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案件ページをチェックしてみよう【Angel's School #05】

弊社は「理想の未来に挑戦できる社会へ」というビジョンのもと、今までプロ投資家や一部の資産家に限られていたエンジェル投資の世界を民主化すべく「イークラウド」というサービスを運営している会社です。

このnoteマガジンではエンジェル投資に役立つ、基本的な知識から具体的なTIPSまで解説しています。

第4回ではエンジェル投資をする方法について学んできました。

第5回では、実際にイークラウドの案件ページをもとに投資先を決めるために必要な情報の見方を解説していきます。第2回で学んだ、投資の『魅力』と『リスク』の2つを思い浮かべながら見ていきましょう。

基本のチェックポイント

案件ページの項目には以下のような項目があります。

実際に投資を検討する際には、全項目に目を通すと同時に契約締結前交付書面をよく読んで内容を理解する必要がありますが、これらの項目から特に読み解くべき3つの情報について解説していきます。

チェックポイント1:事業の情報

「なぜやるか」
『なぜやるのか』の項目では、社会的動向や業界の課題などが書かれており、なぜそのスタートアップのサービスや商品が世の中から求められるのかといった事業の存在意義が見えてきます。

ここは、あなたが事業を長く応援できるかどうかを判断するために重要な要素の一つになります。その課題は本当に解決すべき課題なのか、その課題解決に取り組むことに共感できるかどうかを考えてみましょう。

「何をするか」
『プロダクト・ソリューション』の項目では、実際にそのスタートアップがどのようなプロダクトを提供するのかについて解説しています。

ここではプロダクトの概要を理解するとともに、「実現可能なプロダクトなのか」「独自性や競合優位性はありそうか」「課題に対して効果がありそうか」などを考えてみましょう。また、リリース済みのプロダクトでは、実績を公開している場合がありますので併せてチェックしてみましょう。そのプロダクトがどのような人に求められているのかがわかります。

「どうやってやるか」
『事業戦略・マイルストーン』の項目では、経営者が自社のサービスや技術を、どのように形にしようと考えているのか、またその事業をどのような計画で進めていこうと考えているのかがわかります。

売上の計画や年度ごとのマイルストーンなどを確認し、その戦略が「現実的なものになっているかどうか」などを考えてみましょう。その計画にワクワクできるかどうか、応援したいと思えるかどうかも併せて考えてみるといいでしょう。

チェックポイント2:市況・マーケットの情報

「どこでやるか」
『市場』の項目では、そのサービスや商品を取り巻く市場環境がどのようになっているのかがわかります。

いくらプロダクトが良くても、市場が小さければ大きな売上が見込めない場合もあります。また、現時点で市場が大きいかどうかだけでは判断できません。今後市場の伸びが期待されるかどうかも重要な視点です。市場が伸びていなければ、奪い合いに陥る可能性が高くなります。

チェックポイント3:経営者・チームの情報

「誰がやるか」
『メンバー』の項目では、どんな経歴のメンバーが参画しているかを確認することができます。特に創業間もない企業では、あらゆる面で経営者メンバーが会社に及ぼす影響が大きいため、エンジェル投資において、経営メンバーを理解することは非常に重要なプロセスになります。

また、募集ページでは代表へのインタビュー動画のほか、経営者のプロフィールや事業に至ったストーリー、第三者からの応援コメントなどを確認することができます。「信頼できそうな経営者か」「応援したい経営者か」「この事業を推進するのに適切なチームか」など、経営者をよく見たうえで投資判断に活かしてください。

エンジェル税制・株主優待

実際に投資を判断する前に、今回の案件がエンジェル税制の対象であるか、株主優待などの特典があるかどうかも押さえておきましょう。

税制優遇・株主優待があるかどうかについては案件ページのトップにタグをつけているので、一目でわかるようになっています。

エンジェル税制や株主優待の詳しい中身は『募集情報』の項目で確認できます。

募集情報・事業のリスク

投資にはメリットもあればリスクもあります。案件ページを見て興味のある案件に出会ったら企業の基本情報や事業のリスクについてもしっかり理解しましょう。

これらを記した「事業者情報」や「企業のリスク」は、案件ページ「詳細」とは別のタブから確認できます。

『事業者情報』のタブには、募集を行うスタートアップの概要情報が記載されています。企業の理論上の市場価値を示す調達前評価額なども分かります。

【『事業者情報』で確認できる情報】
商号 / 所在地 / 代表者 / 資本金 / 調達前評価額/ 設立年月日 / 決算期 / 主な株主・新株予約権者 など

『募集情報』のタブには、そのスタートアップがどのような条件で株式投資型クラウドファンディングでの募集を行うのか、調達した資金をどのような用途で使うのかが確認できます。

【『募集情報』で確認できる情報】
募集株式の数・金額 / 申込期間 / 目標募集額・上限募集額 / 資金使途 など

『企業のリスク』のタブでは、当該スタートアップから得た情報やヒアリングを元に、事業や業績に影響を及ぼす可能性があるリスクを記載しています。想定されるリスクについて記載してありますが、将来発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

そのため、他にはどんなリスクがあるか自分でも想像しながらこのページを読み進めてみましょう。

【『企業のリスク』で確認できる情報】
市場環境に関するリスク / 事業内容に関するリスク / 財務に関するリスク / 事業運営体制に関するリスク など

『審査内容』のタブには、イークラウドの審査プロセスの透明性の担保のため、どのような手法でどのような内容の確認を行ったかが記載されています。

【『審査内容』で確認できる情報】
発行者及びその行う事業の実在性の確認 / 発行者の財務状況について / 発行者の事業計画の妥当性 / 発行者の法令遵守状況を含めた社会性 など

『契約締結前交付書面』のタブからは、3種類の書面のPDFを取得することができます。

【『契約締結前交付書面』で取得できる書面】
契約締結前交付書面 / 募集株式の募集事項に関する通知書 / 株主間契約書面

契約締結前交付書面のPDFには、ここまでご紹介した募集情報やリスク情報・審査内容はもちろんのこと、別紙には数年分の事業計画が掲載されています。募集ページに記載されている事業計画を詳しく理解したい場合なども含め、必ずよく読んで確認してください。

契約締結前交付書面とは?
契約締結前交付書面とは、事業者と顧客との間で有価証券等(株式投資型クラウドファンディングの場合は非上場株式)の取引の契約を締結する前に交付する、その商品や取引のリスクなどについて記載された書面のことです。

目標募集額と上限募集額

案件ページの『募集情報』には、そのスタートアップが今回の株式投資型クラウドファンディングで募集したい「目標募集額」と「上限募集額」が記載されています。

目標募集額
案件が成立するために最低限必要な募集金額のこと。案件募集期間終了時(撤回期間含む)に目標募集額以上となっている場合に案件成立となります。一方応募額が目標募集額を下回った場合、募集案件は不成立となり、既に入金された投資資金は返金されます。

上限募集金額
この案件に対して申し込み可能な上限金額のこと。募集期間終了までに申込額が目標募集額を上回った場合、募集期間中は上限募集額まで申込みの受付を継続します。また、申込額の総額が上限募集額に到達した時点で申込みの受付けを終了します(早期終了)。早期終了後は、キャンセル待ちへの申込みのみ可能になります。

『募集情報』には、そのスタートアップが目標募集額や上限募集額を調達した場合の、調達資金の使途についてそれぞれ記載してあるので、チェックしてみましょう。

経営者に質問を送ってみよう

イークラウドでは、事前開示期間(案件ページが公開されて実際に申込みの受付が開始するまでの期間。おおよそ1〜2週間程度)中に、経営者に質問をすることもできます。

案件ページや契約締結前交付書面を確認して、投資判断をするにあたって解消しておきたい疑問点があった場合は、募集ページ上の専用フォームから質問を投稿してみてください。質問を投稿すると、経営者が質問を確認してその回答は後日募集ページ上に掲載されます(質問の内容によってはお答えできない場合があります)。

スタートアップにとって重要な資金調達であるように、あなた自身も大切な資金を使って投資をします。少しでも不安な点があれば遠慮せずに質問して、納得したうえで投資に臨みましょう。

おすすめの読み方

ここまで読んでみて把握する情報の多さに躊躇する人もいるかもしれません。投資家の方それぞれにセオリーがあることと思いますが、初心者の方向けに、案件ページのおすすめの読み方の例を紹介します。

まずは第一印象を『インタビュー動画』で判断してみよう
まずはその案件に興味を持てるかどうか第一印象をジャッジするためにまずは案件ページ冒頭の『インタビュー動画』から見てみるのはどうでしょうか?ここで自分なりにグッとくるポイントがあれば詳しい情報に進んでみると良いでしょう。

出口戦略もしっかりチェックしよう
せっかくエンジェル投資をするなら、経済的リターンも期待したいところです。そのスタートアップが目指すのがIPOなのか、M&Aなのか、また、どういうタイムラインでそれを達成する予定なのかをチェックし、自分の方向性に合っているかを見極めましょう(すべての企業がIPOやM&Aに至るとは限りません)。

案件一覧・新着情報を定期的にチェックしてみよう
定期的に案件一覧ページや新着情報をチェックすることで自分にピッタリの応援したいと思えるスタートアップとの出会いがあるかもしれません。それだけでなく、今どの業界がアツいのか、どんな社会課題が注目されているのか、トレンドをキャッチするきっかけにもなります。

投資家は、自身が投資する企業の情報だけでなく、世の中のトレンドや経済動向にも敏感であることが理想です。日々の情報収集が、あなたのより良い投資先との出会いにつながるでしょう。

今回の振り返り

エンジェル投資をするには、その企業や事業を取り巻く環境などを十分理解して投資する必要があることがわかりました。また、仮に良いプロダクトと環境条件が揃っていても想定しうるリスクについてしっかり検討する必要もあります。

このような魅力とリスクの両方に納得したうえで、長く応援したいと思えるスタートアップかどうかもよく考えて、投資を楽しんでみましょう。

次回は「株式投資型クラウドファンディング」を通じてスタートアップに投資するまでの具体的なステップについて、詳しく解説していきます。

▼続編はこちらのマガジンで順次公開予定です!

https://note.com/ecrowd_official/m/mba987ed57d1f


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