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浦和サポーターは、なぜ復興LIVEが終わる前に応援パフォーマンスを開始したのか(一つのフラストレーションの検証)。

Yahoo! Newsでも報じられたが、2018年10月7日、ベガルタ仙台のホームゲーム仙台-浦和戦の試合前に「復興LIVE」として行われた塩竈市立第一中学校 吹奏楽部と日本フィルハーモニー交響楽団の合同演奏の途中で浦和レッズサポーターが応援パフォーマンスを開始し、浦和レッズサポーターは批判を浴びている。

今回は、なぜ、浦和レッズサポーターが応援パフォーマンスを開始しようという心理になったのかを、サポーター視点でベガルタ仙台の運営の問題点について検証してみた。なお、本日のnoteでは「浦和レッズのホームゲームではピッチ上でエンターテイメント提供をしない(ピッチはサッカー選手の物)」という考えについては「周辺情報」であるにとどめているため本題ではない。

主に、改善できるはずの問題点・課題について考察する。

経緯については、10月8日に掲載したnoteをご覧いただきたい。

まず、この試合は極めて珍しい時刻にキックオフされていたことに注目して欲しい。

13:10キックオフである。通常は13:03でキックオフされることが多い。これは「仙台の運営が悪く、当日のエンターテイメントの進行が遅れたためキックオフ時刻が遅れた」とデマが飛んだ一因となっている。Jリーグでは、通常は上記の画像(10月20日、11月4日)にもあるように、キッカリの時刻をキックオフ時刻として発表する。その後、TVやDAZNの放送スケジュールによって3または4分遅れのキックオフ予定時刻が設定されるのが通常だ。試合結果の掲載においては、実際のキックオフ時刻が掲載される。

この試合は13:00キックオフで発表されたのだろうか?実は違う。

Jリーグによる後半戦日程発表直後に掲載されたデイリー新聞のサイトによれば、この試合は当初から13:05というイレギュラーなキックオフ時刻が設定されたいた。

多くのサポーターは分単位のキックオフ時刻を気にしていない。

ツイッターでのアンケートではあるが、大きな差がついた結果であるので参考情報として掲載する。サポーターの多くは分単位のキックオフ時刻を気にしていない。この日、キックオフ時刻を(13:10どころか13:05でもなく)13:00と記憶していたサポーターも多いはずだ。

しかし、実際は13:10がキックオフ予定時刻であった。

浦和レッズのサイトを見ると、すでに10月4日時点でキックオフ時刻は13時10分で表記されていることがわかる。

浦和レッズサポーターが苛立つのは当然のこと。

「仙台の運営が悪く、当日のエンターテイメントの進行が遅れたためキックオフ時刻が遅れた」とデマが飛んだことからわかるように、実際のキックオフ予定時刻が13:10であるということの周知がスタジアム内では徹底されていなかったようだ。(10月12日補足:キックオフ時刻の分単位のアナウンスは行われていた)多くの浦和レッズサポーターは、キックオフ時刻を13:05もしくは13:00と勘違いしていた。実際のスケジュールよりも5分または10分間も遅れて(本来は練習開始時刻なのに)ピッチ上でエンターテイメントが続いていると思い込めば、苛立ちが生じることは自然であり仕方ないことだ。「ホームクラブの不手際から応援するクラブの選手を守りたい」という心理が働く。それくらい「自分たちが不当な扱いを受けている状況にある」とフラストレーションが溜まるのだ。そして練習のために選手がピッチに姿を見せたことで応援パフォーマンスが始まった(10月12日:練習開始時刻との関係を追記)。

「当日のエンターテイメントの進行が遅れたためキックオフ時刻が遅れた」はデマであるが「仙台の運営が悪く」は事実であったようだ。

これはベガルタ仙台のウエブサイトで公開され続けていた当日のスケジュール表。ここでも、キックオフ予定時刻は13:05と表記されている

ベガルタ仙台が実際のキックオフ予定時刻の周知を徹底していなかったことは、今回の事件発生の原因の一つといえる。

複数のベガルタ仙台サポーターが、スタジアム内では「キックオフ予定時刻が13:10であることを知らなかった」と答えている。「キックオフ時刻が遅れた」とデマが飛んだことと併せて推察すれば、ベガルタ仙台の運営側の周知方法もしくは周知活動の量に問題があったことは明らかだ(10月12日補足:キックオフ時刻の分単位のアナウンスは行われていた)。この事件の結果、塩竈市立第一中学校 吹奏楽部の生徒にとって不幸な環境が生まれてしまったことを忘れてはならない。起きてしまったことは取り返しがつかないが、顕在化した問題は、今後のために解決しなければならない。

分単位のキックオフ予定時刻の周知が徹底されているクラブは、すぐに思い浮かぶ。

浦和レッズ、横浜F・マリノス、松本山雅、名古屋グランパス、ガンバ大阪のホームゲームでは、試合前に大型ビジョンに掲出される対戦カードの表示に分単位のキックオフ予定時刻が大きく表記されている。場内アナウンスで分単位のキックオフ予定時刻を伝えている。そのため、これらのクラブの多くのサポーターは、場内で発表されたキックオフ予定時刻が、実際のキックオフ時刻であると信じている(他のクラブの状況が分かれば追記します)。

ホームクラブは、アウェイサポーターの緊張感を和らげる運営が必要。

かつて、世界各国のアウェイスタンドは環境が劣悪な上に緩衝エリアも狭く、高いフェンスに囲まれて圧迫感が強かった。重大な事故・事件が多発し、その後、アウェイサポーターには、できるだけ過剰なフラストレーションが溜まらないような運営が求められてきた。また、その成果で、近年はアウェイサポーターによる重大な事故・事件は目立ったものがなくなっている。


実際のキックオフ時刻について確認してみた。(10月13日追記)
「実際のキックオフ時刻は13:10分よりも、さらに遅かったのではないか」という指摘を1名の浦和レッズサポーターから受けた。公式記録、報道、ネット上での検索、浦議の書き込みを確認したが、外部から裏付けられる証言等を把握することができなかった。そこでDAZNの放送から検証した。DAZNは時刻表示がされていないため放送開始からの経過時間で比較した。

選手入場時刻は1分程度の遅れがあったかもしれないと推察できる。
仙台×浦和では、セレモニー終了からキックオフまでに3分26秒を要している。過去と比較すると仙台×東京で2分37秒、浦和×柏で2分53秒。セレモニー終了からキックオフまでの時間を30秒以上余計に要したことで、更に遅れが出たものと考えられる。

仙台×浦和では選手入場からセレモニー終了に2分46秒を要している。仙台×東京では選手入場からセレモニー終了に3分50秒を要している。セレモニーが1分間短いので(仙台×東京の選手入場が定刻であったと仮定すれば)仙台×浦和では、10分選手入場があらかじめ予定された選手入場のタイミングであったと推察できる。選手入場時刻は1分程度の遅れがあったかもしれないと推察できる。

公式記録のキックオフ時刻は、あらかじめ浦和レッズが発表していた13時10分と同時刻になっているが、実際のキックオフ時刻は13時10分よりも遅れた可能性はある。

一方、別の視点で見ると仙台×浦和と仙台×東京では、入場からキックオフまでに要する時間に17秒しか差がない。つまり、「いつも通り」の可能性がある。ベガルタ仙台の運営としては「許容範囲の進行と考えており、審判にセレモニーからキックオフまでの時間を短縮して試合開始を急いでもらう」意図はなかったと考えられる。

先に画像で紹介したベガルタ仙台が試合後まで公開しているスケジュールでは選手入場からキックオフまで3分間となっているが、そもそも非現実的なスケジュールを公開し続けたことも改善すべきと考えられる。

仙台×浦和(10月7日) 当該試合
1分45秒 スタジアムからの放送開始
11分 選手入場
13分46秒 セレモニー終了
17分10秒 キックオフ

仙台×東京(9月15日) 前回のベガルタ仙台ホームゲーム
1分45秒 スタジアムからの放送開始
9分 選手入場
10分30秒 黙祷終了
12分50秒 セレモニー終了
15分27秒 キックオフ

浦和×柏(9月30日) 浦和レッズホームゲーム
10分 選手入場
12分50秒 セレモニー終了
15分43秒 キックオフ


試合開始時刻の表記だけでも心理的な圧力はかかる。ベガルタ仙台のみならず、各クラブの運営方法の見直し、点検を、今一度、行っていただきたい。


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