温かいの正体

12月28日

大掃除と部屋の模様替えを終えた。

一息つくために椅子にすわり、

電気ストーブへと足をむける。

私の机も配置換えされ、

電気ストーブは思いのほか遠くなっていた。


あの人は、どうしているだろうか……。

机に背をむけ、足を伸ばした私は思った。


年末だからだろうか。

遠く離れて暮らしている、あの人のことを

ふと考えることが、ここ最近多くなっていた。


年賀はがきにはまだ何も書いていない。

電気ストーブをすこし名残惜しく思いながらも、

わたしは足を机のほうへとむけた。

背中をむけていても、すこし遠くなったとしても、

電気ストーブがほんわりとふくらはぎを温かくしてくれる。

私の部屋の照明は暖色系で、電気ストーブのハロゲンライトは橙色。

ふたつの優しい色が混ざり合い、目には見えないけど、

わたしの全身を優しく包みこんでいく。


あぁ、あの人もこんな人だわ……。


すこし遠くに住んでいて、

メールも電話もあまりしないけど、

いつでも温かい眼差しを私にむけてくれる。

そんなあの人。

逞しいけど、控えめで、

茶目っ気もたっぷりある。

そんなあの人。

食と器にこだわりがあって、

生活を潤すための知恵と工夫を持ち、

それを私に伝授してくれることすら、

楽しんでくれる、そんな女性。


電気ストーブが、私のふくらはぎを温める。

白紙の年賀はがきをとりだし、ペンを持とう。

あの人にむけて書くことは、

どんなに年齢を重ねても変わらない。

いつもありがとう。

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