見出し画像

大薮海編著『伊勢北畠氏』を刊行いたします

 7月の新刊、大薮海編著『伊勢北畠氏』(シリーズ・中世西国武士の研究 第6巻。A5判・並製・363ページ。定価7,000円+税)が刷り上がってきました。

 本書の目次は下記の通りです。

【目次】
総論 北畠氏研究の整理と概観   大薮 海

第1部 伊勢北畠氏の領域支配
 Ⅰ 南北朝初期における伊勢国司北畠氏   中野達平
 Ⅱ 室町前期における北畠氏の動向   中野達平
 Ⅲ 戦国大名北畠氏の権力構造――特に大和宇陀郡内一揆との関係から   西山 克
 Ⅳ 伊勢国司北畠氏の神三郡支配に関する一試論   小林 秀
 Ⅴ 戦国期における畿内近国大名の権力構造――北畠氏を中心として   小林 秀
 Ⅵ 伊勢北畠氏領の人夫役と請状   池上裕子
 Ⅶ 中世後期の地域情勢と大名権力――北畠氏による領域支配の実態   伊藤裕偉

第2部 伊勢北畠氏の史料
 Ⅰ 北畠家連歌合に就いて   福井久蔵
 Ⅱ 伊勢国司北畠氏の花押について   小林 秀
 Ⅲ 浄眼寺所蔵伊勢国司北畠政勝(無外逸方)像の画像調査について   大久保 治・小林 秀・大川 操
 Ⅳ 市原市光明寺に伝わる中世文書   戸谷穂高

第3部 伊勢北畠氏の城館と多気
 Ⅰ 北畠氏領域における阿坂城とその周辺   伊藤裕偉
 Ⅱ 北畠氏館跡の石垣   竹田憲治
 Ⅲ 北畠氏の中世都市 多気   竹田憲治

 
 北畠氏と言うと、まずは誰を思い浮かべますか?きっと北畠親房や北畠顕家を最初に思い浮かべる方が多いと思います。そう、北畠氏は村上源氏に属するれっきとした公家(貴族)です。ではなぜ「シリーズ・中世西国武士の研究」の1冊として刊行されたの?と疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
 北畠氏では、親房の三男・顕能が伊勢国司に任じられ、以後、この系統が伊勢に定着し、伊勢北畠氏と呼ばれるようになります。南北朝期以降、伊勢において勢力を扶植した北畠氏は、地域権力としての側面を色濃くしていき、武士のように地域支配を行うようになりました。
 つまり、伊勢北畠氏は公家としての側面と武士的な側面を両方あわせもつ特異な一族と言うことができるでしょう。そういう意味では「伊勢北畠氏は公家なのか?武士なのか?」と考えることに積極的な意味はないのかもしれません。
 このような特異な一族である伊勢北畠氏ですが、実はこれまで関連する書籍はあまり刊行されておりません。そこでこのたび、伊勢北畠氏研究の第一人者である大薮海氏を編者に迎え、本書を刊行することになりました。
 本書には、伊勢北畠氏の権力・政治動向・史料・城郭などについての重要論考14本と、これまでの伊勢北畠氏に関する研究を網羅的にまとめた書き下ろしの総論を収録し、戦国時代まで命脈を保った特異な一族・伊勢北畠氏の実像に迫ります。
 本書の刊行を機に、伊勢北畠氏研究がさらに進むことを願ってやみません。
                             文責:丸山

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?