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マンガの紹介。『欅のまんが棚 その15 鏡ごしのミルクケーキ』

どうでもよい前書き。

 なんというかこう…… 必要性を感じたので、好きな作品などについて、不特定多数の方々、とりわけあなたに紹介するための文章でも書いてみようかと。

紹介。

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 欅のまんが棚は漫画の短編集である。前後編や連作を含めて16本。今回は最も私が好きな15本目、「鏡ごしのミルクケーキ」を紹介する。
 「鏡ごしのミルクケーキ」は、学ランの男の子である主人公が、喫茶店でセーラー服の女の子を鏡越しに観察する話である。主人公は彼女が好きなのだ。彼女の一挙一動を目で追い、ミルクが好きなのではないか..... 猫舌なのではないか…… と想像を膨らませるのである。彼女のことを真似して同じメニューを頼み、自分も同じように楽しむ。彼女がしつこく紅茶を冷ますのなら自分もしつこく息を吹きかけ、彼女が3つ並んだサンドイッチを真ん中から食べるのなら自分も真ん中から食べるのだ。彼女の行動、食べているものの味、自分も同じものを感じたいという主人公の気持ちと行動がとてもかわいらしく、微笑ましい。
 だがそれは秘密でもあった。バレればどうなることか。鏡越しにひっそりと観察し、真似して想像する。そんなストーカーじみた行動が明るみに出れば、嫌われるのは間違いない。そう思った主人公は、意中の彼女に話しかけたくても話しかけることができないでいた。そんなもどかしさを抱えていると、急に彼女が話しかけてきて……。というお話である。
 とにもかくにも、丁寧に描かれる主人公の一挙一動が微笑ましく、もどかしいのだ。他の話も丁寧で温かくて近くてとても面白いので、興味が湧いたら読んでみてほしい。

紹介した本。

書名:欅のまんが棚
著者:大槻一翔
出版社:KADOKAWA
出版年:2018
ISBN:978-4-04-735342-8

こっちもおすすめ。的な。

欅姉妹の四季(全四巻)
同一著者の作品。4人で暮らす欅姉妹の生活の中の大きなことや小さなことを丁寧に描いた作品。とても良い。

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