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デ・キリコに会いに行く。

東京都美術館で開催されている「デ・キリコ展」に行って来ました。
10年ぶりの大回顧展。1人の芸術家の作品がこんなに集まることってなかなか無いよね。さすがトーキョーシティー。

事前に音声ガイド付きチケットを購入。
音声ガイドは子どもたちに。ナビゲーターはムロツヨシさん。
「もう、それだけでオモロイやん!」とか思ってしまうのは私だけでしょうか笑。

子どもたちは初めての音声ガイド。
どうなることかと思っていたのですが、意外と楽しんでいたので
いろいろな美術館でもっと早く借りてあげれば良かったと反省。
操作に夢中になって、とても静かだったので大人もゆっくり鑑賞できました。

デ・キリコといえば形而上絵画。
形而上絵画の特徴は、空間や時間を意図的にずらして構成している点。
画面の右と左で遠近法が異なっていたり、ズレていたり。
現実の空間構造をあえて無視して描かれた背景は、見る人に不思議な感覚や不安感を与え、デ・キリコの独特で謎めいた世界観を作り上げる要素のひとつとなっています。

作品の中に人間はほとんど描かれず、代わりに彫刻やマネキンが描かれている点もデ・キリコの特徴。平たんで表情が読み取れないマネキンは、見る人によっては恐怖を抱く可能性も。

私が1番好きな作品「不安を与えるミューズたち」にもマネキンが登場します。
この作品が1番好き。本物を間近で見ることができて感激でした。

「不安を与えるミューズたち」

晩年には新形而上絵画として室内に混沌とした世界観を作り上げました。
「オデュッセウスの帰還」もそのひとつ。なぜか室内でボート笑。
思わず「なんでやねん!」とツッコミをいれたくなるような作品です。

「オデュッセウスの帰還」

芸術は詳しくないんだけども、宗教画や写実的な絵画が主流であったであろうこの時代にパンク的な精神で既存の芸術をぶっ壊しにきたデ・キリコ。
この精神がのちのシュルレアリストたちに多大な影響を与えたんだよね。
ダリ先生もその1人。まさにデ・キリコは先駆者ですよ。

デ・キリコは前衛芸術から出発したのち一旦、古典絵画に戻ってそれまでの美術史をやり直しているところが面白いのよね。
ルネサンスやバロックに感化されて、真面目な(!?)作品も発表したんだよ。しかも写実的な作品もめちゃ上手いのよ。普通に描いてもめちゃ上手いという点に関してはダリやピカソもそうなんだけど。

そのことで一部からは失望や落胆の声や強い批判もあったのは事実。でも、一周回って最終的にまた新形而上絵画に戻ってくるのよね。逆風を一切気にせず、自分の道をずっと突き進んできた画家デ・キリコ。

自分が良いと思ったものをブレずに突き詰めていくメンタルは凄いと思う。やはり自分の意志を貫くためには、自分を信じる強い気持ちが必要なんですね。私はすぐにブレてしまうので、見習う点も多そうです。

ここ最近の企画展で1番刺さったかも。
デ・キリコ展に満足していたら、来年は同じ美術館で「ジョアン・ミロ展」やるんだって!!
どうなってんだ、トーキョーシティー。

こりゃ来年も行かねばならぬ。
デ・キリコ。
ジョアン・ミロときたら
サルバドール・ダリ展もやってくれませんか!?
ダリ展の音声ガイドはルー大柴さんでお願いします笑。

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