汚ない人差し指
人差し指は、罪が、集いやすい。
誰かを指差しすることができるから。
無言のうち、誰かを槍玉にあげることができるから。
動物すら会話をする。かれらなりのルールに則って話し合いをする。それが殴る襲うなどの原始的な行動にもなるから、結果的に、人間が低俗と勝手にみなしてしまう理由になってしまったけれど。
しかし、人間には指がある。
悪意で、善意で、なんらかの意図を含んで無言で誰かをひとり、指差しできる。無言で。言葉を話す、平和的な解決ができる、それが人類の優れた点であるはずなのに、こういうときには『言葉はもちいられない』。
証拠になってしまうから。
殴る、蹴る、原始的な行動はしない。
しかし、扁桃腺の中身はやっぱり猿なのであった。動物なのであった。知恵の実を食べて楽園を追放されたとそれを信じる人間が何億人といるのである。知恵を高めたこの猿は、無言で、殴りも蹴りもせず、しかし、殴ることも蹴ることもできた。
なんだってできた。
物を持ち上げられるから、便利な手があるから、それだけではない。人間がこうまで星を覆うことができたのは。
指をさし、無言のまま、動物以上に野蛮なことを平気な顔をして叡智あるふりをして文明を気取って、できるから。
恥知らずだから、それにも気づかないことが多いから。
人間は、両手をぶらさげることで、星の覇権を握ったのである。罪の泡がはじけるまで、短い期間のうち、は。
END.
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