(青色のエリア)
・鳩森神社周辺(赤色のエリア)

さて、今回の写真散歩ですが、千駄ヶ谷、国立競技場、北参道周辺からお届けしたいと思います。
東京オリンピックも終わり、大きな役目を終えた国立競技場、その特徴的な姿は新しい東京のシンボルで、当日も多くの観光客がいました。

電線とどう向き合うか?

設楽:
今回もよろしくおねがいします。さて早速写真の話をしたいのですが、まずこちら和田さんが撮影した写真なんですが、一見何の変哲もない道路と街路樹の写真なんですが、なぜこれを選んだんですか?

和田:
この銀杏並木は好きで、昔からよく車で通ってるんだけど、この道は電線が地中化されていて、だから銀杏が綺麗に写るんですよね。今は季節じゃないから今ひとつですが、秋になるととても綺麗なんですよ。

設楽:
写真を撮る上で、電線とどう向き合うか、電線をどう扱うかっていうのは、特にスナップを撮る際には向き合わなくてはいけない課題ですよね。電線を上手に使って電線があることでより印象的な写真にもなりますが、基本的に写真にとって電線って邪魔な存在ですよね。

和田:
そうですね、例えば仕事において、「こういう風景が撮りたい」みたいなのがあったとしても、どうしても電線が入ってきてそれが邪魔でいい写真にならない、みたいなことはよくあります。
たとえば新しい社屋とかお店の外観を撮る時に、どうしても電線が入ってしまって、商業写真では今ひとつな仕上がりになってしまう場合、レタッチして電線だけをレタッチすることもあります。

設楽:
なるほど、我々は都会に暮らしているので、生活圏でスナップを撮る時に、どうしても電線が入ってくることが多くなると思うのですが、逆に「電線のない風景」というのはシャッターチャンスだったりするんですかね。

和田:
そうですね。まさにそうです。電線がないと、色々なアングルで試せますよね。だから色々な構図で取れるチャンスですし。

個人的に電線が少ない街と言われて印象的なのが、海浜幕張ですね。あの街はいわゆる整備された都市で、仕事でもあの街を題材にして撮影することがよくあります。

あとは銀座の並木通りとか、中野の再開発されたキリンビール本社とか早稲田大学周辺は電線が地中化されててスッキリした風景が撮れますね。

設楽:
スナップ写真の撮影地を選ぶ時に、そういう基準で場所を決めるというのはアリですね。電線一つでも面白い話が聞けました(笑)。

「フリ」を意識して撮る

設楽:
さて、千駄ヶ谷駅から国立競技場に行く前に、東京体育館周辺をウロウロしましたね。次はそのあたりでの撮影についてです。
まずは和田さんの撮った東京体育館正面を見てみましょう。

続いてが私が撮った写真。明らかにダメなのがわかりますね(笑)。

もうこの連載を読んでくださっている読者の方々なら、この写真がなぜダメなのかはわかるかと思います。

グリッドを使って水平を取れてないんですね。だから斜めになってしまった。

建物を撮る時の基本を以前四ツ谷の回で教えて貰ったのですが、それをすっかり忘れてしまったという(笑)。

和田:
そうですね、ちょっとこれは残念ですね。でも何がマズいか設楽さんはもう分かってるので、そこを直せばいいだけなので、次はいい写真が撮れると思いますよ。でも設楽さんの写真の方が、使っているレンズが私のよりも広角なので、空の青さが出ていて、これはこれで素敵じゃないですか。

設楽:
こういう、横に長い被写体の写真を撮る時に何を気をつければいいですか?

和田:
真正面から撮るのではなくて、ちょっと「フリ」をつけることを意識しています。たとえば車のカタログの写真を思い出してください。だいたい真正面とか真横の写真じゃなくて、正面:横=3:7ぐらいじゃないですか?そうすると被写体の奥行きを表現することができるんですよ。

【ポイント】
正面からでなく「フリ」を意識してみる

緑を入れると面白い写真になる

設楽:
東京体育館で、和田さんと撮影した2枚の写真がとても特徴的で、全然違う雰囲気に見えるんですよね。これはまあ普通のいわゆる体育館っぽい感じの写真です。

でもこういうアングルで撮ると、なんか異国の感じが出ますよね。

和田:
二枚目の写真は、共産圏にありそうな建物に見えますよね(笑)。70年代の東欧にありそうな建物っぽかったので撮ってみました。

一枚目は普通すぎるので、どちらを残すかと言われたら間違いなく二枚目を残しますよね。

設楽:
やっぱり、面白かったり不思議な構図やアングルを見つけるのって、スナップでは大きな要素ですよね。

それでほとんど、いい写真か否かが決まるんじゃないかなと最近思っています。これが上手い人とそうでない人の違いなんだろうなと。

ちなみに私が撮った写真もちょっと見てください。私は東京体育館周辺にあった現代アートみたいなのを中心に撮りました。

個人的には2枚目が気に入ってます。なんで気に入ってるのかわからないんですけどね。なんででしょうね。

和田:
たぶん色彩なんじゃないですか。赤と青のコントラストがいいんですよね。あとこの写真は、モニュメントとか現代アートに負けない写真の力強さが出ていて良い写真だと思います。

設楽:
あと、私も東京体育館を撮ったんですが、この写真の良し悪しを教えてもらえませんか?

和田:
この二枚はどちらも設楽さんらしくていい写真ですね。上のは体育館の一部だけを切り取って空といい比率でかけているのがポイントですね。

下の写真は手前に影がありますよね。この影を入れたことで写真に奥行きが出ていますよね。遠近が出るので、この影がとても大切なんですよ。

設楽:
そうなんですね。次から意識してみます。(つづく

このエリアでの他の写真〜和田〜

このエリアでの他の写真〜設楽〜

次回もお楽しみに!今回は撮れ高が多いので、モニターさん交えての回になるかもしれません!(つづきはこちら

【プロフィール】

和田 剛 | フォトグラファー
旅行と温泉が好き。
写真をまなぶ人のオンラインスクール「
good! studio」主宰

設楽幸生/Sachio Shitara
編集者。1975年東京生まれ。週末カメラ片手に飲み歩くのが趣味な、写真の素人。
Twitterやってます。


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カメラのたのしみ方

東京都八王子市高尾山の麓出身。東京在住の編集者&ライター。ホッピー/ホルモン/マティーニ/アナログレコード/読書/DJ