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ザ・ピーナツバター・ファルコン


ザ・ピーナツバター・ファルコン
2019年
タイラー・二ルソン
マイケル・シュワルツ

2020年、第92回アカデミー賞授賞式に、ザック・ゴッツァーゲンとシャイア・ラブーフが二人一緒に、プレゼンターとして登場した時、会場は温かい拍手で包まれた。
彼らの映画ができるまで、そして公開されるまでには数々の困難があったからだ。

それは、ザック君が障害者向けのキャンプに行ったときにはじまる。
日本でも障害者向けのキャンプはある。
うちの長女は20歳になるまでは、毎年YMCAの青空の会のキャンプに参加していた。
きっと、アメリカには、もっと、たくさんキャンプはあるだろう。
そのキャンプで出会ったのが、この映画の脚本、監督のタイラーとマイケルだ。
俳優を目指していたザック君は、二人に話した。
「映画に出たい。」

でも二人は困ってしまった。ダウン症の青年が出演できる映画なんてない。
そこで、二人は考えた。
ないなら、僕たちで作ろう。
こうして出来上がった映画が、
「ザ・ピーナツバター・ファルコン」だ。

老人ホームに入れられているダウン症の青年、ザック君は、プロレスラー養成所に入りたいと、施設を逃げ出した。

だいたい、なんで、青年が老人ホームに入っているのよ。
いくらダウン症だからといって。

施設を抜け出したザック君は、盗みをはたらいて追われる身の漁師、タイラーにであう。演じるのはシャイア・ラブーフ。
ザック君を追う施設の看護師エレノアは、たらたら逃げてる二人に追いついてしまう。
そこから始まる、3人のいかだの旅。
まるでトム・ソーヤというか、スタンドバイミーというか、ゆるい旅。

目的地はソルトウォーター・レッドネックが運営するプロレスラー養成所。

とても、あたたかく、なつかしく、気持ちのいい映画だ。
映画自体の評判もよく、公開にこぎつけるかと思ったが、かねてから問題児だったシャイア・ラブーフが、飲酒が原因の事件を起こした。
公開は無理かと思っていたところ、ザック君がシャイア・ラブーフに言ったそうだ。

「君はもう有名だからいいけど、僕にはチャンスなんだ。」
この言葉を聞いて、シャイア・ラブーフは真剣に依存症の治療に取り組み、映画は公開され、大評判をはくした。

そしてめでたく、ふたりそろって、プレゼンターをつとめたというわけ。

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