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ジスキネジア新治療法の発見

これは面白い研究であり、今ある薬剤を使ったとても臨床的な研究かと思います。

https://research-er.jp/articles/view/98491

長期に抗精神病薬を飲んでジスキネジアに悩まれている方はたくさんいるのではないでしょか。その副作用と薬剤の継続に悩まれている臨床医もいるでしょう。

この知見が臨床の現場に光を差しえてくれればと思うところです。

こういったビックデータの使い方は素晴らしいと思います。みんなの力を合わせてビックデータを使っっていけば、今まで気がつかずにやっていたことに気がつけるかもしれませんね。

いかにエッセンスを引用しておきます。

新薬は、古くは天然物や合成品の生理活性スクリーニングによって、最近では遺伝子の機能解析などによる病態形成メカニズムの研究に基づいて次々に生み出されていますが、その結果として次第に新薬を創ることが難しくなってきています。その現状を打開する手法の 1 つとして、我々は独自に 「臨床エビデンスに基づく創薬」を提唱しています。これは図 1 に示すような発想に基づいています。
ある治療薬 A はその主作用 P をヒトの体内にある標的である生体分子 X に結合することで発揮します。これと同時に薬A は別の臓器にある生体分子 Y を介して有害な副作用 (有害事象) Q を起こすと模式化できます。この生体分子 Y が何かは分かっていないことが多いのですが、Q に類似した症状を呈する病気に対する治療標的になるとも考えられます。そこで患者さんにおいて Q の発生率を減らす併用薬 B を探してその結果を動物で再現するとともに、生体分子 Y を特定することで有害事象 Q に類似した症状をもつ病気の薬物治療が可能になるかもしれません。
 統合失調症治療薬の長期使用によるジスキネジア 1を低減する薬物をヒトの 2 種類の臨床データを用いて検索しました。1 つは米国で公開されている約 1000 万症例を含む有害事象セルフレポート FAERS、もう 1 つは JMDC 社が販売する 555 万症例の国内保険診療請求データ (レセプト)です。その結果、いずれのビッグデータにおいても解熱鎮痛薬として市販の風邪薬などに配合される等で汎用されるアセトアミノフェンを併用している患者さんでは統合失調症治療薬によるジスキネジアの発生率がおよそ半減していることがわかりました。