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2020/03/18 カナダのコロナ対策


日本でもたくさんのイベントが中止され、学校が休校になり、美術館も休館。マスク買えないらしいとか。日本にいる友人や家族たち、好きな場所、アーティストにも影響が出ているのをSNSやニュースで見ていて、遠くから心配していたコロナウイルス。が、ここ1週間で一気に対岸の火事ではなくなりました。

今住んでいる街Winnipegで初の感染者が確認されたのが3月12日(木)。
朝に1人だったのが夕方には3人になり、ついにこの街にも来たね〜と美容院で話して、その夜はふつうに勉強会に出かけました。

6日後の今は、私もふくめてカナダ国民の大多数が自宅待機しています。
スーパー、薬局以外はほとんど閉店または大幅な縮小営業です。スピーディで徹底した展開に驚きつつ、日本とあまりにも国としての対応が違うのでその記録と、こだま個人の生活と心境の変化もふくめて書き残します。


3月11日(水)
 WHO、「新型コロナウイルスはパンデミックと言える」と述べ、各国に対策の強化を訴え

3月12日(木)
* トルドー首相の夫人がコロナ検査陽性が判明。首相自身は症状はないが14日間の自宅隔離により業務を行うと発表。
* Winnipegで初の感染者確認。3名。いずれも外国からの帰国者で、夕方のニュースでは3名が乗ったフライト便が公表され、心配な症状のある人は連絡するようにと呼びかけ。
* 夕方、ボランティア先のArt Cityが来週いっぱいキャンセルのお知らせ。
* スタバで水筒にコーヒーを入れてもらおうとしたら、コロナのことがあるので今はできません、でもエコ値引きはいつも通りしますねと。
 💭{ついに来たか〜大変やなあ。けど、致死率はMERSやエボラほど高くないし、高齢で持病がなければそこまで心配することない。かかる時はかかるから、完全に防ぐのは無理やろうなあ。}

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3月13日(金)
* バイトの飲食店に出勤。
* WinnipegのあるManitoba州、幼稚園〜高校まで23日から3週間休校を発表。保育園は開くそうだけど、共働きの親御さんがほとんどなのにどうするの?こどものいる友達・同僚と困ったねと話す。
* 大学、カレッジも休校を発表。
* 美術館も翌日からの休館を発表。→来週予定していたHuman Rights Museumのツアーに行けなくなる!バイトを早く切り上げてさせてもらって行く。
* 25人先着締め切りの館内ツアー、同じように考える人が多くて混みあうかと思ったら2人しかいなかった。
* 数時間ごとに目まぐるしく状況が更新されて変わっていった日。
* トイレットペーパー売り切れで笑った。ウィニペグでもかーい!
💭{カナダ滞在あと2ヶ月を切り、これから美術館・Art City・学校のリサーチに本腰をいれてすすめるぞと思っていたところだったので、ショック…。決断の早さに驚愕。本を読んだり、これまでの出来事書いたりしよう。}


3月14日(土)
* 朝、日本の家族、友人たちと電話して日本の様子を聞く。休校、一部のひとが自宅通勤など影響があるけど、ほぼふだんどおり働く人が多数派。イベントは自己責任による自粛または実施の判断、という状況がほとんどのよう。

* 昨晩、国内旅行から帰ってきたハウスシェアメイトKが風邪の症状があって、わりと症例のある州に行っていたので、万が一…?とふと心配に。できるだけお互いに距離をとる気遣いをした。後に、彼女は電話で看護師に相談し、行動と症状を伝え、それならコロナの心配はしなくていいですよと言ってもらったよと伝えてくれた。ひと安心。

* 夕方、年末までお世話になったホームステイダディを訪ねる。ママが亡くなり1ヶ月。寂しいだろうけど気丈に明るくしていて、ほっとした。手作りチーズバーガーを食べて、Netflixを一緒に見た。
* 同じ時期に一緒に住んでいた大学院生も来ていて、授業は4月末まで全てオンラインクラスに切り替わることになったと。学内でレストランのバイトが働けなくなり困った。
* 夜、バイト先に来週のシフト希望を伝えたが、コロナの影響でスローになるだろうから来なくていいよ、ごめんねと。仕方なし。
* 個々人のSNS、便乗レイシズムは許されないこと、隣人などお互いに支え合うことが呼びかけられる。また、休校や看護による欠勤を有給扱いにする法整備を求める声があがる。

* 悪化の一途を辿るイタリアのニュースを見て愕然とする。有名になったベランダで演奏のほっこり映像も素晴らしかったけど…、新聞のお悔やみ欄が10ページ以上にわたるのを見せている映像は悲惨だった。


3月15日(日)

* 街の飲食店が、各店のSNSでコロナ対策のポリシーを続々と発表。ニュースを注視し、政府の指示に従い、手洗いの強化、消毒、換気をふだんより強化して営業していきますね、みんなも健康に気をつけてね!という内容。

* オフィスワークのハウスシェアメイトNさん、健康だけど月曜からは自宅で仕事することになったと。今までやったことない。風邪のKさんはどっちみち症状があるので自宅待機。

* コロナかわからなくても、病気の症状のある人は家にいるようにという呼びかけが浸透する。ニュース、個々人のSNSで、手洗い、くしゃみや咳はひじに、また”Social Distance”の実施の呼びかけが聞かれはじめる。

* Social Distanceとは、感染拡大を防ぐためにできるだけ他者と距離をとること。人の多く集まるところに行かない、握手をしない、ハグをしない、人とは2メートルの距離をとる。まずは自分自身を守るための情報が、多かったように思う。

3月16日(月)

*木曜に予定していた小学校でのアートワークショップが延期に。休校は23日からだったけど、親の判断で欠席させる家庭も多く、24人中9人しか出席していなかったと。(ほー!)


* Winnipeg Art Gallery での職員向けの研修が、コロナ対策に内容を変更して実施。人数に対して大きすぎるシアターで行われたのは距離をとるためかも。
握手はしないように気をつけて、席を少し空けて座った。(事前のメールで、あいさつの握手を拒否されたり、多めの距離をとられても気を悪くしないようにと注意書きをもらっていた。)

館長から、館として職員の健康を守ることを最優先であること。ニュースを見る限り、この1週間から10日間の行動がcritical point(最重要な時) であることは明らか、よって当面の間休館することが告げられた。全ての展覧会、イベント、春休みのアートキャンプも中止。人事部長からは、その間自宅で働ける人は自宅で仕事を続けて、健康を守ることを最優先に行動してくださいと。パートタイム労働の人など(私のケース)、自宅勤務ができず今回のコロナ対策によるキャンセルにより仕事を失った場合、すでにスケジュールを組んであるシフトに関しては給与を支払います、その後の補償については申し訳ないが今はまだ話せる状況にない、との話だった。その後スタッフからの質疑応答が15分くらいあり、終了。

働き手としては、誠意ある説明で納得。少なくともキャンセルされたシフト分もペイがあると閉館3日後に明言してくれるのは、太っ腹…!と感じた。日本の博物館バイトでは仕事がなくなった、大変。というところまでしか聞いていなかったから。

* ほとんどの人は重症化しないが、若く健康で無症状な人であっても、媒介者となって抵抗力の弱い人に感染させてしまうことをかなり深刻に訴えて、命を危険に晒してはいけない、とニュースや個々人のSNSで呼びかけている。“イタリアになってはいけない、韓国などを見習うべき”、“弱い立場の他者、社会を守る”、“お互いにこの困難を支え合って乗り切ろう”、のメッセージびしびし。

* 飲食店が閉店、またはデリバリー・ピックアップのみ営業のお知らせを入れ始める。Social Distanceのため。私は健康な人なら、できるだけふだんどおり生活して、ローカルビジネスにお金を使って支える方がいいんじゃないのかなという考えと(日本的な考えなのかも)、とはいえ感染を広げては行けない、のジレンマを感じつつ、結局は好きなお店に行けるうちにとカフェにお茶にいった。そのお店も5時に閉まるとアナウンス。出展予定の週末のイベントもキャンセルに。その他も続々と。

* その後、Stay home 、いまだにお出かけしたり外食するのは無責任だよという立場のSNSの呼びかけが増え、胸にちくり。
* 日本は大丈夫なの、どうしてるのと友達に聞かれ、学校は休校してるけど大人はほぼふつうに働きにいっているよと答えたら、That’s surprising. と返答。これまた、胸にちくり。

💭{好きだった場所、どこにも行けなくなってしまって、友達に会うのも叱られそうな雰囲気に、少し気が滅入った。1人きりの人はお酒の量とか増えそう…ともちらり思った。でも友達はまた遊びにおいでねと声をかけてくれたり、気づかいのメッセージをくれて、感謝。自身のコロナ対策への認識が外からの影響によってがらり変わった日}


3月17日(火)
* 朝、トルドー首相の会見。できうる限り最大限の「Stay home」を全国民に呼びかけ。健康であっても。「この対策によって働く時間をカットされたり、こどものケアや病気の人の看病のために働けなくなったりした方々のことを放っておきはしません。みんなの命を守るために今は協力してください」との強いメッセージ。これを聞いて前述のジレンマは消え、今は自宅待機すべきときと優先事項がクリアになった。本気で徹底的に感染の増加を抑えようとしているのが伝わってきたから。

* 「*科学とデータ*を根拠に、専門家の意見に耳を傾け政策を決定していきます」との姿勢は気候変動問題に対するスピーチでもよく聞かれた表現だと思った。つながっている。

* コロナかはっきりしなくても病気の人とその家族、国内外問わず飛行機で旅行をした人は14日間の自宅待機の指示国外にいる全てのカナダ人にできるだけ早い帰国を呼びかけ不要不急の国外旅行は避けるよう勧告。アメリカ以外の外国人の入国の禁止症状のある者は国籍を問わず入国を禁止、などが一気に決定。
速い。私が今カナダ以外から来たら、入国できない立場になった。

* 大手スーパーマーケット、通常開店時間直後の1時間は最もリスクの高い高齢者や障害のある人、介助の必要なお客さんに限定してオープンすることを発表。またその1時間のみ20%のシニア割引を実施。ゾーニング、それを具体的に促す値引まで、徹底してる…!

* ハウスシェアメイトNさん、「これから自宅待機で一緒に過ごす時間が増えるから、何か気になることがあったら伝えてね。あなたに快適に過ごしてほしいから」と。そんなこと言ってもらえるのかとびっくり。じーん

* この日までにスーパー・薬局・パン屋さんなどの生活必需品店以外はほぼすべて閉店かテイクアウトのみの営業。従業員を守るためにもこの決断はしたくなかった、苦渋の決断だけど、みんなの安全と命より大事なものはないから閉めます、みんなどうぞ元気でねと、それぞれがそれぞれのお店の言葉で発表している。

*行けるところがほとんど何にもなくなったので、私は家でほぼこもりきり。困ってないけどハッピーでもない感じ。美味しいもん食べて元気だそう、パンは生活に必要やからいいよねとか思いながら出かける。パン屋さんに行くのに近所の人とすれちがう時、非常時やしもしかしてアジア人の私が来たら緊張させてしまうかな、イヤかな、と少し頭によぎったけど、おじさんはにっこりGood Morning! と声かけてくれて、取り越し苦労だった。うれしかった。

* SNSではローカルビジネスを支えよう、家で過ごそう、何する?などの会話が見られる。支える具体的な方法として、そのお店のギフトカードを買う、出前を頼む、中止になったイベントの返金要求の代わりにできるなら寄付はどうでしょう、とまで呼びかけていて、私にはそんな発想はなかったのでとても新鮮。毎日なるほど、と思っている。

3月18日(水)
* バイト先の同僚で友人のMが閉店のため仕事を失った。移民を目指して家族でやってきた、一家で唯一働けるワーキングママなのに。受けられる支援を一緒に探す。その他の同僚もオーナー以外はみな働けない。

* 朝、トルドー首相の会見。今回のコロナ対策による経済的損失の補償として、個人やビジネスに対して 850億ドル(日本円で5兆円以上)の支出 を発表。これはカナダのGDPの3%に相当する。個人が食料品の購入や家賃の支払いをできるように、ビジネスが給料や経費を払い続け、経済を一刻も速く安定させるために。
* ”No matter who you are or what you do, this is a time where you should be focused on your health, and that of your neighbors, not whether you’re going to lose your job, not whether you’re going to run out of money for things like groceries and meditation. “
* 自宅待機を余儀なくされ、病休や 雇用保険の資格を満たさない立場の労働者や、個人事業主に対して、2週間に一度、上限900ドル(7万円程度)の緊急支援を上限15週間まで支援する。
* 6ヶ月間学生ローンの支払いを利子なしで猶予する
* 確定申告時期を6月1日まで延長
* 税金の支払い時期の延期
* 先住民コミュニティへの資金支援
* こども手当ての引き上げ

<18日現在の感染者数>
カナダ 感染確認690人(うちWinnipeg 12人)、疑い35人、死者9人
日本 感染確認914人(うち京都16、大阪95)、死者31人


<19日(朝)時点の心境のまとめ>
今週、同時期に目を通していた日本のニュースは「政府がマスク買えるように確保したよ〜!」「中学生が自腹きって手作りマスクを作って寄付」「支援は4000円、12000円?」みたいな感じだったので、ズコーッとなりました。そんなあ。

コロナ自体は世界中どんな人にもふりかかり、コントロールが極めて難しく、天災のようなものだけど、住んでいる国によって、こんなにも受け止め方の温度差があって、人の生活や姿勢、支援のされ方が違うことに、けっこう動揺しています。どうしても日本とカナダの国としてのあり方、政治のリーダーシップや方向性を比べてしまい、私はもうすぐ帰国して日本に帰る身として、とてもとても悔しい。

台湾にいる友人とも、「トップの対応の姿勢で国民の姿勢も変わってくる」「国民の命を大事にする感じが伝わってくる」「対策が具体的」「スピード感が違う」「国として責任をもつと言ってくれることでみんなが安心して協調できる」と話しました。

今も迷いながらも、個々の生活を守るためにできるだけ普通の生活、業務を続けている日本のひとりひとりを責めたい意思は全くなくて、もどかしい思いです。だけど何が言いたいかというと、このコロナとその対策によるシワ寄せを個々が被ることは「しょうがないこと」じゃない。大変なときだからみんなでただ耐えるべき天災、ではない。私は政治も医療も専門家じゃないけどマネジメントのやりようがあることは最低限わかりました。ふつうにいち市民として怒ったり、助けを求めたりしていい!どの国も日本みたいなんじゃないことは伝えたいと思って書きました。

どうしても言葉の壁があって、日本語で発信・翻訳をされたもののみを情報源とすると、あえていうなら情報弱者になってしまう面が少なからずあると思う。
でもこういう時のために、私たちきっと英語の勉強がんばったんだと思うので、ぜひ他国のニュースもこの機会に見てみてください
オンライン、アプリで無料でどこでも見れます。わからない単語はもちろん多いけど、気にしない。字幕はないけどヘッドラインと映像で、必要最低限の情報、空気感は得られます。

🇨🇦カナダCBC
https://apps.apple.com/jp/app/cbc-news/id417988800

🇬🇧イギリスBBC
https://apps.apple.com/jp/app/bbc-news/id364147881

🇺🇸アメリカNYtimes
https://apps.apple.com/jp/app/the-new-york-times/id284862083

ここまで読んでくれた方ありがとうございます。
今、どんなことを考えていますか。どんな不安や困り、または解決のアイデアがありますか。
よかったらコメント欄で話しましょう。安心して、リスペクトを持って話せる場はとても大事だと思うから。

また、以上の記事は自分のわかる範囲、理解できた範囲で書いたので間違いがあるかもしれません。事実と異なる点や補足に気づかれたら教えてください🙇‍♀️


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