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『失敗の殿堂:「輝かしい失敗」の研究』出版!

紺野登監訳、新刊本のご案内

エコシスラボ代表の紺野登が監訳をいたしました書籍:

『失敗の殿堂: 経営における「輝かしい失敗」の研究 』
ポール・ルイ・イスケ (著)
 紺野 登 (監修)
渡部 典子 (翻訳)
東洋経済新報社

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5月28日に発刊しました。

解説:「輝かしい失敗」のすすめ     紺野登
より一部抜粋

▶イノベーションのための明るい失敗の研究
 イノベーション経営の時代の今、そして、ポストコロナ/ウィズコロナの時代の只中にある日本では、古い体質、制度や因習を捨て(もちろん、良いものは残しつつ)、「次なるバージョン」の経営を模索しているように思われる。そこで、単に新しいことを継ぎ足すのでなく、連続性の線上での非連続的な価値創造が求められるのではないかと思う。
 歴史が証明しているのは、私たちの最も価値ある経験は、成功よりも失敗としてもたらされる可能性が高いということだ。
 イノベーションとは「試行錯誤するという仕事」である。これを効果的・効率的に行ううえでは経営システムの見直し、組織の知の刷新、試行錯誤の「場」を生み出すリーダーシップが必要だ。同時に、失敗を暗いものでなく、ポジティブに見立てる目が大変重要だ。失敗が受け入れられない、必要なリスクをとろうとしない文化においては、多くの努力が無駄になってしまうからである。
 しかし、ひたすら失敗に前向きになれ、というのは無茶だ。そうではなく、かつては「失敗」と世慣れたネガティブな事象は、実は試行過程での反応、フィードバックとして捉えるのがふさわしい。
・・・・・・
 失敗はイノベーションと密接な感性にある。失敗をそのプロセスの一部として捉える「実践理論」が必要だ。
・・・・・・

 本書のユニークさは、著者が理論物理学をバックグラウンドに、失敗の研究に複雑系を持ち込んで、失敗や成功の常識的評価(バイアス)から抜け出して、うまく取り入れようとするアプローチにある。
 今日の非常に複雑で、不確実さが加速する予測不可能な環境においては、失敗に対する考えからを根本的に変えていく必要がある。鍵は知識創造にある。IoBF*は、そのような取組みを行っている。

* Institute of Brilliant Failures「輝かしい失敗研究所」
:マーストリヒト大学ビジネス・経営学部内に創設された研究所、著者のポール・イスケ氏がCFO(最高失敗責任者)を務める。


著者 ポール・ルイ・イスケ氏のメッセージ


2021年5月20日に開催された第15回トポス会議「創造的失敗思考 ~複眼で新しい世界を築く」での、イスケ氏によるキーノートスピーチです。

ポール・イスケ Paul Iske
「輝ける失敗研究所」最高失敗責任者
Chief Failure Officer, The Institute of Brilliant Failure
マーストリヒト大学教授
マーストリヒト大学ビジネス・経済学部のオープンイノベーション&ベンチャービジネスの教授として、サービス・イノベーションとソーシャル・イノベーションを研究。イノベーションと起業家精神の研究を深めるためにInstitute for Brilliant Failures(輝ける失敗研究所)を創設。創造性やイノベーション、知的資本、ナレッジマネジメント、起業家精神などの分野で講演やコンサルタントに従事。


いまこそ「輝かしい失敗」に目を向けよう!

かつて失敗とは「エラー」でした。つまり、
・日本では失敗を顧みず、まずいことには蓋をしてしまう文化が根強い
・失敗よりも過去の成功ストーリーの再現にのみ目を向けてしまう
ことで、本来「試行錯誤の過程」としてのイノベーションに直面できなかったといえます。

一方、輝かしい失敗(Brilliant Failures)とは、
「価値を生み出そうとしたけれど、本来意図した結果が出せなかった試みであり、避けられる過失や犯罪は該当しない。また、そこから学んだ教訓や学習経験は共有される」試みです。
著者はオランダの「輝かしい失敗研究所」の最高失敗責任者(CFO)!

みなさん、ぜひ本書を一読いただき、失敗について明るく考えてイノベーションに取り組みましょう。


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