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マンガの紹介。『バトルグラウンドワーカーズ』

前書き。

 一生懸命やってるつもりで、だから何か変だなって思ったことはないですか。自分の仕事や生活だって社会にしっかり関わっているはずなんだけど、あまりにもその重さを感じない。空回っているだけのような気がする。誰かを幸せにしている実感がないし、自分が幸せになっている実感もない。だから自分の人生に胸を張れないし、明日を生きるのもなんだかなーと。私はあります。そう思ったこと。
 このマンガを読んで、主人公達は私の仲間だと思いました。そして彼らの生き様にはなんだか活力がもらえる。現実を忘れさせてくれる楽しさじゃなくて、現実と向き合うだけの活力がもらえると感じたのです。

紹介。

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 バトルグラウンドワーカーズの世界は、現在の我々が暮らす世界とほとんど変わらない。ただ一点、25年前に未知の生命体「亞害体」が襲来して以来、人類連合のパイロット達が命を懸けて遠隔操作ロボット「RISE」を操縦し、地球を守っていること以外は。
 そんな世界で、職を失い、両親や祖父母を失い、たった一人で30歳の誕生日を迎えた平仁一郎。彼の元に一通の封書が届く。それはRISEのパイロット職につくための採用審査通知だった。あまり喜ばしくない誕生日を迎えて「幸せ」は遠すぎると感じていた平は、「幸せの代わり」を求め、戦場で働くことを決意する。
 平は控えめに言って優秀とは言えないパイロットだが、ここぞという時の勇気や地道な努力、試行錯誤すること、何よりも優しさやひたむきさで仲間達に認められていく。RISEの消費電力の少ない動かし方を研究してみたり、ひたすらアーカイブデータに向き合って敵を分析したり、向いてない狙撃を頑張って仲間に迷惑をかけるよりも壊れた銃の修理技術を磨いたりと、平の行動は地味で目立たず直接評価もされないが、確かにチームを支え、貢献していくカッコよさが詰まっている。
 また、登場人物の西の台詞を借りれば、RISEのパイロットは社会不適合者、いつ死んでも問題のない人間ばかりだ。平の所属するチームの誰もが、家庭、学校、会社など、社会と上手く折り合いの付けられなかった過去を抱えている。彼らの心模様のどれもが他人事・フィクションとは思えない生々しさに満ちていて、その複雑さが伝わってくる。やはり「幸せ」が遠い人達で、心のどこかで「現実なんてこんなものだ」という諦めを抱えた人達なのだ。平は失敗と成功を繰り返して彼らと心を通わせていき、彼らは現実に抗うための希望を取り戻していく。その巨大な氷山を地道に溶かしていくようなストーリーには、グッと込み上げるものがある。
 バトルグラウンドワーカーズは、「幸せの代わり」を求めて、命を懸けて戦う、ありふれた落伍者たちの生き様に胸が熱くなるマンガだ。6巻が2/26日に発売されるらしいので、これを機に一気に読んでみてはどうだろうか。
今最も熱い漫画だ! おすすめする!!!!!

紹介した本。

書名:バトルグラウンドワーカーズ
著者:竹良 実
出版社:小学館
出版年:2019(1巻)
ISBN:978-4-09-860381-7(1巻)

こっちもオススメ。的な。

辺獄のシュヴェスタ(全6巻)
 同著者の前作。母の復讐を誓った少女の「分水嶺の修道院」での生き様を描いた作品。こちらは16世紀の修道院を舞台にしているが、やはり主人公をはじめ登場人物の生き方がとてもかっこいい。主人公達の台詞や行動がビリビリと心に響き、活を入れられる。ほんの少しグロいので、苦手な人は要注意。

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