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心地よく音楽鑑賞するために。(オーディオのお話)

さて、今週は仕事案件での思うトコロについて書くぞ!と少々意気込んでおります。ちょっとばかり専門的な内容になると思いますが、よかったらお付き合いください。

これまでもチョイチョイ音楽とオーディオについて書いてきましたが、仕事として『自分はコッチの道に進みます』という意向は明言せずにいました。しかしこの度、やっと『行きたいと思っていた方向』へ向かうための強力なアイテムを入手することができたので、そろそろハッキリ表明してみようかと。

*集合住宅でも楽しく音楽鑑賞するために。

ワタシ、生まれは神奈川県横浜市で、現在は東京都に仕事の拠点をもっております。

いわゆる都会とか地方とか、そういう観点での好き嫌いな思考はまったくありません。都会で生活している優位性なんて全然感じていませんし、地方でノンビリ暮らしたいとも思いません。そもそも神奈川も東京もけっこうイナカですし。『せたがやたがやせ』なんて歌もあったくらいですからね。

ワタシの事務所はそんな『耕せ』なカンジの世田谷区に存在します。最寄駅までの道のり周囲にはドカーンと畑がひろがっています。なんとなくちょうどよい居心地です。

好きな土地はあります。いままで関わってくれた現地の方々のお人柄も含めて福岡県は大好きです。お魚は美味しいし麺類も美味しいし。そうそう、最近はあんまりラーメンを食べなくなったワタシですが、福岡だけは規制対象地から外れます。ま、どうでも良いですわねワタシの好みなんて。

しかしどうでも良くないのは『土地柄による住環境の違い』です。個人の好みに関係なく、関東地区に存在する住居の多くは集合住宅。戸建住居を構えるにしても広大な敷地を獲得することはナカナカ難しく、ご近所は隣接。

畑ひろがる世田谷区とはいえ、不自由なく音楽を聴くという観点においてワタシの生活拠点は大変に不便です。こういっちゃナンですが『ご近所さんへ騒音のご迷惑をおかけしちゃイカン』と、けっこう神経を使って生きております。

そんな自分にとって『心地よく音楽を聴ける環境』を作ろうと思ったとき、導入する機材として大型スピーカーはハナから対象外になってしまいます。だって部屋に置けないし。頑張って設置したとしても存分に大きな音を出すことができない。じゃ、どうしましょ?と考えるとヘッドフォンがクローズアップされてくるワケです。

ワタシの事務所の図。
設置されるスピーカーはいずれも小型。
JBL 4301B、Harbeth P3ESR、Tangent EVOです。
4301はフロントバスレフポート、P3ESRとEVOは密閉箱。
後壁からの反射音が発生しずらい構造なスピーカーを選んで
集合住宅の小さな部屋で音楽を聴いています。


*ヘッドフォンで音楽を聴くというポジとネガ。

ヘッドフォンで音楽を聴くと、その音はスピーカーリスニングとは違ったステレオイメージになります。これは何故か?

一般的なオーディオシステムにみられる『リスナーの正面に設置された2本のスピーカー』から放射された音を、ヒトはどのように聴いていると思いますか?実は『右耳でもわずかに左チャンネルから出た音を聴いている』のです。当然、左耳ではわずかに右チャンネルの音を聴いています。

この現象から生じる『両耳への音波到達時間のズレや音量減衰の差』によって、ヒトは眼前にステレオ空間を感じます。両耳間時間差などといわれておりますね。

ヘッドフォンで音楽を聴く場合、バイノーラル録音などの特殊な音源を除いて基本的には『右耳は右から出た音だけ』を聴くことになります。だから前述スピーカーリスニングとは違うステレオイメージになるワケです。主にスピーカーで音楽再生を楽しんできた方が、ヘッドフォン使用時に違和感を感じる原因。この違和感をネガティブに感じる方がいてもおかしくありません。

しかし耳に近接する位置に発音システムをもつヘッドフォンを使うと『スピーカーリスニング時には空気中で減衰してしまうような弱音』がキチンと聴こえる、という美点もあります。音楽制作をする方がヘッドフォンを必ず使用するのはこういう理由もあるのです。微細な残響の具合がキモになる『ハイレゾ・リマスタリング』を仕事のひとつとするワタシは、もう絶対にヘッドフォン無しでは仕事ができません。

なので『スピーカーとヘッドフォン、どっちで音楽を聴くのが正しいのか』なんてのはまったくナンセンスな話で、そもそも楽しみ方が違うのです。


*キモは『自分が気持ちよいか』です。

大きな住宅に住んで近隣へのご迷惑を気にする必要がない方、キチンと防音設備が整った環境をお持ちの方は、スピーカーが発する爆音を大いに楽しめばよいと思います。絶対にそれが気持ちよいです。

しかしワタシのような小市民が音楽鑑賞をしようと思ったとき『ストレスがない』ということが『気持ちよい』につながる大きな要素だと思うのです。近隣の目(耳)を気にしながらビクビク音楽を聴いていても楽しくない。

前図の通り、ワタシは小さな事務所にて『日中は小型スピーカーで、夜はヘッドフォンで』音楽を聴いています。趣味でも仕事でも。

上質なヘッドフォン(とヘッドフォンアンプ)を用いれば、いままで頑張って購入してきたソース側の機器、たとえばアナログカートリッジとかDACなどの高品質感もキチンと聴き取ることができるので『どうせ大きな音で音楽を聴けないから、機材はテキトーなヤツでいいや』なんていう、諦めの境地に行く必要が無くなります。

ズバリ申せば『スピーカーでリスニングしなくても、オーディオ機材への投資はまったく無駄にならない』ということ。ココ、誤解している方が結構いらっしゃいます。ヘッドフォンリスニングを基軸にしたHi-Fiなオーディオシステムって、十分に構築できるのです。


*名付けて『The 集合住宅オーディオ』。

東京に活動の拠点を置くワタシは『集合住宅でもストレスなく音楽を聴ける環境作り』を提案していこうと思っています。

以下、宣伝みたいになってアレですが、完全に宣伝です。

この度STAXというメーカーのヘッドフォン、もとい『イヤースピーカー』の販売を開始します。長年ワタシはこのメーカー製品を愛用してきました。音質、製品クオリティ、アフターサービスに絶対的な信頼を寄せております。

主力な現行製品は全て試聴しました。そのうえで『真っ先にお客様へ提案する機器はコレだな』と、導入すべき試聴機として選んだのがこの2機種。

SR-L300
STAXイヤースピーカーのベーシック機です。

これはエントリーセットの紹介ですが。



それからコレ、ものすごく気に入ってしまいました。チョー優秀です。

SRM-D10
DAC付きのドライバーです。

オーディオ機器の販売人として、ワタシはこれからコッチの方向へ進んでいこうと決めました。STAXだけを紹介するってことではありません。都心の小さなプライベート空間であっても、ストレスを感じることなく存分に音楽鑑賞を楽しんで頂く。そのためのお手伝いをする。という進路です。


*今週のまとめ。

長尺になってしまったので『今週の1枚』はお休みします。すみません。

オーディオ機器というのは音楽を聴くための装置です。音楽と機器は同じ文化を継承するための両輪です。しかし現在、オーディオマーケットで目にする『上質といわれる高級機』は、あまりに高額かつ大型になりすぎているように思えてなりません。

たとえ経済的に不自由のない方でも、オーディオ・エンゲル係数みたいな価値基準で購入機器を選択しようとすると、あんがい嗜好に合致する製品が少ないのではないか?と思います。

まずは生活ありき。その上で自身の生活環境中に『心地よい音空間』を持てたら素晴らしい。そんなご要望を持つ方のガイド役になれたらワタシは嬉しいです。

ではまた来週に。
2023.4.5


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