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カナダの選挙で働いてみました

2019年9月10日、Manitobaの州選挙でAssistant Voting Officerという仕事をしました。投票には行くけど、選挙で働いたことは皆無、なんといってもこれが私のカナダでの英語での初仕事!で緊張しましたが、なかなか面白かったです。

選挙の1日から垣間見えた、カナダの人たちについて。

<Assistant voting officerって?>

Voting Officer とペアになり、選挙当日の朝7時の投票所設営から、朝8時〜夜8時まで投票時間の投票者の身分確認照合と投票の記録、その後の開票作業までを行います。事前に3時間のグループ研修と、1時間のオンラインのビデオ研修とテストを受けます。研修はぶ厚いマニュアルをもらってみっちり(知らん単語山盛りで辞書必須)。ちなみにお給料は1日$216、研修は別途$60。総額ざっくり22,000円くらいでした。


<Accessibility:行きたいところに行く権利>

研修では最初に、Accessibilityの尊重について説明を受けます。

Accessibility とは、車椅子だったり、障害があったり、ベビーカーだったりしても、「どんな人でも行くことができるか」という意味の言葉。カナダでは、お店でも公共の施設でも、しょっちゅう見聞きします。
投票所ももちろん、だれであっても投票の権利、自由に行動する権利を行使できるよう、Accessibilityに配慮した立地やレイアウトやサポートがが徹底されます。
例えば、車から降りられない人の場合は、投票箱を持って車までいくこと、目が見えない人の投票は、介助者がいなければ私たちが投票の手助けをすること、などを具体的に教わりました。また、選挙以外でもまずはこちらから”How can I help you?”と尋ね、その人の答えを尊重しましょうとも、ふれられていました。


<リーダーのヨガお兄さん>

さてこの研修は、元先生でヨガの講師をしてるという責任者のお兄さんが担当。この仕事の上司にあたる人です。このヨガお兄さんは一貫して、私たちに対してフレンドリーに、困ったことがあれば知らせてくださいねという姿勢でいてくれました。

まず話始めが、選挙という面白いこの1日を楽しんでくださいね、このコミュニティのみなさんが選挙に関わることで、選挙をより身近に感じてくれるのは嬉しいです、など。話し方もゆっくりクリアで、おそらくnew comer(移民)の働き手がいることも前提に、配慮して話してくれてるのが伝わってきました。(それでもついて行けんくなったけど)

「人が並んでも、何かイレギュラーが起こっても、”Take your time“。正確に、落ち着いて対応してください。」

「もし、怒り出す人がでたとしても、それはあなたに怒っているのではありません。その人自身や、他のことに怒っているのだから、焦らず穏やかに対応してください。それでも収まらないときは、すぐ僕たちに報告してくださいね。」

など、具体的に伝えてくれ、私たちが安心して働けるようにメッセージを送ってくれていました。ひゅう、オトコマエ!


<え、それありなん! カナダの選挙>

選挙で働く者として、当日は政治的に中立な立場を貫かないといけないとか、開票が終わるまでは外に出れない、電話はできない、とかは、日本でもまあそうやんな〜という感じでしたが、ちょっと新鮮でおもしろかったことも。

例えば、
・投票箱が段ボール

・投票者がいなければtexting、読書、おしゃべりなどの暇つぶしOK(→編み物おばあちゃん現わる、最後には帽子が出来上がってた)

・ランチタイムない外出できない代わりに飲食いつでもOK、出前もOK(→投票所責任者はいつ見てもパスタもぐもぐしてる時間があって笑った、おばちゃんは炭酸ジュースをごくごく、友達がマクドの差し入れに来たり。)

・ 赤、緑、青など選挙カラーの服はだめ、モノトーン系ならなんでもよし

働く人も、業務に支障がなければ、自由にしてていい感じです。また、投票が始まってみてわかったこととしては、

・ 会社は従業員が投票するために休憩をくれないといけない

・投票時間の途中に、数時間おきに各党の政党支援者がやってきて、誰が投票したかチェックする。まだ投票していない人に電話で投票をよびかけてよい

・ 犬とかイグアナをつれて投票にくる人現わる

・ “I VOTED! (投票したよ!)”ステッカー、老いも若きも60%くらいの確率でもらってその場で胸やカバンにはってってくれる。目につくところに貼ることで、身の周りの人の投票率をあげることが目的。当日インスタでもよく上がってた。同伴のこどもには“OFFICIAL FUTURE VOTER”ステッカーをあげる。仰々しくてかわいい

・投票に来る人の身分証明書で誕生日を見かけて、おお、これがカナダの同い年…!わう私よりだいぶ若い…!など観察するのが楽しい

・不機嫌、無愛想な人が少ない。 若い人でも、もじもじしない。Hi!Sure!とか、にこにこはっきりで、”Thank you for voting“と声をかけると、“Thank you for helping”と返ってきたことも。ちょっとした挨拶だったけど、嬉しくなるし、見習いたいなあと思うふるまいだった。


<1日が終わって>

カナダの選挙、大概はその感じの良さやゆるさにほっこりした一方で、あれっと思ったことも。

それは、街で見かける人種の多様さに比べると、投票に来るのは白人の人たちの割合が多く感じられたこと。こちらでは、永住権とCanadian citizenship は別で、Citizenshipがないと投票できないので、それも関係あるのかも知れない。担当した地区によるのかとか、詳しくはわからないけど、first nation(先住民)の人たちの割合も、街で見かけるよりも、投票に来た人はずっとずっと少なかった。

関心や習慣がある層が偏っているということなのか、もしかして権利がないのか。
なぜだったんだろう。

開票作業が終わったのは午後9時すぎ。14時間超の長丁場だったけど、意外とあっという間!なんとかミスもなく初仕事が終えられてほっとしました。

開票現場は、日本でも未知のものだったので、誰が誰やらわかっていなくても、票を読み上げていくのはなかなかライブ感があっておもしろかったです。小切手(なにそれ!)で届くお給料が楽しみ。

以上、投票所からカナダを垣間見た1日についてでした。


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