適切な距離

1月18日

朝から4月の個展に向けての作品づくり。

はじめたばかりの刺繍作品をひとにお見せするなんて、

今までの私なら考えもしなかったことだが、針と糸を使う作業が性に合って

いたことと、以前から知っていたカフェが展示会場として提供している

ことを知り、とんとんと事が運ばれている気がしている。

刺繍はイメージの通り、とても地味な工程だ。

10分前と後とではどこがどう変わったのか、作っている私でさえもわかり

にくいと思うほど。

材料のほかに準備するものといえば、ブレイクのための珈琲やら

紅茶なのだが、今日は飲むことも忘れて作業をしていた。

あまり思うように進まないなと思いつつそのまま続行した末、

疲れてしまい、それでも手を止めずにいたら、途中で糸が絡まり、

すこしやけを起こした。

そこでやっと、コップのなかの紅茶が冷え切っていたことに気づいたのだ。

冷たい紅茶を飲んでいたら、ふいに「距離感」という言葉が頭に浮かびあが

ってきた。

好きなことでも没頭しすぎると距離感が崩れてしまう。

そんなことを思い、人間でも仕事でも距離感が大切なんだよなーと

針と糸の世界から飛躍したことを考えながら、冷たい紅茶でしばらく頭を冷やした。


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