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不本意ながら精神論を持ち出さざるを得ない時

パワハラとかブラックな労働環境は、ニュースで散々叩かれている。また、私は体育会系な人間ではない。

論理的で合理的な指導をし、社員が納得づくの上でイキイキと働けるような環境であればいいなと日々夢見ている。その前提があった上で、どうしても精神論を持ち出さなければいけない(=計画通りにいかない)時がある。

以下に具体的な場面を考えてみよう。

業務量の一時的な爆発

通常の倍以上の仕事が突然押し寄せれば、単純計算で仕事の負荷は倍になる。じゃあ、人を倍に増やせるかというと、育成期間が必要なので現実にはそんなことはできない。

採用や救援の手配をした上で、一時的には現場の根性によって持ち堪えざるを得ない。

突然欠員が出て、しかもそれが戦力的にかなりの痛手だった場合も似た事象が起きる。通常時の業務量を見込んで人を配置しているのだから、1人減ると負荷は他の人間が肩代わりしないといけない。

しかも、その人間の担っていた仕事の専門性が高く、代わりになる候補が一人しかいない場合には、負担が丸ごとその人にプラスオンとなる。

この場合、仕事量が2倍になることもありえる。もちろん、受け入れる人の業務の中から替えのきく仕事を別の人間に移す調整は可能だ。

だが、誰でもできる仕事と自分しかできない仕事であれば、一般的には後者の方が負荷が高いので、差し引きだとやはり業務負荷は増加することが多い。

業務調整を済ませた後では、人員が補充されるまでの期間、上の人間も励ましの言葉しかかけることができない。

感覚的には、2,3年に一度ぐらいの割合でこれが起きる。

仕事が佳境に差し掛かり全員が疲労困憊

先日日本代表が素晴らしい金星を上げていたカタールワールドカップ。試合終了間際の最後の10分ほどに差し掛かると、「あとは気持ちの勝負ですね」と解説がコメントしていた。

試合も佳境で全員に疲労が蓄積しており、周りの人間の失敗をカバーする余裕がない。一人でも気持ちに遅れをとると、そこから戦線が決壊する。

ここで一人のプレイヤーとして強度が出せないと、大舞台に出続けることができなくなる。

私が若手の頃、資料作りでエクセルの罫線が1本抜けていたことを先輩から指摘されたことがある。こういった雑さは、追い詰められた時により大きな形で現れ、災いをもたらすのだ。

年度末などはまさにこの状況で、人事異動と業務の追い込みが重なって訳が分からなくなる。

業務の性質にもよるが、私のやっているシステム企画の仕事はプロジェクトのローンチの関係から、四半期に一度〜半年に一度ぐらいの割合でこの局面が発生している。

正解の方法が誰も分からない

世の中の変化が激しくなったことにより、多くなってきたケースである。上司も先輩も「こうした方がいいんじゃないか」とアドバイスはできるが、実際の役には立たないような局面だ。

正解手順を示すことができないので、最終的には「俺も試行錯誤するが、みんなも試行錯誤して頑張ってくれ、頼む!」しか言えない。

システム企画の人間が手がけるのは、大抵が未知のものか、分かる人が誰もいなくなった業務なので、このような局面は毎月発生している。分からなさすぎて内心冷や汗をかきながら回答を提出する日々である。

これは10年以上社会人経験をやった実感だが、計画外の出来事は世の中にたくさんあり、精神論を持ち出していた上司たちの気持ちが少し分かるようになってきた。

正解が示されないことに腹を立てていた当時の自分は未熟だったなぁ、と苦笑いしてしまう。

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