RET遺伝子と髪の色

髪の色と白髪に関するRET遺伝子の役割

　髪の色が変わったり、白髪が増えたりする理由は様々ですが、その中でもRET遺伝子が大きな役割を果たしています。この遺伝子の働きを理解することで髪の色の変化や白髪になる仕組みをより深く知ることができます。

RET遺伝子から作られるタンパク質（c-RET）は、髪の毛の根元にある細胞に存在します。これがどのように影響を与えるかというと髪の成長サイクルの調整とメラニンの生成です。

RET遺伝子とメラニン幹細胞

　髪の色を保つために重要なのが、メラニン幹細胞という色素を作り出す細胞です。RET遺伝子はこれらの細胞の維持に関与しています。RET遺伝子は、メラニン幹細胞の健康を保つ役割があります。これにより、髪の色が保たれます。 RET遺伝子に変化が起こると、年をとるにつれてメラニン幹細胞が減少し、髪が白くなります。

髪の成長サイクルとRET遺伝子

　RET遺伝子が活性化すると、髪の成長期が長くなります。これにより、髪がより長く成長します。成長期が長くなると、その期間中にメラニンが多く作られ、髪の色が濃くなります。RET遺伝子が活性化していると、髪を剃った後の再生が早くなります。

RET遺伝子と白髪の関係

RET遺伝子を持つマウスを使った研究では、遺伝的背景によって髪の色がどう変わるかが観察されました。通常、黒い髪を持つマウスでは、年をとるにつれて髪が白くなりました。自然に白い髪を持つマウスでは、RET遺伝子の影響による成長促進効果が見られませんでした。

エンドセリンと髪の色

エンドセリンというタンパク質も髪の色に関与しています。RET遺伝子を持つマウスでは、エンドセリンの量が髪の色によって異なります。黒い髪の部分では、白い髪の部分よりもエンドセリンの量が多いことがわかりました。

　RET遺伝子は髪の色と成長に複雑で多面的な役割を果たしています。メラニン幹細胞の維持、メラニン生成、髪の成長サイクルの調整など、RET遺伝子の働きが髪の色や白髪に大きな影響を与えます。RET遺伝子の変化や機能の違いは、髪の色の変化や白髪になる原因となります。このような遺伝子の役割を理解することで、髪の健康や色素異常に対する新しい治療法の開発に役立つかもしれません。

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Iida M, Tazaki A, Yajima I, Ohgami N, Taguchi N, Goto Y, Kumasaka MY, Prévost-Blondel A, Kono M, Akiyama M, Takahashi M, Kato M. Hair graying with aging in mice carrying oncogenic RET. Aging Cell. 2020 Nov;19(11):e13273. doi: 10.1111/acel.13273. Epub 2020 Nov 7. PMID: 33159498; PMCID: PMC7681064.