「黒人コンプレックス」とリズム感

ポピュラー音楽の世界において「黒人コンプレックス」が存在していたと思います。特にリズムにおいて。

最近、ロバート・ジョンソン氏のレコードについて、正しいピッチの音源の話についてX(旧Twitter)のポストで読みました。
正直、ジョンソン氏の作品って、これまで私にはピンと来なかったんです。この動画の方と同じで。

でも、少し低くなったピッチで聞いて、「いいな」と思いました。
確かにオブリとか含めてアレンジも素晴らしい。

でも、でもですよ、当時のアメリカには同じレベルのブルースマンは他にもいたのでないか?と思ってしまうのです。
夭折したという背景とか、悪魔と取引した、みたいな尾鰭がついて今に至る、みたいな感じだと思います。
故に、エリック・クラプトン氏をはじめとする白人ロッカーから支持されたロバート・ジョンソン氏ではありますが、それは「まだ当時誰も知らなかった」という「限定モデル」みたいな希少性を求める心理みたいなものをついたのと、黒人コンプレックスから生まれた伝説なのではないか、と考えています。

蛇足ですが、日本でも、「黒人と同じリズムは日本人にはできない」とか数十年前には普通に言われていました。

前にも書いたことがあるかもしれませんが、アメリカで学んでいた私のギターの先生の言ったことが忘れられないのです。 「黒人だからリズム感がよいのではない。どれだけ我が強いかだと思う」 とのことでした。
彼曰く、学校で教師から「それは違う。こうしろ」と指示されても、黒人は修正しない人が多かったとのことでした。
「我が強い」は「自信」とかに言い換えることができるのだと思います。

話は変わって、まともなリズム感を身につける、をずっと研究していて、行き着いたのは「自分の気持ちよさ」でした。
その「気持ち良さ」をどれだけキープできるか、で、前述の話と合わせて、これが黒人の皆さんは長けている気がするのです。

先日も黒人の方の「リズムの気持ち良さ」の解説動画を見ていたのですが、日本人でそこを追求している人と同じことを言っているのです。
そこで言われていたのは「心臓の鼓動をイメージする」です。

私はこれはもう技術云々とは別で、変性意識状態に入れるかどうかだと考えています。技術ではなく心理の問題なのです。
ただ、この「変性意識状態」という言葉がまだオカルト的段階だと考えていて、取り扱いに悩んでおります。

というわけで、リズム達人の言う「強い4分」や「拍」という、言語化できない謎の存在について、情報を集めたり練習したりしてきたけれど、今は心理だと考えています。
「我の強さ」「自信」がその心理を支える強さに繋がっているのではないかと思うのです。

ただ、「自分の気持ち良さ」と言っても好き勝手にやればいいというものでもなく、やっぱり修行が必要だと思っています。
なぜなら「自分の気持ち良さ」が万人にウケるかは別の話なのです。
そして「自分の気持ち良さ」を世間一般基準に近づける、というのがDAW時代のやり方だと思います。


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