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棚田で協生農法

今回は東京を離れて長崎県のお話です。昨秋、私フジムーが関わっている長崎のプロジェクトでも最近「協生農法やってみたい」という話があり、11月に現地を訪問しました。そこは昔から稲作が行われていた棚田なのですが、近年の高齢化などでお米が作られなくなってしまった区画がところどころに発生しているのです。その一角で試しに始めてみようということになり、さっそく畝を作って果樹苗を植え、野菜の種を蒔きました。

その地を先日4ヶ月ぶりに訪れてみて、東京で私が毎週訪れている畑との違いを観察してみました。

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現場は この絶景です!海を目の前に棚田が広がっています。その一角の、ここ。

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うわっ、菜の花だらけ。現地の近くに住んでいる仲間がときどき見に行ってくれていたのですが、チンゲンサイとかブロッコリーとか出ていたのをほとんど収穫していなかったようです。もったいない!でもこの様子だと発芽率が相当高かったみたいです。東京のエディブルヤードとは桁違いに。

この場所は、手を入れる前はこんな感じで、固くしまった地面に雑草が少し生えているという状態でした。

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協生農法的な畝立てセオリーとしては、表土をできるだけ生かして、ある場所ですくい上げた表土をそのまま隣に載せる、という方法で畝を作るのですが、あまりに硬いので小型の耕運機で掘ってしまいました。

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なので、ほとんど雑草が周りにない状態から野菜が芽を出したので、周りに競争相手が少なくて育ちやすかったのかもしれません。あるいは、もしかしたら昔に使われていた肥料の成分が残っていたのか。

野菜がたくさん育つことは一見望ましいように思えますが、生き物の種類が少ないことは協生農法的には望ましくないですね。多種多様な植物のジャングルにしていかないと。

ではもうすこし近寄って観察してみましょう。

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たくさん目についたのが、この白い十文字の花。ルッコラです。実は東京のエディブルヤードでも今ルッコラが咲いていますので、同時に旬を迎えているということですね。花も食べるとルッコラの味がします。

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菜の花の影でジャガイモも幾つか育っていました。東京ではうまく行かなかったのに。

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ミントです(ケンタッキーカーネルミント)。同僚の呑助たちが口々に「モヒート」「モヒート」と言ってました。それしか連想しないんかい。

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雑草はハコベがたくさん。その中からネギが。あっ、柑橘の苗から新芽が出てない? 根付かなかったかな。

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東京のエディブルヤードにはない、レンゲがこの地域一帯にたくさん花を咲かせていました。田んぼの窒素固定などのために意図的に導入されたそうです。マメ科なので団粒構造を作るのにも役立ちますね。

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東京のエディブルヤードで大発生しているヤブジラミは、ここにも。

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ブルーベリーも東京とほぼ同じ様子で、順調に蕾を付けています。

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今回たくさん収穫できたのは、このハツカダイコンでした。

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動物たちも元気にいろいろ集まってきています。ハチの類も大小ブンブン飛び回っていました。

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そして今回も春蒔きのタネを24種類ほど追加投入です。今回もほとんど花咲かじいさん方式で。

協生農法は環境のまだら模様(多様性)を作ることがとても大事ですが、棚田というものは反対に「田んぼに一様に日当たりを良くする」という仕組みですので、果樹や畝立てなどで意識的に変化を付けていかないと、同じ類の植物が席巻してしまうことになりやすそうです。まだまだ土が見えすぎている状況なので、もっともっと多種多様な有用植物を導入して豊かなエディブルヤードにしていきたいです。

ちなみに、この場所の近くには竹やぶもあり、今は筍が採れる時期でした。

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プロジェクトメンバーの実家の農家さんに教えていただいて収穫。採れたばかりだと生で食べてもおいしかったのですが、大釜でアク抜きしました。

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そしてBBQとテント宿泊。棚田の絶景の中での宿泊ですが、あいにく夜は雨でした。

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BBQをすることなどを考えると、もっと多彩なハーブを育てると良さそうだなと思いました。

夏にはもっとたくさんの野菜を収穫して地産地消の生活ができる場になると良いですね。

東京のエディブルヤードでの経験で説明や想像がつくことが意外と多かったので、もっともっと東京で知見を積めばこちらにも活かしていけそうです。また来ます。

(フジムー)


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