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羊が見た海

「羊と海」が始まりました。
ニット作家で奈良市在住の「いとみち(なかむらみさと)」さんと、枚方の星ヶ丘洋裁学校内でSewing Table Coffeeを営み、服づくりをされている「SO SEA(玉井恵美子)」さんとの二人展です。

今回は展示のいきさつについて綴ってみたいと思います。

手紡ぎの糸

ある日、展示依頼の問い合わせが一通届きました。
その送り主が今回の出展者である「いとみち」のなかむらみさとさんです。
お店で会うことになり、自ら紡いだ毛糸やニットの作品をいくつか持って来られて、それを見ながら色々とお話をしました。

手紡ぎの毛糸は太さが不均一で、面になった時の風合い、その手触りの良さ、空気を含んだことによる温かみが既製のものとはまったく違い、可能性を感じました。ただ、展示をするということに関しては正直「難しいかもしれない」と思いました。一本一本糸を撚るという行程は素晴らしいのですが、その手間の分どうしてもお値段が上がってしまうからです。

お仕事はとても丁寧で、人柄の誠実さも作品から伝わってきました。お値段を意識させないような個性や何かひらめきがあれば、というお話をしたところで、なかむらさんが「はっ」と空気を察したように感じました。

「今回はお時間を作っていただいてありがとうございました」

一つの提案

私たちには密かなプロジェクトがあります。
それは誰かの可能性を私たちが「できること」で応援していくというものです。進んでいく未来を共有し、同じ舟に乗るクルーをキャスティング(バックキャスティング)していきたいと思っていました。

もしよければ、一緒に新しいニットを作ってみるというのはどうでしょう

と、お節介ながら提案してみました。
思いもよらなかった展開になかむらさんは一瞬戸惑ったようでしたが、喜んで受け入れてくれました。
そしてもう一つお願いをしました。それは、WELT(ヴェルト)さんのRoot Reading(ルートリーディング)の足のモニターとして、なかむらさんの足を見せてもらうことでした。

ルートリーディングを通じて

ルート(第一チャクラ)である足の小指から読みとれた心の迷いとは対照的に、なかむらさんの親指には(小柄な体のわりに)力強さが現れていました。

過去や記憶にとらわれることなく「今」にフォーカスして前に進んでいくと、本来のあるべき力を引き出せると、ルートリーディングを通じて思いました。勇気を出してEDANEを訪ねてくれたことはその一歩。何かをやり遂げる意思の強さを感じたのです。

なかむらさんは小学生の頃から編みものが大好きで、ガタガタになりながらマフラーを編んでいたそうです。
進学は食物分野。発酵、栄養学などを学んで大学の研究室に就職します。
自家製の梅干しとお味噌を作り、おむすびとお味噌汁でイベントにも出店していました。評判のおむすびは依頼があれば今も結んでいます。

大学職員を辞めた後、子供の頃から好きだった編み物に戻ってきました。見つけた古民家をアトリエにするために、自分でコツコツと時間をかけて改装し、糸車を手に入れたことで手紡ぎに目覚めました。
糸と日々向き合い「いとみち」という屋号のとおり、編みものの話をするなかむらさんからは、ニットを極めたい「編むのが大好き」という思いが伝わってきます。

もう一人のクルー

なかむらさんと誰かを結びつけたいと思いを巡らせた時、星ヶ丘のえみこさんの顔が浮かびました。

「SO SEA」の玉井恵美子さんとは、ワイワイ楽しい展示の旅を共にした旅仲間でもあります。どんな時も大らかで、分け隔てなく人を受け入れるでっかい海のような人。パートナーのタマケンさん共々、ヘンコな私たちが心から尊敬する存在なのです。

えみこさんになかむらさんとのコラボのお話をすると、とても喜んで引き受けてくれました。航海にのぞむ「羊号」のクルーとして同乗してくれたのです。

Sewing Table Coffeeを訪れたことがある人なら、えみこさんが味のある革のベストを着ている姿に見覚えがあるのではないでしょうか。そのベストは古着で、彼女がハサミで切ったりして自分流に仕立てたものです。
唯一無二の「SO SEA」のベストとなっているのですが、他にもファーの生地にハサミを入れてシームレスのような仕立てになっているベストもあり、とても面白いと思っていました。

えみこさん、なかむらさんとの話し合いで、これらのベストを基本にして、新しいニットのベストを作ってみてはどうだろう、ということになりました。
「SO SEA」の服やパンツはえみこさんそのもの。自由のように見えるけど、不思議なバランス感覚というか調和を感じます。ニットでそれを表現できるのか、なかむらさんの挑戦が始まりました。

羊と海

なかむらさんは、糸をほどいて編みなおしを繰り返します。
ニットの伸縮によるバランスの難しさもありましたが、持ち前のセンスと粘り強さで(時に涙しながら)ディテールを再編してくれました。お値段もお求めやすいように工夫してくれています。
ついに、ふんわりと暖かく軽く個性的なベストが出来上がりました!

タテガミと呼んでいる風になびくヒラヒラが象徴的な白い「SO SEA」のパンツと、「いとみち」の2種類のふっくらとしたベストSEAP VESTの相性は素晴らしいものです。

「いとみち」のニットのベスト(メリノウール)はご注文となります。作品は手紡ぎ、手編みのため、お渡しに少々お時間をいただくことをご了承ください。
※25日現在、たくさんのご注文をいただいています。本当にありがとうございます。26日以降の受注分については、来年以降のお渡しとなることをご了承ください。

手紡ぎのニットキャップもあります。ものすごく暖かいのですよ。

羊と海
2021年10月23日(土)~31日(日)
11時~16時 不定休

「SO SEA」の玉井恵美子さんがリメイクした古着のフォルムや「SO SEA」のエッセンスが詰まった ”ベスト” のデザインを「いとみち」さんが手紬ぎのニットで再編します。
そして「SO SEA」の ”パンツ” が並びます。

” 糸の道を究める、いとみち ”
SEAP VEST:いとみち

” いつもこころに、海を ”
TATEGAMI Pants:SO SEA 

営業時間は11時〜16時です。
23、24日(土、日)予約制
25、26日(月、火)予約不要
27日(水)お休み
28、29日(木、金)予約不要
30、31日(土、日)予約制

25日(月)は出張Sewing Table Coffee。
作家のお二人が在廊します。

予約不要日はその名のとおり、予約無しでご来場いただけますが、店内が混雑した場合は、少しお待ちいただくかもしれないことをご了承ください。もし良ければ「行きますよー」のご連絡をいただけるとありがたいです。


<ご予約について>
件名「羊と海」で、
「お名前」「ご来場の日時」「人数」
を明記のうえ、
edane@me.com 
へご予約ください。

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